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現場改善

 現場改善は非常に幅広い範囲を包含するため、一言で定義することが難しい。ものづくりの現場でオペレーターが作業がより楽になる改善や以前よりも短時間で簡単に作業が出来る改善などから、間接部門(設計、購買、生産計画、品質管理等々)での第一線で業務を行っている色々な改善も、現場改善という範疇に入る。いずれもこれらの改善は、経営にとって非常に重要な働きを持っている。各部門の第一線が取り組む「現場改善」は、会社の利益向上に直結している活動だと言っても過言ではない。

 ものづくり現場の改善では、ライン生産で各オペレーターの作業時間を改善によりほぼ同じ時間で出来るようにすることで、ムダな手待ち時間を解消しサイクルタイムを短縮する、レイアウトや動線を見直して移動や運搬距離を短縮する、治具を工夫して作業をやり易くする、床に部品が置かれているのを作業台を活用して「かがむ」作業をなくすなど、最も基本となる改善である。設備でものを作っている現場では、段取り時間を短縮することや設備故障を低減する、朝の作業準備を簡素化するなど、設備の稼働率を向上するための改善も多岐にわたっている。

 品質面で言うと、工程不良を低減する、歩留まりを上げる、慢性不良をなくす、クレームを減らすという改善も現場改善で重要なものとなる。また生産計画で、生産ロットの大きさを見直して「納期を短縮する」とか、ボトルネック工程の生産能力に合わせて生産することで、自工程の仕掛り在庫を最少にするなども現場改善である。

 ものづくり現場で最も改善の基本となる「5S」もまさに現場改善である。整理・整頓により、ものを捜す時間をなくしたり、ムダな歩行をなくしたり、材料や部品を間違えることなく揃えることで生産性向上に寄与出来る。清掃の推進により設備や治具の微欠陥をより早く発見でき、トラブルが発生する前に対策を打つことが可能となる。

 現場改善のステップは、

  1. 現場の実態から改善テーマを設定する
  2. ロスを定量化する
  3. 目標値を決める
  4. ロスが発生している要因を確定する
  5. 改善方向や改善案を作成する(対策案の立案)
  6. 対策案を試行する
  7. 試行結果からOKかNGかを判断する
  8. NGの場合は対策案を見直す
  9. 再度の試行を得て対策案の有効性を確定する
  10. 改善が完了したら「歯止め」と「標準化」を行う。

 いずれにしても、現場改善は経営への貢献度が非常に高いことももちろんであるが、第一線の方々が現場改善を活発に行うことで、現場に活気が醸成され、士気の高い現場が実現することが大きな財産となる。

(文責:中島剛一)