生産性の評価を結果のみで行うべからず
- 物流のべからず集
倉庫作業の生産性管理を行う際、結果の評価はマネジメント上必要であるが、倉庫作業は受注特性や製品特性により作業条件が異なることが多い。このため一概に結果(実績)だけを見て評価すると見誤る場合がある。条件が異なる場合には、類似した作業条件ごとに生産性の基準値を持つことが重要である。基準値に基づき作業計画を立案し、達成率を見ることで適切な評価を行うことができる。
ねらい:作業生産性向上
キーワード:荷役管理、作業管理・生産性管理
生産性実績を評価するだけでは問題は見えない
倉庫作業の生産性管理を行う際、作業日報や作業実績データに基づく生産性の評価はマネジメント上必要なことです。しかし、さまざまな種類の作業をさまざまな作業条件、たとえば、作業ロットサイズの大小や作業動線の長短、荷物の取扱いにくさなどが異なる中で、結果(実績)だけを見て評価することは難しいと言えます。
「今日の作業は手間がかかるものが多かったから、生産性が下がった」という発言をよく現場では耳にします。確かに手間がかかるものが多ければ、簡単な作業と比較すると生産性は下がります。しかし、これで問題は見えるのでしょうか?
重要なのは絶対値ではなく、計画値に対して結果を評価することです。つまり、手間がかかることにより、どの程度生産性が低下するかを計画に織り込み、「想定した以上に生産性が低下しなかったか」「どれだけ低下が抑えられたのか」を評価することが重要です。
作業条件に基づく基準値の設定と達成度の評価
生産性評価を正しく行うには、まずは作業内容を正しく把握することが重要です。どのような条件で作業時間が変化するのかを捉え、評価の基準を決めていきます。作業条件ごとに作業実績を収集し、生産性を計算することにより、作業条件ごとの生産性基準値を求めることができます。
次に、それらの基準値に基づき、作業計画を立案します。作業計画は目的に応じて、基準値をそのまま利用したり、生産性向上目標を考慮した目標値を利用します。生産性の評価は、設定した基準値、目標値に対して達成したかどうかで行うことが重要です。
単に結果(実績)だけを見ていても問題は見えてきません。達成度で評価することが問題解決の早道といえます。
(文責:茂木龍哉 シニア・コンサルタント)
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