【071原価管理】 標準時間を感覚で決めるべからず
- 生産管理のべからず集
製造原価を設定する際の基準となる標準工数(標準時間)は、標準作業方法を決め、科学的に設定することが大切である。
ねらい:コスト
キーワード:標準原価、標準作業
過去実績をそのまま活用するのはダメ!
製造原価における労務費、経費を中心とする間接費は、製品1個をつくるのにどれだけの時間がかかるのかを設定し、その比率に基づいて全体の金額を配賦していくのが代表的な手法となっている。
したがって、標準原価を策定するには、製品1個つくるのにどれだけの時間がかかるのか予め設定をしておかなければならず、また原価を把握するには、実際にどれだけの時間がかかったのか実績収集する必要がある。
では、標準原価を設定する際に必要な、1個当たりの製造時間はどのようにして決めればよいのか。会社によっては、単純に過去の実績時間を元にしてそのまま算出する、もしくはそれに改善目標を加味して一律10%改善の時間を設定するというような方法を取っているところもあるのではなかろうか。しかし、それでは根拠が曖昧であり、改善が進まなかったり、標準時間どおりモノがつくれなかったりといった結果を招く可能性が高い。
標準作業方法を決めて標準時間を設定
では、どのようにして標準時間を設定すればよいのか。
まずは、その製品をつくるのにどのような作業をすればよいのか、つまり、作業方法や製造方法を明確にすることである。
標準作業方法が決まったら、標準作業方法でベテラン作業者に実際作業をしてもらい、その作業時間を測定する。そこで測定した作業時間を元に、必要に応じて作業スキルレベルなどを考慮した余裕率を設定し、標準時間とするのである。
そうすることで、実態と乖離があれば、標準作業方法との違いがないか、ベテラン作業者とのスピードの違いがないかなど、改善の視点が明確になり、標準原価と実際原価を近づけていくことができるのである。なお、標準時間の設定については、簡易にベテラン作業者の作業時間としたが、IE(インダストリアル・エンジニアリング)の手法を用いて理論的に決めることもできる。
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