ビジネスインサイツ JMAC40周年記念特別号
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- め︑相互作用を起こすための﹁ 共 生 ﹂が起きています︒互いに生存 競争をしていたものが︑たとえば オスとメスに分かれることによっ て︑新たな可能性を見いだしたよ ことによって進化してきたのが生 命体なのです︒ 弱肉強食のように︑ 強いものが弱いものを食べるよう に見えるとしたら︑それは単純化 しすぎた見方です︒競争関係です ら︑ 実は共生関係なのです︒食う︑ 食われるという関係が︑ある種の 動的な平衡関係にあるということ は︑同じニッチを異なる二つの生 命体が﹁ 共存できている ﹂ という ことです︒ たとえばスーパージャイアント
生命の環で、絶えず合成と分解を繰り返していると 仮定した円弧。合成と分解が同速度で行われたら円 は坂道で固定するが、分解が合成を 「先回り」 した場 合、ゆっく り消費し、新生されるため回転しながら坂 を上り始める。円弧が虎の尾のような縞模様と仮定 して可視化したものが右の図。 『新版 動的平衡 生 命はなぜそこに宿るのか』 (小学館新書) より
と︑滅亡への道以外のなにもので もないのです︒
す︒エントロピー増大の法則とい
うのは︑ ﹁ 秩序あるものは秩序が
﹁エントロピー増大の 法則 ﹂ とは何か
ない方向にしか動かない ﹂という
ものです︒
たとえば︑整理整頓してあった
うに︑ 常に ﹁ 競争を共生に変える ﹂ 生命は絶えず自分の中のシステ
机の上でも︑何日かすると書類が
ム︑組織をつくり変えています︒
たまったり︑本が倒れてきたり︑
企業にも人事異動や組織改革があ
消しゴムのカスが散らばる︒これ
りますね︒生物の場合︑それは古
は︑エントロピーが増大している
くなったから捨てるとか︑使えな
から︒つまり︑乱雑さが増大して
くなったから捨てるのではなく︑
いるからですよ︒あるいは壮麗な
むしろ積極的に︑主体的に壊して
ピラミッドのような大建築をつ
います︒それは︑まだでき立てホ
くっても︑完成したばかりのとき
ヤホヤでも壊しているくらいの勢
はピカピカでも︑三千年も経てば
いです︒つくっては壊し︑常に動
砂粒になる︒ コーヒー 灰燼に帰し︑
的な状態を保持しています︒それ
も︑淹れたてはアツアツですが︑
はなぜかというと︑環境がいつ変 な企業が次々と小さいものを吸収 して︑同化してしまうのは大きな 問題です︒そこに何らかの共生関 係︑N次元良しといった共生関係 を持って発展すると︑ あるニッチ︑ あるマーケットで異なる企業形態 じロジックに全部を取り込んでし まって︑巨大化していくというの は生命の進化のプロセスを見る
放っておいたらぬるくなる︒これ
わるかもわからないし︑病気にな
もエントロピーが増大しているか
るかもしれない︒怪我をするかも
らです︒これは︑宇宙に存在する
し れ な い︒ 何 か 部 品 が 一 つ な く
あらゆるものが従わざるを得ない
分解と合成を繰り返し 坂を上り始める円弧
なってしまうかもしれない︒そん
﹁ 大物理法則 ﹂ です︒
なときに︑絶えずつくり変えてい 生命体ほど秩序ある精妙なシス きるからです︒
れば臨機応変に適応することがで
テムは︑常にエントロピー増大の
法則に脅かされています︒タンパ
が併存︑共存できるわけです︒同 企業も生命も宇宙も︑ ﹁エント
ク質や細胞膜が酸化されてサビつ
得ません︒この法則に︑打ち勝つ
物や変生物がたまるなど︑さまざ
ことはできないようになっていま
まなゴミの問題︑あるいは故障の
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Business Insights
ロピー増大の法則 ﹂に従わざるを
いてしまうとか︑細胞の中に老廃
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