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第58回 BPRをどのように推進するか

  • 経営改革の知恵ぶくろ

神奴 圭康

今回は、BPRによる業務改革をどのように推進するか、をご紹介します。 BPR業革の推進ステップとポイントを中心に話を進めましょう。

BPRを推進する前に

BPRをどのように進めるかについては、複数事業を多角的に展開する大企業の場合は、モデル事業を選び先行実施をして、その経験を他事業に展開するモデルアプローチをとることが基本となります。 一方、2~3の事業を展開する中堅企業では、全社一斉にBPRを展開することが考えられます。

いずれにしても、BPR業革は、事業部門単位で事業責任者と事業メンバーが主体となって推進することになります。 その上で、全社トップとBPR業革を実践する全社スタッフによる側面支援が必要です。 BPRは全社的な業革に繋がることから、トップと業革スタッフが、BPRを展開する背景や推進構想を事前にすり合わせておくことが重要です。 必要に応じて、他業界も含めて他社の先行事例など外部情報を参考にして、成功要因・失敗要因を学んでおくことも大切です。 以上のことを頭に入れながら、BPR業革の推進ステップとポイントを理解してください。

BPRの進め方

BPR業革の推進ステップは、下図の通りです。 枠組みを示したものですが、その内容とポイントを簡単に説明しておきましょう。

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■ステップ1:基本計画策定
事業戦略の認識に基づいてBPR業革の基本計画(マスタープラン)をまとめることを意味しています。 BPR業革の対象を明確にして、現状認識、改革構想、実行シナリオ(推進計画)をまとめるBPR業革を企画するステップです。

【ポイント】
1.BPR業革の対象を明確にすること
   ・BPRのスタートにあたっては、BPR業革の対象単位と改革の重点となるキープロセスを明らかにする
   ・BPR業革の対象単位は、事業システムの再構築単位を意味するBSU(ビジネス・システム・ユニット)を
   明確にする

2.BPR業革の成果目標設定と改革後の姿を描くこと
   ・顧客満足と競争優位を実現する視点で、革新的な成果目標を設定する
   ・成果目標を実現する改革後の姿(ビジネス・プロセスの改革仮説)を描き、組織・システム・人の3改革視点から、課題(改革着眼点)を明確にする
   ・関連メンバー全員が、改革後の姿と課題について共有化しておく

3.成功確率の高い実行シナリオを立てること
  ・改革テーマの優先順位づけ、成果目標の段階的設定、具体化・実行の手順、推進体制、推進メンバー、
   実行予算などをよく考えて実行シナリオにまとめる
  ・実行シナリオは、関連部門との共有化と共に、トップから承認をもらう

■ステップ2:具体化・実行
ステップ1で策定した基本計画に基づき、新たな事業システムを具体化・実行することです。 事業システムを構成するビジネス・プロセスを、BPR業革の3改革視点(組織・システム・人)から具体化・実行します。

【ポイント】
1.基本方針の宣言
  ・トップがなぜBPR業革に取り組むことが必要かを明言して、全員が改革の重要性を共有する
  ・基本方針は、改革対象プロセス、成果目標と改革後の姿、実行シナリオなど、基本計画の要点をまとめて発信する

2.3改革視点からの統合アプローチ
  ・ビジネス・プロセスの改革は、組織・システム・人の3改革視点から、統合的にアプローチする
  ・組織改革は、事業経営機能について、コアとノンコアの区別、インソーシングとアウトソーシングの区別、
   分散と集中の区別など、抜本的な機能分担を検討する
  ・システム改革は、IT万能ではなく、改革後の業務システムに有効なITを適用する
  ・人材改革は、業務改革後の各自の役割や必要スキルなど、人材変革イメージを明らかにして共有化する

3.基盤整備
  描いたビジネス・プロセスが「絵に描いた餅」にならないように、業務のやり方やルールの標準化、
  各種コード体系の統一、データベースの見直しなど、足もとの基盤事項を整備する。

4.改革スピードと段階的成果出し
  ・トップは、改革阻害要因を除いて、改革スピードを意識した支援をする。
  ・短期成果目標を出しながら、中長期成果目標を実現する。

5.改革の場づくりと人の意識・行動改革
  ・BPR業革を推進する「ステアリング・コミティー」、「プロセスチーム」、「職制チーム」、「業革事務局」などの
   改革の場づくりと有効な運営を行う。
  ・改革の場を通じて、一人ひとりの意識・行動改革を推進する。

■ステップ3:改革の徹底
新たな事業システム(ビジネス・プロセス)を定着化し、成果を確実に実現することです。 現場成果を経営成果に繋げると共に、改革体質・改革人材づくりを推進することが重要となります。

【ポイント】
1.モニタリングによる改革マネジメントの推進
  ・BPRの改革徹底度を、事業システム(ビジネス・プロセス)の運用状態と成果目標をモニタリングして、
   改革を是正する。
  ・事業システムは、業務システムと情報システムの両面から、運用状態をモニタリングする。
  ・成果面では、現場成果を、経営成果とビジネス・プロセスとの関連でモニタリングする。

2.業務改革成功・失敗事例の紹介
  社内報におけるトップによる改革称賛や現場の教訓抽出の紹介、社内外の発表会やWEB上での事例紹介
  などを通して、業革事務局がPRする。

3.成功確率の高い実行シナリオを立てること
  能力開発に重点をおいた、目標管理・業績評価の展開、業務改革能力の向上を組織的に推進する。

BPR業革の技術(技)

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BPR業革を推進する上で必要となる技術(技)は、大きく「展開技術」と「分析・設計技術」に分かれます。 前者は、BPR業革に限りませんが、改革活動を有効に展開する技です。 プロジェクトマネジメント、PR、モニタリングなどの技が中心となります。

後者は、BPR業革推進に向けた、事業システム(ビジネス・プロセス)の分析や設計に関する技です。 事業システムユニットの設定や特性分析、ビジネス・プロセス体系化などの事業戦略具体化の技、業務システム改革に関する分析・設計の技、改革目標の分析・設計と実現シナリオ策定の技があります。

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