第79回 「部下を上手に動かすコミュニケーション(2) ~部下に対する説明の仕方~」
- 営業・マーケティングの知恵ぶくろ
笠井 和弥
部下に対する説明の仕方を理解する
マネージャーは、あらゆる場面で、仕事の内容について部下に説明する機会がありますが、そのやり方が一方通行になっていることが意外と多いようです。その原因を考えてみると、講義のように構えて話すので、聞く方も同じようにかしこまってしまい、「聞く」というより「聞かされている」形になっているのです。
説明するときのポイントを以下にあげますが、要は、いかに日常の延長線上でフランクに話せるかです。
1.相手が話の内容を理解しているかどうかを確かめながら話す
話していることを相手がよく理解しているかどうか、その態度や表情を見ながら確かめます。目線があちこちに移り、うなずきが少なかったら、ほとんど理解していない、話に興味を示していないと言えるでしょう。そういうときは、決して焦らず、一人ひとりの目を見ながら、理解度を確かめます。
2.説明の途中で質問したり、質問させたりする
内容をどの程度理解しているかを判断するために、節目で相手に質問を投げかけ、発言させてみます。突然質問しても、発言しないことも多いので、あらかじめ最初に「わからないことがあったら質問するように」と言っておいたり、職場のムードメーカー的な人に、質問するように頼んでおいたりします。
3.説明が単調にならないように、メリハリをつける
話を聞く方からすると、ダラダラとした話ほどウンザリすることはありません。このことは、話を聞かされた人なら誰でも同じでしょう。人間が人の話を集中して聞いていられるのは、10~15分と言われています。このような人間心理を十分に理解して、話をする人は、説明の仕方を工夫する必要があります。そのために良い方法として、相手が経験したり、身近な人たちが経験した具体例を入れるとか、たとえ話を使ったりして、興味を引きつけるようにします。人間は、身近なことには関心があるものです。
4.聞き手によって、話し方を変える
同じことを説明するのだからと、誰にでも同じ話し方をするのは、相手のことを全く理解していないからです。相手の経験、能力、性格、年齢はもちろん、今置かれている相手と自分の立場、相互の信頼関係などを考慮して、相手にアピールする話し方をする必要があります。
5.話だけでなく、資料を活用する
人間は、人の話を聞くときに、「話を聞くだけ」「資料を示されるだけ」「資料を示され、話を聞く」と、段階によって、それ以後頭の中に残る割合が違ってきます(上図参照)。 話を聞くだけだと、3時間後には70%残っていますが、3日経過すると10%しか残らないのです。これが、資料を示しながら話すと、聞いた方は、3日後も65%が頭の中に残ります。話を聞いただけの、実に6.5倍です。このことからもわかるように、特に重要と思われる内容については、できるだけ資料を示して、それを使いながら説明することです。
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