ビジネスインサイツ JMAC40周年記念特別号
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- 問題を抱えているわけです︒放っ すが︑ 仕組みがダメになって︑ ﹁う まくいかなくなったから組織改革 をしよう ﹂というのでは手遅れで す︒ある種︑遊軍のような人がい うにしておいたほうが生命のあり 方には本来的にはかなっていると いうことになります︒ るトリガーは何か︒生命体は︑あ らゆる仕組みが最初から壊される ことを予定してつくられていま す︒ ところが人間がつくるものは︑ ほとんどのものが壊すことを考え ていません︒ たとえば今︑東京中に建ってい るタワーマンションがあります︒ しかし100 年︑200 年経っ たらもう廃墟です︒誰もタワーマ ていません︒しかし︑どんなにコ ストがかかったとしても︑どこか らでも簡単に壊せる建築物ができ た︑本当のメタボリズム︵ 新陳代 つくっておいて︑そしてそれを絶 えず壊しながらつくり変えていき ます︒これを企業がどこまで真似 できるかは難しい課題だと思いま 謝 ︶する生命になるわけです︒つ まり︑あるユニットがいつでもど こでも抜けるようにしておくと けです︒ ておいたらすぐにエントロピー増 大の法則が襲ってきて︑動かなく なってしまいます︒それを避ける ために︑エントロピー増大の法則 がシステムを壊そうとすることに 先回りして︑ あえて自らを壊して︑ そしてつくり変えている︒自転車 に よ っ て︑ い つ も 新 鮮 な 状 態 を 保っているわけです︒これが生命 のエントロピー増大の法則に対抗 する唯一の法則です︒
か︑交換できるようにするとか︒
た唯一の生命体です︒
解体する︑壊すことを予定してつ その人間は︑種の保存ももちろ
くっておくと︑壊しやすくなるわ
ん大事ですが︑それ以上に個々の
生命体の存在︑ ﹁ 人権 ﹂が大事で
ても︑絶えず組織が動的であるよ ですから︑企業の組織のあり方
あって︑個々の生命体が自由に生
もいつでもどこでも壊せるように
きられるということに価値を置こ
つくる︒上意下達の中央集権的な
うと約束した唯一の生物です︒そ
方法だと︑間を抜くと崩れてしま
れは大事な理念として︑個人の人
操業より︑さらに先回りすること では︑企業が自らを壊そうとす
います︒できるだけ分散的にし︑
権︑それから個人の自由というの
役割を固定せずにしておけば︑ど
が尊重されるというのが︑近代社
こからでも抜けるし︑それを補う
会の理念としては素晴らしいこと
ものも入ってくることができま
だと思います︒しかし︑それが行
す︒このような柔らかいシステム
きすぎて︑あらゆることが人間の
11.17 TOP INTERVIEW SESSION
壊すことを予定してつく る柔らかいシステムとは
これは︑企業活動にも同様のこ とが言えるかもしれません︒長持 ちさせようと思ったら︑あるいは サステナブルであろうと思った ら︑何かを頑丈にしっかりつくっ て︑ それを大事に使うのではない︒ 生命は最初から頑丈に堅牢につく るのは諦め︑ゆるゆるヤワヤワに
がもしつくれれば︑それこそが動 なると思います︒
論理︑ロジック︑あるいは言語や
的平衡のあり方にかなったものに
アルゴリズムでコントロールでき
ると思いすぎてしまった︒ それが︑
コロナ禍で企業が改めて 振り返るべきこととは
現代社会なんです︒しかし︑生命
体 の 本 当 の あ り 方 は︑ 言 語 や ロ
ジックやアルゴリズムでコント
ンションを壊すときのことを考え 今回のコロナ禍が問いかけたこ
ロールできないこともたくさんあ
とは何か︑考えてみました︒それ うことだったと思います︒
ります︒それはギリシャ語の言葉
はおそらく﹁ 自然とは何か ﹂ とい
で﹁ロゴス﹂と言います︒それに
対して﹁ピュシス﹂という言葉が
たとしたら︑それこそ生命体に似 人間は脳を持ち︑言語を持った
ありますが︑それは本来の自然と
ことにより︑さまざまなシステム
いう意味です︒生命は︑本来の自
をつくり︑経済社会をつくりまし
然そのものであって︑いつ生まれ
た︒文明をつくって︑遺伝子の外
てくるか︑いつどんなふうに死ぬ
側に立つことができるようになっ
か︑いつどんな病気になるかとい
JMAC 40th Anniversary
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