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第88回 製造業の経営改革

  • 経営改革の知恵ぶくろ

神奴 圭康

今回は、製造業の事業タイプ分けをして経営改革に取り組むとことが、経営改革の急所を外さないためにいかに重要であるか、お話しします。あわせて、製造業に共通する「ものづくり経営改革」の枠組みをご紹介します。

事業タイプ分けをする

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事業タイプ分けとは、ある視点から事業を類型化(パターン化)することです。製造業の基本特性は、有形財を顧客に提供することです。したがって、製造業では、有形財=業種の視点から事業タイプ分けをすることが一般的です。生産財と消費財、生産財も素材・部品財と完成財、消費財も一般消費財と耐久消費財など、財の違いによる事業タイプ分けです。一方、第39回で、上図に示すように、市場・顧客と商品・サービスの違いよって、大きくは「Ⅰ:顧客密着型」、「Ⅱ:顧客開拓型」、「Ⅲ:市場開発型」の3つの事業タイプ分けをし、その特性・KFSを把握して経営改革に取り組むことについて、お話ししました。

これらの事業タイプの特性・KFSについては、第39回で確認していただければと思いますが、自社の事業タイプ分けと特性・KFSの把握を行って、経営改革に取り組むことがポイントです。

事業タイプ分けツールの活用

経営改革は、業種を認識して取り組むのは当然です。さらに、事業タイプを認識して取り組むことが、改革の急所を外さないために重要です。

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上図のシートは、経営改革メンバーが、1.財区分=業種2.市場・顧客/商品・サービス3.生産方式の違いを確認して、製造業の事業タイプを共通認識するためのツールです。グローバルに事業多角化を推進するA社は、このシートを、事業モデル発想や業務改革対象を決めるチェックシートとして活用しています。

ものづくり経営改革の枠組みとは

製造業は、ものづくり産業と言われます。業種や事業タイプは異なっても、ものづくり企業の経営改革の枠組みは、大きく次の3つの領域・柱から形成されていると考えます。

1.ものづくり戦略力(戦略構想競争力)
  ・「ものづくりビジョン力」・・・ものづくりによる価値創造のありかた
  ・「事業戦略策定力」・・・市場・顧客/商品・サービス戦略、事業モデル構想など

2.ものづくり実現力(事業システム競争力)
  ・3つの「ものづくり実現力」・・・「商品開発力」×「市場開発力」×「商品供給力」
  ・3つの「価値創造」・・・「価値開発」×「価値づくり」×「価値提供」

3.ものづくり資源力(組織能力の競争力)
  ・組織と人材のマネジメント、経営管理システム力
  ・人材・資金・ブランド・ノウハウ・ITなどの経営資源力

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ものづくり経営力が高い企業は、上図のように、3つの領域・柱が有機的にかみ合って経営改革が進んでいます。製造業は、グローバルな経営環境変化を先取りして、スピーディに対応することが求められています。

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