【062個別受注生産:基準情報】 儲からない材料取りをするべからず
- 生産管理のべからず集
材料収率を向上させ、かつ仕掛りを増やさないという相反することを両立させるには、製品別材料取りから期間別材料取りに変えていくことが有効である。
ねらい:コスト
キーワード:ネスティング、期間別材料取り
材料収率向上のために1ヵ月分を集めて本当に得か?
生産設計で部品図から素材図や一品図を起こしたら、それらを定尺材に貼り付けて「板取り」「材料取り」(ネスティング)を行う。その際の、定尺面積・容積と、板取りした一品の面積・容積の合計との比を「材料収率」と言う。簡単に言えば、買ってきた定尺材の量と、部品に使う量の比率である。この値はもちろん大きければ大きいほど材料のムダがない。
どの部材・部品を1つの材料から取るかを「取り合わせ」と呼ぶ。材料収率を向上させる方法の1つが、同じ材質で同じ板厚や径の部材・部品を一度にできるだけ多く集めて、取り合わせることだ。
個別受注生産の材料取りでは、製品別やユニット・モジュール等の設計単位別に材料取りをすることが多いが、そういう区分のままで取り合わせの量を確保するには、生産計画の1週間分、1ヵ月分といった長い範囲の部材・部品をまとめる必要が出てくる。
そのようにすると、仕掛りが増えてしまい、材料収率が向上しても資金繰りを圧迫して財務面の効果が薄れるとともに、製造リードタイムも長くなり受注競争力にも悪影響を与える。
生産計画の時期が同じ製品やユニットを取り合わせる
仕掛りを増やさず、かつ材料収率を向上させる有効な手段は、同じ製品やユニットの部材を取り合わせるだけでなく、生産計画の時期が同じ製品・ユニットを取り合わせて量を確保することだ。
しかし、この方法だと、そのときそのときの生産計画の製品組合わせによって、材料取りの組合わせを常に見直していく必要が出てくる。材料のムダを出さず、かつ余計な仕掛りを持たないためには、材料取りもそれに従って毎回変える手間を惜しんではならないのが原則ではあるが、その人件費も無視できない。
この問題に対して生産計画で工夫すべきことは、生産計画の平準化、すなわち同じモノをまとめてつくるのでなく、平均的に混ぜてつくるように計画することである。それによって、ある期間内の生産順序(たとえば、A・A・B・C・A・A・B・C・・・)は固定化され、この生産順序に合せて切断工程の生産順序を設定し、定尺材の取り合わせを月次計画段階で決めることができる。
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