MFCA(マテリアルフローコスト会計)は、まだ研究課題が多い手法です。MFCAを活用して、事業の資源効率向上を図っていく上では、以下に述べるような課題を研究する必要があります。
(1)MFCA適用分野の拡大
加工型の製造プロセスでは、MFCAの適用効果は検証されていますが、適用や効果の検証されていない分野もあります。
(2)MFCA計算の考え方の確立
いくつかの分野では、MFCAを適用する際のMFCA計算の考え方の確立が必要な分野があります。現時点で、MFCA計算の考え方の確立が必要と思われている分野は、次の2つです。
- 素材製造分野
素材製造では、大量のエネルギーを使用することが多いのですが、物量を重量として把握できる通常の原料と異なり、エネルギーは熱量(カロリー、ジュール)として物量を把握する必要があります。この物量と熱量を、統合的に計算するMFCA計算の手法の確立が必要と思われます。
- 物流、流通分野
物流、流通分野でも、流通加工や売れ残りなどに伴う廃棄物が発生したり、返品輸送などに伴うエネルギーロスが発生することがあります。
しかし、製造段階でのMFCAは、比較的単純なプロセスでMFCA計算を行うことが可能ですが、物流、流通段階は、その中での資源の流れ(Material Flow)自体が網の目のように入り組んでいます。こうした分野でのMFCA計算は、その計算やそのためのデータ収集の考え方を確立する必要があります。
(3)効率的なMFCA
MFCAを幅広く適用したり、継続的に活用する上でも、MFCAを効率的に行なう手法の開発が必要です。
(4)環境負荷への評価を組み合わせたMFCA
MFCAでは、資源のロスを、その物量とコストで定量化し評価します。しかし、資源の中には、環境への影響が非常に大きなものから、それほど大きくないものまで含まれています。
MFCAとLCAを組み合わせて、資源効率向上だけでなく、真の環境負荷低減のためのMFCAをどのように適用するかの考え方と手法の確立が必要です。
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