第30回 事業面からの経営改革
- 経営改革の知恵ぶくろ
神奴 圭康
経営改革の中核は、事業面からの経営改革と言えます。「事業戦略面の改革」と「事業システム面の改革」に大別して、今回から「事業面の技」を紹介していきます。
経営改革の中核は事業競争力の改革
事業は、企業の存在価値、経済価値の源泉であり企業の命といえるものです。このような事業の本質を良く理解し、事業面からの経営改革を進める必要があると考えます。
事業は、社会にとって存在価値があることが前提ですが、「顧客の顕在ニーズや潜在ニーズ」に対応した「顧客満足」を提供するものと考えています。また、競合企業に対して自社の顧客満足が競合企業のそれを上回る「競争優位」の事業を目指すことが重要と考えます。したがって、「顧客満足・競争優位を実現する事業競争力の改革」が、経営改革の中核であると認識しています。
(下図参照)
事業競争力=事業戦略×事業システムの統合競争力
企業は、事業の選択と集中を実行し、企業戦略と共に個々の事業そのものの競争力を再構築し、徹底実践することが重要です。事業の選択と集中は、グローバル化が進展するなかで経営資源の集中を図る日本企業の経営戦略課題です。経営者が中心となって進めるテーマといえます。
一方、個々の事業競争力の改革は、経営と現場が連携して推進するテーマといえます。そして、事業戦略面の見直しから事業運営(オペレーション)面の改革を統合的に行うテーマといえます。私は、「事業競争力=事業戦略力×事業システム力」と捉えて事業競争力の改革をご支援していますが、企業の収益力を高める本筋と認識しています。
(下図参照)
事業戦略面の改革
事業戦略は、顧客満足・競争優位を実現する事業の目指す方向を明確にすることです。、どんな市場・顧客を対象にどのような商品・サービスを提供するかの「事業領域」を設定することが基本となります。その上で、顧客満足・競争優位を実現する「市場・顧客戦略」と「商品・サービス戦略」を明確にして共有化することが重要です。
さらに、事業システムづくりにつながる「収益が還元する仕組みである事業モデルづくり」が重要ですが、これらの事業戦略の策定については、特に、マーケティング志向の事業戦略の考え方や事業のKFS(Key Factors For Success)把握による「事業ユニット発想」を身につけることがポイントになります。
事業システム面の改革
事業システムは、「事業戦略を実現する事業運営の仕組み(組織・システム・人)」を意味します。事業システム面の改革は、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)による部門機能や関連企業を横断する改革の技を活用しますが、その特徴は次の点にあることを頭に入れておいてください。
・目的は事業戦略を具体化し実行すること
・顧客起点のビジネス・プロセスを改革対象とする
・組織・システム・人の3視点より改革する
・システムは、業務システムと情報システムの両面より改革する
・現場成果と経営成果の関連づけをする
・人が主体となって事業システムを運営し成果を生み出す
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