第7回 事業化計画の検討 〜手順とポイント〜
1.事業化の手順
事業化の手順を下図に示します。
全体のロジックはマーティングの手法にJMACが独自に開発した技術の見方を加えたものになっていて、それを手順化しています。顧客ニーズと技術ニーズをマッチングした手法になっています。
技術の見方の核をなすのが、NFS展開(顧客ニーズー機能性能ー技術シーズ)と技術ポトフォーオです。顧客ニーズを要素技術に落とし、開発の優先順位をつけることが大切になっています。このときに、第3回で紹介した技術の棚卸しを活かすことが、とくに大切です。
JMACでは過去のプロジェクトDBから業界ごとの全体技術と要素技術体系があり、これを使用して差別化技術の検討スピードを上げていきます。全体の計画作成では、ビジョンから始まり計画作成までの整合性を考えることが大切になります。
2.事業化のポイント
この手法で核となすのが、基本戦略と重点課題の設定です。
基本戦略では、勝ち筋をどのように描くかを経営陣とともに納得のいくまで議論する必要があります。
MOTでは経営リソースの中でとくに「技術による差別化」を重点課題としています。日本企業の場合、改善を積み上げて実現した技術、ばらつきのない技能者のスキルなども差別化のポイントで、これらを含めて勝ち筋を検討していきます。たとえば、日本には売上100億円を超える化学メーカーが200社以上も存在しています。ニッチなところで、活きるすべ(術)、技術があると考えられます。
ただ、これが新規事業分野で活きるかは別の問題だといつも感じています。少し領域を変えたり、新規分野を検討すると、このニッチ技術がなかなか活きない場合も多いと思います。この場合は技術+1(アルファ)が必要になり、これを検討することが大切です。前回紹介した仮想カタログは、このプラス1の技術を検討する中心的な仮説になります。
重点課題の2つ目は、「コストのつくり込み」です。コストが未達で事業を諦める場合も多いようです。このフェーズはコスト開発(コストを開発段階でつくり込む)というプロセスを入れています。
重点課題の3つ目は「売り」です。売るモデルをどのようにつくるかが最大の課題です。
次回以降、さらに解説していきます。
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