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コンサルタントの視点 「品質コミュニケーション」

JQMQvol.8_20120630.pdf

市場や顧客の複雑化・多岐化に伴い、要求品質に関する見極めが重要となってきている。企業は、顧客の声(クレーム含む)、顧客による監査報告書、関連法規といったインプット情報から要求品質を見極めようとしている。要求品質は単に情報を掴むだけでなく、その実現に関わる人々にも情報を正確に伝えなくてはならない。ここではそうした活動を品質コミュニケーションと定義する。
 品質コミュニケーションは、各社ともに積極的に取り組んでいるようである。たとえば、お客様相談センターによる顧客の声の把握、品質保証部門による顧客監査対応、マーケティング・営業部門による顧客要求の把握、法務部門による関連法規制の確認、購買部門による購入先への要求・監査の実施などがある。品質情報はひとつの大きなかたまりとして捉えられるが、情報の出入力部門はバラバラである。品質保証体系により統制されているとは思われるが、以下の観点に基づき、自社の品質コミュニケーション・ネットワークを点検してはいかがだろうか?
ここでは便宜上、インプット側とアウトプット側とに分けているが、実際には双方向でやり取りされる情報も含んでいる。
①インプット側の品質コミュニケーション・ネットワーク設計 
 要求品質の正しい把握、理解、提案にあたっては、要求側のステークホルダー(市場・顧客)との接点を持つべきタイミング、方法を設計する必要がある。ステークホルダーとしては、顧客(企業、一般消費者)、販社・販売代理店・量販店等の流通、各種規制等を施行する行政があげられる。(実際には一般消費者も年齢、所得、地域、宗教・民族、所属ローカルコミュニティ等に分けられる)
②アウトプット側の品質コミュニケーション・ネットワーク設計
 把握した要求品質を製品規格に落し込んだ後は、関係するステークホルダーへの正確な情報伝達のためのネットワークを設計する必要がある。最近では、ODM,OEM,EMSなど既存のサプライヤー・外注管理とは異なるものやM&Aにより、製造拠点、販社・代理店などにも阿吽の呼吸が伝わらない身内がいることを忘れてはならない。

コンサルタントプロフィール

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シニア・コンサルタント 松田 将寿

早稲田大学大学院修士課程国際法専攻修了後、1994年にJMAC入社。
製造業を中心に24年の経験(生産領域コンサルティング12年、戦略領域コンサルティング12年)を持ち、国内外(外は現地企業・大学なども含む)、大企業~中小企業など幅広く支援を行っている。
品質カテゴリーに関しては、経営・事業戦略への組込み、経営体質作り(改善・改革の骨格)として捉えて支援している他、品質マネジメントシステム、品質保証・品質管理の側面から組織・機能連携、外注戦略、業務改革なども支援している。

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