工程シミュレーション
新工場建設やライン新設時、新製品導入時等において、工程設計の良し悪しを仮想的な方法を用いて検証することである。一般的にはシミュレーションソフトを活用する場合が多い。
製造現場や物流現場は4M(Man, Machine, Material, Method)が変動しながら、それぞれが有機的に絡み合って成り立っている。そのような状況下での工程設計は、単純計算ではなく、複数の変動要因を考慮しながら全体最適解を求める必要があり、複雑な計算といえる。製品ライフサイクルが短くなっている現在においては、数ヶ月前に設計した条件がいまも最適とは限らないことから、工程設計は短期間で何度も実施するケースも珍しくない。そのため、現在はシミュレーションソフトを活用した高度で高速な工程設計が求められている。
工程シミュレーションによる評価・検証項目(例)
生産能力・生産性の評価
- 出来高の評価
- 適正人員、労働生産性の評価
- 設備の能力、台数、設備稼動率の評価
- ラインバランス、ボトルネック工程の明確化
- 社内外含めた工程の同期化 など
レイアウト(配置、面積等)の評価
- 設備、製造室等の配置、面積の評価
- 在庫スペースの評価
- 生産、運搬時の動線や干渉 など
工程シミュレーションの実施手順(例)
工程シミュレーションの主な実施手順を以下に表わす。
① シミュレーション目的に適合した形で現場をモデル化する
② 基本条件を設定する
③ シミュレーション案を複数考え、モデルに条件を入力する
④ モデルを回す(シミュレーションする)
⑤ 結果を確認し、評価する
⑥ 必要に応じて、代替案を検討し、再度モデルを回す
⑦ 上記②〜⑥を繰り返す
工程シミュレーションの効果・良さとは
- 複雑な計算を高速に実施し、即時結果確認ができる
- 各資源の変化や結果を時間軸でビジュアルに捉えることができる
- 上記のことから、シミュレーション内容の共有がしやすく、改善のPDCAサイクルを素早く回すことができる
工程シミュレーションの難しさとは
とくに①シミュレーション目的に適合した形で現場をモデル化する点が難しさと言える。
モデルは詳細に構築することは可能だが、凝ったモデルを構築したとしても目的に適合するとは限らない。何のため、何を明らかにしたいか仮設を立てた上でシミュレーションすることが重要である。
(文責:JMACコンサルタント 亀ヶ森 昌之)
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