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第100回 あとがきに代えて≪最終回≫

  • 経営改革の知恵ぶくろ

神奴 圭康

「経営改革の知恵ぶくろ」は、第100回を迎え、今回で終了いたします。あとがきに代えて、当連載を終えての所感を述べたいと思います。

柔軟でタフな経営

経営改革とは、「企業が、永続的に生き残るために経営環境の変化に対応し、企業や事業の経営を改革する意思決定と行動である」と、第2回でお話ししました。経営環境変化の対応と言うと、「柔軟な経営」が思い浮かびますが、特にグローバル市場の競争では、「タフな経営」が重要と感じています。人間で言えば、柔軟な思考・体と共に、たくましい精神・体が必要です。グローバル市場の競争は、異質な価値観・文化に対する、理解と寛容さが前提となりますが、経営改革に積極的に挑戦するたくましい精神・体が欠かせません。

グローバル化とは、人・金・モノ・情報・ノウハウなどの経営資源が、国を超えてグローバルに流通することです。
国内で事業展開する企業も、自社のもつ経営資源をグローバル市場に発信することが、ビジネスチャンスを生む時代です。国内市場の事業基盤形成を忘れてはいけませんが、グローバル市場で事業価値・存在価値を主張していくたくましさが必要と考えます。

少子高齢化は、生産年齢人口の縮小と消費年齢人口の縮小といった、国の経済規模の縮小を意味します。しかし、経済規模の縮小というマイナス面だけをみても、企業は生き残れません。代わりに、少子高齢化を、異質で多様な人材活用と戦力化を進めることと解釈します。
若年層と女性、そして高齢者や海外人材の活用と戦力化をどんどん進める、タフな経営改革が競争優位につながると考えます。

ITも、技術革新を進める上でも、経営改革を進める上でも、欠かせない必須の経営資源と位置付ける時代となりました。日本企業は、ものづくりでも情報システムでも、職人的なつくりこみの技能によって、発展してきました。この点は否定しませんが、世界の先進企業では、技術開発や製品開発でグローバルに通じるIT活用に、積極的に取り組んでいます。
また、今や、コストダウンという面だけでなく、新しいビジネスモデル開発や事業の競争力強化にも、ITを活用することが当たり前の時代です。IT資源を所有する時代から、利用するクラウド・コンピューティングの時代を迎え、外部のIT資源を経営改革に大胆に活用するたくましさも必要と言えるでしょう。

意識・行動革新

経営変化対応力が求められるのは、企業だけではありません。一人ひとりの経営変化対応力も、重要です。自分が属する会社や事業の経営環境変化に、敏感であることが求められます。個人の経営変化対応力は、若いころから経営環境変化を捉えることを心がけることで、身につけることが可能です。次は一つの例ですが、私も日頃から意識して行動しています。

感謝

経営コンサルタントの仕事は、経営改革策を提案して終わりというわけではありません。経営改革は、企業の方が当事者意識をもって進めることが基本ですが、顧客の課題解決に対して、第三者と専門家の立場から、経営成果の実現を支援することが仕事です。このような経営コンサルタントの経験をベースに、当シリーズ「経営改革の知恵ぶくろ」が、経営改革に取り組む方に少しでもお役に立つ情報を提供できたら、という思いでスタートしました。
「経営改革の知恵ぶくろ」という幅広い領域でしたが、経営改革の体系や取り組む視点を明確にして、お話しすることを心がけました。また、事例を織り込むことも意識しました。幅広くお話をしてきた感がありますが、ご容赦ください。読者の皆さまには、長い間お付き合いいただき、ありがごとうございました。

最後になりますが、全100回の連載目標に叱咤激励をしてくれたコンサルタントの仲間、読みやすく分かりやすく編集をしていただいたスタッフに感謝して、「経営改革の知恵ぶくろ」を終えたいと思います。

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