2023年、検討すべき3つの経営課題
- 経営戦略・新事業
大谷 羊平
ここ数年、コロナの環境下での経済の停滞感や少子化の拡大、さらには戦争発生や紛争発生のリスクの高まりによる物価高騰や円安など、景気の先行きには不安感が留まったままで、日本の将来に対する閉塞感が感じられていた。しかし、まだまだ不安要素は残るものの、徐々にウィズコロナの環境にも慣れつつあり、2023年度は本格的な経済復活の年となりそうな予感がある。そういう中で、企業が先行して日本の将来への安心感を醸成し、閉塞感を打破していくことが重要ではないだろうか。
以下に、2023年に注目したいキーワードを列挙する。
キーワード① 賃上げ
政府の政策対応というよりは、優秀な人材の確保・育成に向け、ジョブ型採用などと合わせてスキルと賃金の関係がより明確になる1年の先駆けとなる予感がする。さらには人的資本経営の掛け声もあり、より着実に持続的成長を求める企業が早めに処遇や人材投資枠を高めて、優秀人材を確保しようとする動きの拡大も起きる。
賃上げを実現するためには、原資となる収益が上がることが前提であり、その観点からも「賃上げ」「収益性」というキーワードの重要性がより高まると想定する。
この収益性を上げるために、以下に挙げる2つの生産性「事業の生産性」と「働き方の生産性」という観点も重要となる。
キーワード② 事業の生産性
ROIC経営などに代表されるように事業ごとの収益性が明確になっており、儲かっている事業にきちんと投資しているのかという見方・考え方がより一般的になってくると考えられる。
社会課題解決と事業性の両立が出来る新たな事業を生み出し、そこに積みあがった内部留保を投資できるかどうか?また、自社の付加価値の源泉でない部分については圧倒的な自動化の検討・推進で物理的な生産性を高められるかどうか?2023年は持続的事業成長を可能とするかの分岐点になるのではないだろうか。
そのために、自社・事業の価値の再認識が出来ているかどうか、その認識に基づいて事業の位置づけ仕分けが出来ているかどうか、それに向かって動き出せていられるかどうかが問われる1年になる。
キーワード③ 働き方の生産性
コロナ渦で導入されたリモートワークやWeb会議などを、どの程度積極的に取り入れて、生産性の向上を図るかという視点である。
・出張費の削減にもなるため地方拠点とのWeb会議は継続するが、リアルでのコミュニケーションを優先する
・元通りのオフィスでの仕事、働き方に戻したい
・リアルとWebの良さを積極的に組み合わせて、新しい働き方、コミュニケーションの取り方を当たり前にする
など、選択の結果で人の働き方の生産性に大きな差が生じると感じる。
その日の予定や仕事の内容によって柔軟に働き方を選べる、移動時間という非生産的な時間を生活から極力除くことで、さまざまな余裕が生まれ、生産的になりうるのではないだろうか。
またその一方で、偶発的なイノベーションを生み出すために必要なリアルコミュニケーションを意図して設定する。そのような考えのもとで、分散と交流のバランスを再設計出来る会社が、コロナ前の常識を超えて生産性を高めうる。また、働く側の支持を集め採用魅力度にもつながる。そんな時代の分岐点もまた近づいていると感じる。
常に一緒にいるわけではないが一体感がある。仲間に必要とされていると感じられる。頑張りたいと思える。そんな会社になるために、自社の使命や価値を再確認し、使命や価値に沿った事業を展開する。
また、自社の価値観をしっかり発信し、価値観を共有できる多様な社内外のメンバーを集め、価値観によって協調し、一緒に事業推進を出来るようにする。
そのためには何をしていったらよいのか。そんなことを日々考えながら、JMACの経営も、クライアントの皆様の改革も推進する1年にしたい。
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