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第20回 マーケティングの個別戦略を考える(1)~4P戦略をどう使うか?~

  • 営業・マーケティングの知恵ぶくろ

笠井 和弥

前回までマーケティング基本戦略設定の考え方についてお話してきました。
今回から、「マーケティングの個別戦略」をテーマに色々な視点から考えてみたいと思います。

4P戦略とは?

マーケティングの個別戦略といえば、『4P戦略』を頭に浮かべる方が多いと思います。この4P戦略は、アメリカのジェローム・マッカーシーにより1961年に提唱されました。
マーケティング戦略の基本となるこの4Pとは、自社の製品やサービスを、その提供すべき市場を、共通するニーズを持つ単位に分け(セグメンテーション)、優先的に働きかけるターゲット市場を見つけ出し、そのターゲット市場にフィットするよう製品(Product)、価格(Price)、接点チャネル(Place)、販売促進(Promotion)の手段を組み合わせることです。

 1. 【製品(Product)】 :市場のニーズを適切に分析し、ニーズに適した製品を企画する
 2. 【価格(Price)】 :多少高くても、品質が極めて良く市場ニーズもある製品を、あるいは最高品質でな
             くても極めて安価である製品を企画する
 3. 【接点チャネル(Place)】 :顧客が容易に入手できる接点チャネルを構築する
 4. 【販売促進(Promotion)】 :認知度をあげたり、他製品との違いを知らせることで購入意向を働きか
                  ける
このようにターゲット市場に働きかけるための手段の組み合わせをマーケティング・ミックスといい4Pで表現されます。(下図参照)

mk20_1.jpg

さらに4Pをもう少し分解すると、下図のような要素から成り立ちます。

 1. 【製品】 は、その価値の基本となるコンセプト、サイズ、形、色といったパッケージハード、価値を分か
   りやすく伝えるネーミングなどから構成されます。
 2. 【価格】 は、顧客から見て購入する製品コンセプトに見合う価格価値(プライスバリュー)、高価格か、
   低価格かといった価格ゾーン、流通マージンやリベートから構成されます。
 3. 【接点チャネル】 は、どのセグメントを狙うのか、S/C(ストア・カバレッジ)、W/S(ウィンドシェ
   ア)のどちらに重点を置くのか、新規、買い替え、買い増しの構成比はどうするのか、どのようなチャネル
   構成にするのかなどです。
 4. 【販売促進】 は、顧客への認知訴求をどうするか、顧客にどう購入を働きかけるか、購入客と継続的な関
   係づくりをどのように図るかです。(下図参照)

あなたの関連されるビジネスをこの4つの点から考えてみてください。成功・失敗の理由を明確にできると思います。

mk20_2.jpg

4つのPと2つの視点 時代によって基軸を変えていますか?

事業=製品と考えると、ほとんどの企業はどのような製品をつくるのかを軸に個別戦略検討を始めます。マーケットが成長過程にある時は、競合製品が少ないので製品による優位性を発揮できます。特に、先発企業は、そのようなケースが多いといえます。 しかし、マーケットが成長し、参入企業も増え競争が激しくなると、製品戦略面だけでは差別化できなくなります。

例えば、携帯電話も普及率が高くなってくると、どのキャリアだろうと製品機能面での差は小さくなります。このような場合、どこで差別化するのか考える切り口として、製品戦略以外を軸にした戦略に切り替える必要が生じます。言いかえると、買い手のことを考えた戦略展開が必要になるということです。 お客さまはどのように考えているのか = お客さまと接するチャネルを中心に考えることが重要になってくるのです。

戦略はもともと"(既存領域の競争ビジネスにおいて)弱者が強者にいかにして勝つか"を考えることでした。しかしながら、この『戦略軸の転換』をせず、製品戦略中心の戦略展開をして失敗している企業が少なくありません。多くの後発企業(弱者)は、強者企業同様、Product中心の戦略展開に固執しすぎるあまり、市場でのポジション確保が果たせず撤退する企業が多いのも事実です。

"売れる商品"の時代から"選ばれる商品"の時代に移ったということば、しばしば指摘されています。この背後には、同一産業部門における各企業の技術開発力の均衡化を前提として、さらにマーケティング力そのものも販売ルート形成の面では、ほぼ互角に達している状況とみることができます。

例えば、消費財を例にみると、各社の製品はほぼ同じ機能、品質、スタイル、大きさなどの姿で、どの小売店頭やネット画面にも陳列(掲示)されており、まさに顧客による選択がその製品の生命を決めています。そのため、極めて多面的な諸活動=気配りが製品に生かされる必要があるのです。

このような状況下では、2つの視点から4P戦略を考えることが重要です。
 ・ 一つ目は"なぜ売れないか"から"なぜ買われないか"への転換です。
 ・ 二つ目は、"売れない言い訳より買われるための課題設定へ"の転換です。(下図参照)

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モノを起点に売れない要因を考えるのでなく、顧客を起点に、顧客がなぜ買わないのかを掘り下げ、顧客が買いやすくする(買われる)状態をどう作るかを考えることが重要なのです。接点チャネルを基軸とした4P戦略の組み立てが重要だと考えます。

次回テーマは、「4Pの製品戦略について」をお話しします。

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