第39回 事業ユニット発想の裏ワザ
- 経営改革の知恵ぶくろ
神奴 圭康
今回は事業ユニットの設定において知っておきたい事業のタイプ分け(事業のパターン化)を 紹介します。
いろいろな事業にタイプがあるということを知っていることにより、事業ユニットの設定をやりやすくします。また、事業の特性・KFSのツボを押さえることを可能とします。事業ユニット設定の裏ワザとして事業のタイプ分けを活用してください。
3つの事業タイプがある
市場・顧客と商品・サービスを以下の切り口でとらえると、多種多様な事業を下図に示すように事業のタイプ分け(事業のパターン化)ができます
市場・顧客の切り口
・市場は顧客が法人か個人かによって法人顧客市場と個人顧客市場の2つの市場に分ける。
・法人顧客市場はBtoBの市場であり、少数特定顧客(大口顧客)と多数特定顧客(大口顧客と中小口顧客)の2つの顧客に分ける。
・個人顧客市場はB to Cの市場であり、顧客は多数不特定顧客の消費者と考える。
商品サービスの切り口
・商品・サービスの仕様が顧客仕様か否かによって、商品サービスは顧客仕様と標準仕様・セミ顧客仕様の2つに分ける。
・顧客仕様は顧客が指定する仕様に対応して開発・提供する商品・サービスを意味する。
・標準仕様は自社が仕様を開発して提供する商品・サービスを意味する。顧客に提示するカタログがある汎用規格の商品サービスといえる。
・セミ顧客仕様は標準仕様を前提に顧客の要求を採り入れ、カスタマイズした商品・サービスを意味する。
3つの事業タイプ分け
・事業のタイプは市場・顧客の切り口を優先すると次の3つの事業タイプに分けられる。
Ⅰ顧客密着型事業
・少数特定顧客に密着して商品・サービスを提供する事業。顧客密着型事業の商品・サービスは顧客仕様が中心となるが、標準・セミ顧客仕様もある。
Ⅱ顧客開拓型事業
・多数特定顧客を開拓して商品・サービスを提供する事業。顧客開拓事業の商品サービスは標準・セミ顧客仕様が中心となるが、顧客仕様もある。
Ⅲ市場開発型事業
・多数不特定顧客の市場を開発して商品・サービスを提供する事業。市場開発型事業の商品サービスは標準・セミ顧客仕様が中心となるが、顧客仕様もある。
事業タイプの特性・KFSを知る
次の表は、3つの事業タイプがもつ基本的な特性とKFSを示したものです。
事業のタイプが3つ(細かくは6つ)に集約されるのかと疑問に思う方もいるかも知れません。しかし、今までに多くの企業の多種多様な事業について関与ご支援してきましたが、事業タイプを参照することによって事業ユニットの設定や事業特性・KFSなど事業の本質理解に役立てることができました。ぜひ参考にしていただきたいと思います。
なお、表の該当事業の欄は、財区分(生産財・消費財・サービス財)のレベルで例示していますが、皆さまの会社の事業がどの事業タイプに該当するか是非確認してみてください。
次回は従来と異なる事業タイプを創る事例を紹介し、事業タイプの理解を深めたいと思います。
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