第78回 「部下を上手に動かすコミュニケーション(1) ~部下に対する話し方~」
- 営業・マーケティングの知恵ぶくろ
笠井 和弥
マネージャーは、役割上、仕事のあらゆる場面で発生する問題を解決していかなければならないことが多く、「問題解決屋」と言ってもよいくらいです。JMAC調査によると、問題が発生する原因の7割は、コミュニケーションギャップにあります。ですから、マネージャーが日常の問題を解決するには、コミュニケーション能力をいかに高めるかが重要なカギになります。部下とのコミュニケーションをうまくやることで、目標達成も容易になります。コミュニケーションのやり方について、基本的なポイントを考えてみましょう。
部下に対する話し方の基本を理解する
「話」をする最大の目的は、相手の心に変化を起こさせることです。例えば、仕事の指示をすることによって、「よし、やろう」と相手に決心させ、行動に移させ、仕事の結果を報告することによって、判断や決定をもらうことです。
そのため、話をするときには、その目的が何かをはっきりさせることが大切です。しかし、現実は、話す内容(目的)がはっきりしないまま、思いつきで話していることが多いようです。これでは能率が悪く、場合によっては、感情的になってしまうでしょう。
そうならないために、まず、自分の話したいことを紙に書いてみることです。そして、「要するに」何が言いたいのかを簡潔に説明できるかどうか、チェックしてみるのです。「5W1H」・・・What, When, Where, Who, Why, How が明らかになるように、整理することです。
次に、話したい相手にどうすれば一番うまく伝わるか、を研究することです。 第一に、相手のことをよく理解することです。
・相手がどういう立場にいるのか
・相手が話し合うことをどう思っているのか
・相手はどんな話し方を好み、嫌うのか
・相手が自分のことをどう思っているのか
そして、自分の態度に注意することです。
・話に下手なテクニックをこらしていないか
・自分自身をさらけ出しているか
・熱意を持って話しているか
さらに、人間がどんな時に心を開いて相手の話を聞こうとするか、を理解することです。
・人間は、論理だけで動くのでなく、感情に行動が左右される
・人間は、偏見に満ち、自尊心と虚栄心によって動く
・人間の持っている性のうち最も強いものは、「他(人)に認められることを願う気持ち」である
以上の点から、話をするときには、自分を誇示せず、相手の立場に立って話すことで、相手に「この話し合いの場は有効だ」と気づかせることです。そのためには、相手の言葉を使ってわかりやすく話すことが必要です。同じ内容でも、人によって表現の仕方が違います。自分の表現を相手に押しつけるのではなく、相手の理解しやすい表現法を使うことが大切です。
話をまとめるにあたっては、どのようにでもとれる言葉、曖昧な表現を避け、できるだけ具体的な事実を使います。曖昧な表現が多くなるのは、伝えようとする内容が整理できていないケースが多いからです。常に、話の目的をはっきりさせて、話の中身を十分に吟味しておく、そして、「私は・・・・と思う」という表現を控え、「あなたが・・・・」を使うことで、相手を会話の主役の座に置くことを心がけましょう。
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