第65回 管理面からの経営改革
- 経営改革の知恵ぶくろ
神奴 圭康
経営改革は「財務面」「事業面」「管理面」の3視点による統合改革であることを、第8回にお話ししました。 財務面は第18回~第29回で、事業面は第30回~第64回で、その考え方・手法をご紹介しました。 今回からは、管理面からの経営改革をご紹介します。 主な内容は、「組織・人のマネジメント改革」と「経営管理システムの改革」です。
管理面からの経営改革とは
管理とは、コントロール(経営統制)を意味するのではなく、事業部門を超えた全社的な立場からの会社の基盤となるマネジメント(経営管理)を意味する、と考えてください。 管理面からの経営改革は、一つは「組織と人のマネジメント」、もう一つは「経営管理システム」を対象にすることが中心となります。 「組織と人のマネジメント改革」におけるポイントは、経営環境変化に対応した組織・人材づくりを推進することです。 一方、「経営管理システム改革」のポイントは、経営の意思決定や業績向上に役立つように、経営計画の策定から実行評価の仕組みを機能させることです。
管理面から経営の実態を分析すると、企業内部のマネジメント問題(経営体質問題)が浮かび上ってきます。 管理面からの経営改革は、企業の経営体質を変革するマネジメントに向けて、その考え方と仕組みを改革することだと言えるでしょう。
組織と人のマネジメント改革
「組織と人のマネジメント改革」は、経営環境変化に対応した組織・人材づくりを推進することがポイントだと述べました。 企業や事業を取り巻く経営環境に適合した戦略を実現する組織・人材づくりと言えます。 この点を頭に入れながら、改革に取り組むことが重要です。
組織には、組織構造と組織運用の両面があります。組織改革も、この2つの視点から課題解決に取り組むことになります。 企業戦略や事業戦略が実現できる有効な組織構造かどうか、組織運用が有効に機能しているかどうか、を見極めることが必要です。
企業戦略面では、グループ経営を有効に遂行する組織構造のデザインとその運用が問われています。 事業戦略面では、企業戦略に基づいて事業ユニットを意識した迅速な事業経営を可能にする組織運用が重要と言えます。
人材改革については、企業や事業の将来ビジョン・戦略に対応した人材ビジョンの明確化が基本となります。 この点が曖昧なままに、人材づくりを成行きで進めることは大きな経営リスクを抱えることになります。 人材ビジョンを明確にして、人事制度改革や人材開発に取り組むことが重要です。
経営管理システム改革
「経営管理システム改革」は、前述の通り、経営の業績向上や意思決定に役立つように、経営計画の策定から実行評価の仕組みを機能させることがポイントです。 経営計画を策定し、その実行評価を行っている会社は多いと思います。 しかし、経営管理の仕組みが経営の業績向上や意思決定に役立つように機能しているかどうかを見極めることが必要です。
経営管理システムには、経営計画策定システムと経営実行評価システムの両面があります。 「経営管理システム改革」も、この2つの視点から取り組むことになります。 経営管理システムは、単に数字や施策の仕組みというわけではありません。 企業戦略や事業戦略の策定と実行評価をする、経営改革の土台(インフラ)として機能する高性能な仕組みにする必要があります。
また、経営管理システムが有効に機能するためには、業績向上や意思決定に役立てる管理会計情報が必要不可欠です。 経営改革に役立てる管理会計システムが重要となります。 「経営管理システム改革」は、管理会計システムの活用を伴うことに留意してください。
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