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第33回 7つの事業戦略発想を身につけよう

  • 経営改革の知恵ぶくろ

神奴 圭康

今回は、マーケティング志向の事業戦略を立てる上で有効な7つの発想(技)をご紹介します。
事業分析や事業評価、そして事業戦略をまとめる技として活用してください。

マーケティング志向の特徴

マーケティング志向とは、マーケティングを事業経営そのものとする考え方です。
「市場重視・顧客原点で事業経営の機能を統合する」ことが大きな特徴と考えられます。市場(マーケット)は企業の外側にあり、顧客と競争は市場に存在します。市場を知らないで顧客満足・競争優位は実現できません。

また、事業経営機能に関わる全ての人がマーケティング志向で市場への働きかけを行うことが重要です。
一部のマーケティング専門家が市場への働きかけをすればよいという訳ではありません。

7つの発想(技)

マーケティング志向は、考え方であり具体的な発想に展開することが必要になります。
JMACでは7つの発想を事業戦略の技として活用しています。以下に示す7つの発想を、事業分析や事業評価、そして事業戦略をまとめる時に活用しています。今回は概要を紹介しておきます。(下図参照)

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■事業ユニット発想

事業ユニット(BU:BusinessUnit)発想は、多様な市場・顧客と商品・サービスを識別して事業戦略を立てましょうということです。言い換えると事業経営のKFS(Key Factors For Success)を識別して事業戦略を立てましょうということです。
事業ユニットは、SBUをブレークダウンした事業の捉え方ですが、事業戦略策定の基本となります。7つの発想のなかで最も重要と考えてください。以下の事業ユニットの意味を理解して活用することがポイントとなります。

・事業ユニットは、どんな市場・顧客を対象にどのような商品・サービスを提供するかの「事 業領域」を意味する

・事業ユニットは、事業経営のKFSが共通な事業のかたまりを意味する

・事業ユニットは、顧客満足・競争優位の事業戦略を策定し実行・検証する単位である

■デマンド&サプライチェーン発想

デマンド&サプライチェーン発想は、市場におけるデマンドとサプライのチェーン構造(需要と供給の連鎖構造)を見える化して、事業戦略を検討する考え方です。市場における自社事業の位置、デマンドの支配者、アタックポイント、収益の還元可能性などを把握することがポイントと言えます。

■魅力度発想

市場や顧客の魅力度を考える発想です。市場や顧客の規模や成長性などからその魅力度を見極めて資源配分を考える発想です。
また、拡販余地のある市場や顧客を認識して資源配分を決定する発想も意味しています。

■競争発想

競争発想は、市場における競争商品・ライバル・競争のタイプ(例えば価格競争か非価格競争か)とライバルの競争力や事業戦略を認識して事業戦略を練るということです。
事業戦略は、競争戦略を立てることと言われますが、この意味で競争発想は事業戦略の基本となります。

■収益発想

収益発想は、市場における自社事業の収益性を認識して事業評価をすることです。どの事業ユニット、市場・顧客群、商品・サービス群で収益がでているかを認識して資源配分を発想することです。
また、事業戦略の案(オプション案)に対する期待収益のシミュレーションを行うことも意味しています。

■ポジショニング発想

ポジショニング発想は、市場の魅力度と競争力の視点から事業ユニットをポジショニング(位置づけ)して、事業の方向づけと資源配分を発想することです。
なお、事業の方向づけと資源配分は、最終的には収益性の視点も加味して行います。

■オプション発想

オプション発想は、考えられる事業戦略の選択案を策定し客観的に評価して意思決定をしましょうという考えです。
一つの事業戦略だけを考えるのではなく、経営環境変化や自社資源のリスクを想定して複数の事業戦略を事前に用意しておくことも意味しています。このことにより事業戦略の構想シナリオを想定しておくことが可能となります。

(シニア・コンサルタント 神奴 圭康)

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