倉庫の収益はドンブリで見るべからず
- 物流のべからず集
広瀬 卓也
倉庫収益をドンブリ(一括)で見ることには問題を見逃す危険性がある。顧客別など適切な単位で倉庫収益を把握し、対象に合った打ち手を考えることが重要となる。
ねらい:収益管理
キーワード:倉庫効率・収益性把握
倉庫収益のドンブリ勘定は問題を隠す
多くの企業では倉庫を部門として捉え、収益(利益)を把握管理していると思いますが、その実態を見ると倉庫全体での採算管理のみを行なっている企業が多いようです。
会社として1つの顧客・1つの製品のみを取り扱っているならばそれでもよいのですが、そんな会社はほとんどないでしょう。価格・形状・在庫回転率などさまざまな特徴を持った製品や、売上・品揃えの違うさまざまな顧客を扱っているはずです。当然それらによって保管の状況や効率は異なります。
なお、倉庫の契約形態には坪単価制・期間制(二期制・三期制など)・単価制(ピースもしくはケース当たり単価支払)があり、どの方式をとるかは各企業の任意ですが、これに関しても保管の特性や実態と合わない契約形態を取っている例がまま見受けられます。
顧客・保管形態などに応じた収益管理を
正しい倉庫収益管理の第一歩は、対象を区分してそれに合った保管方法や契約形態を選択することです。具体的には次のように考えるとよいと思います。
■倉庫収益を区分する単位を考える
もっとも一般的なのは顧客別です。多層階の倉庫ではフロア別に顧客が分かれていることが多いでしょう。さらには主要な製品・商品カテゴリで保管場所が分かれる場合は、それごとに区分する方法もあります。
■区分ごとの収益を捉える
区分ごとに収入・支払(コスト)を捉え、倉庫として儲かっているかどうかを見ます。
■収益の良し悪しについて、その要因を考える
倉庫収益に直接的に影響するのは、在庫の動きです。一般的にボリュームや動きがあまりない対象については固定的(スペース一括・坪当たりなど)契約が、逆に荷動きの大きい対象については変動的(ケース当たりなど)が適しているとされます。在庫回転率やボリュームを対象ごとに分析し、契約とのアンマッチがないか確認してみましょう。
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