ビジネスインサイツ JMAC40周年記念特別号
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- 小学生のころ、蝶の成長を観察し、 「生命は不思議だ」 と驚いたのが 生物学者になった原点。
然です︒﹁いちばん身近な自然﹂ は︑
ダ イ ム は D N A が 発 見 さ れ て︑
自分自身の体です︒ウイルスも自
それが複製する仕組みというのが
然だし︑私たちの体も自然ですか
解明されたため︑ ﹁ 利己的遺伝子
ら︑そのせめぎ合いによってしか
論 ﹂のようなものが大手を振って
ウイルスとの間に動的平衡を見い
いた時代がありました︒ ﹁ 遺伝子
だして共存していく方法はないの
は利己的に振る舞って︑自分が増
です︒これもやはり時間はかかり
殖することだけを唯一無二の目的
ます︒ある程度ウイルスを受け入
にしている ﹂と︒確かに︑遺伝子
れていかないといけない︒だから
を中心にして見るとそうなのです
やはり︑正しく恐れるということ ということも大事なのです︒
が︑細胞や生命体全体を視野に入
と︑正しく理解して恐れすぎない
れると︑遺伝子だけが利己的に振
る舞っているわけではなくて︑あ
ウイルスに関して数値化された
らゆるものが利他的に振る舞って
情報などに踊らされてしまった面 うのは︑本当はロジックではコン トロールできないのです︒その部 分を人間は謙虚に受け入れなけれ ばなりません︒ところが︑大半の 現代人はそのことを忘れてしまっ たり︑もしくは見えないことにし て し ま っ た り し た ま ま︑ 自 分 は ずっと生きていくと思っていま す︒あらゆることがテクノロジー やA I︑言 語 的 な 操 作 に よ っ て コントロールできるという幻想の 中にしばらくいたわけです︒ しかし︑東日本大震災のような ことが起きたり︑今回のような新 型コロナウイルスのように︑目に 見えない粒子が襲ってきたりした ことによって︑社会は右往左往し ている︒つまり︑このロゴスをつ くってその城の中に安住していた 人間が︑本来の自然であるピュシ スというものに大きなリベンジを コロナ禍ではないでしょうか︒ウ イルスもまた自然の一部であるわ けなので︑これを完全に制圧した り打ち勝ったりコントロールする ことはできません︒ しかし同時に︑
いることがわかるし︑共生を目指
があると思いますが︑今こそ冷静
しています︒もともとは同じ生命
になって︑ウイルスと長い時間を かなければなりません︒
体だったわけですから︒
かけて共存していく道を考えてい ですから︑ 世紀のパラダイム
は︑やはり ﹁ 利己 ﹂ から ﹁ 利他 ﹂ に
世紀の パラダイムシフトとは
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変換されるべきです︒利他という
のは相互作用︑相補的な相互作用
です︒
受けている︒そういう状態が今の 基本にあるのは競争ではなく︑ 今回のコロナ禍を機会として︑
共生です︒自然界のものに対して
もう一度︑より生命的なパラダイ
も︑あるいは世の中の企業に対し
ムシフトに変わっていかなければ
ても︑共生して︑みんなで生きて ら学ぶことができます︒
いけないのではないでしょうか︒
学にぜひ興味を持っていただきた
私たちの生命体自体も︑本来は自 生命科学でも︑ 世紀型のパラ
いと思っています︒
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Business Insights
いく︒そういう考え方は生命体か
ですから経営者の皆さんも︑生物
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