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MOST法(MOST)

 MOST法とは標準時間を設定する手法であり、アメリカH.B.メイナード社により開発されたPTS法の一つである(MOSTとは、Maynard Operation Sequence Techniqueの頭文字をとったもの)。

 MOST法の画期的な点は、作業の流れ(シーケンス)という新しい発想を基本として標準時間を設定するため、標準時間の設定および改訂が、従来のタイムスタディー法、MTM法、WF法と比べて非常に効率的に行えることである。日本、欧米ではすでに機械・電子・電気・航空業界等で広く利用されている。

 標準時間の活用は、生産性向上、コストダウンを実現する効率的な経営管理の基本とも言えるが、従来ともすればその手法の繁雑さが普及の妨げになっていた。MOSTはその分析の容易さ、分析スピードの速さ、正確性、どれをとっても、こうした時代の要請に応えた手法と言える。

 たとえば、
「右手でナットを取り、ボルトに位置決めして、指で6回回してナットを締める」
という動作の標準時間は、以下のように分析する。

 A1 B0 G1 A1 B0 P3 F10 A0 B0 P0 A0 160TMU(16×10)
 これより、標準時間は5.76秒(160TMU×0.036秒)と設定される。

 MOST法には、BasicMOST, MiniMOST, MaxiMOSTの3種類がある。
 BasicMOSTはさまざまな生産方式、作業に広く適用でき、もっとも普及しており、MOSTの基本となる手法である。MiniMOSTは電子部品の組立などの短サイクル作業や、手や指の細かい動作を主とする作業の標準時間を設定する際に用いられる。逆にMaxiMOSTはプラントオペレーションや物流作業など、一作業のサイクルタイムが長い場合に適用される。
 MOST法は非常に優れた標準時間設定手法だが、標準時間を設定するためには一定の訓練を要する。

(文責:JMACコンサルタント 小田 哲)