日本企業の未来を握る「シン・市民主義経営」4つのキーワード
- SX/サステブル経営推進
- 経営戦略・新事業
- JMAC EYES
茂木 龍哉
増田 さやか
サステナビリティ経営がマストとなった現在。JMACはSX(サステナビリティトランスフォーメーション)事業本部を立ち上げ、2022年に『サステナビリティ経営課題実態調査』を実施。そこから見えてきた今後の課題、そして企業がこれから取り組むべきポイントを、SX事業本部の茂木 龍哉(右)、増田 さやかに話を聞いた。
茂木 龍哉 (もぎ たつや):SX事業本部 本部長 兼 サステナビリティ経営推進センター センター長 シニア・コンサルタント
増田 さやか(ますだ さやか):サステナビリティ経営推進センター チーフ・コンサルタント
10年後も通用する企業でいられるか否か
サステナブルな経営に向けて、今までとは異なる価値観を持ってどのように取り組んでいくか――多くの企業で新しい模索が始まっている。再構成、再配置など、どのように経営のトランスフォーメーションを行えばよいのか。それを実践するためには、まず「市民主義経営」について考えなければならない。
1990年、日本能率協会(JMA)は「市民主義経営の提唱」を発信した。当時は、世界時価総額ランキング上位の大半を日本企業が占めていた時代。国内外の企業買収を繰り返すなど、強い日本企業に対し、あえてこの提唱は「日本企業が謙虚に社会のためになるように向かっていくべき」方向性を訴え、のちに書籍化もされた。市民とは「顧客、従業員、協力者、株主、融資者、影響圏の人々、一般社会の人々」を指し、未来に向けた「日本らしいサステナビリティ経営ビジョン」を提唱したものである。
「サステナビリティ経営を実現するための市民主義経営には4つの側面が必要です。まず、経営でもっとも重視すべきは『新しい価値の創造』であること。2つめは、企業は世界中のあらゆる″市民〟から歓迎されること。3つめは、企業は市民によって支持されること。4つめは、企業は文化の発信者であること。これらは30年近く経った今でも通じるものがありますが、現在の社会環境や社会課題を踏まえると、さらなる変革が必要であると考えます。そこで、昨年JMAHDグループ3社で『サステナビリティ経営課題実態調査』を行いました」(茂木)
国内の主要企業約3000社に対し、WEBアンケートを実施。有効回答数は202社。サステナビリティ経営のヒントとなる、興味深い結果が示された。
「主要事業が10年後も通用すると思うか、という設問に対し、通用すると回答した企業は21・3%でした。これらの企業は『懸念がある/転換が必要』と回答した企業と比べ、2021年度の時価総額平均が高いことがわかりました。クロス分析などを踏まえると、これらの企業は長期的視点で経営を行っており、『サステナビリティ経営の先進企業である』と結論づけました」(増田)
そして、これら先進企業の経営を分析すると、10の特徴があることがわかった。図❶はその特徴を分類したものである。
「これは、10の特徴をサステナビリティ経営実現のフローに落とし込んだものです。上段の3つが最初に取り組むべきベースになるもので、コンセプトは『社員の参画機会の創出と当事者意識の醸成』です。次に2段目。ここは『自社らしさの追求』を示しています。ここまで実現できるようになれば、ようやく3段目に進みます。まず左側の04-1と06が『現場実態に根差した″一挙両立〟テーマの設定』となり、右の04-2と05が『外部との積極的な連携と人材育成を可能にする企業文化づくり』となります。そして、最後に08の課題をクリアし、サステナブル経営が実現するのです」(茂木)
今回、明らかにした4つのコンセプトこそが、今の時代に即した「シン・市民主義経営への変革」に不可欠なものだと定義した(図❷)。
企業の先にあるより良い社会のために
JMACはこれまで、「現場主義」をコアメッセージとしてコンサルティング業務を行ってきた。戦後のものづくりに始まり、日本の製造現場を見続けてきたJMACには「日本らしさで、日本の発展を目指す」という企業DNAがある。
「JMACには元々『良き市民として、社会に関わろう』という考えが根づいています。今の日本企業は日本らしいサステナビリティ経営によって、世界をリードすべきとき。SX事業本部は社会・環境価値と経済価値を一挙両立し、ステークホルダーから支持され応援される企業への変革を支援していきます」(増田)
そこで、SX事業本部では多彩なサステナビリティ経営支援プログラムを用意。たとえば「社会課題型事業開発」や「サステナビリティ経営診断・脱炭素経営診断」、「サーキュラーエコノミー」、「製品LCA ・MFCA」「リスキリング型人材育成」など。
「経済価値と社会・環境価値の″一挙両立〟をキーワードに、さまざな角度からコンサルティングを行います。また、各種調査・研修もJMAHDグループ3社で実施していきます」(茂木)
これからのサステナビリティ経営を実現するために、JMACのSXコンサルティングにご注目を。
※本稿はJMAC発行の『Business Insights』75号からの転載です。
テーマから探す
連載タイトルから探す
JMACライブラリ
-
コラム
JMACコンサルタントがコンサルティングの現場で得た経験や知見、問題解決の視点などをコラムで紹介しています。
-
Business Insights(広報誌)
経営トップのメッセージ、JMACのコンサルティング事例を掲載した広報誌『Business Insights』を公開しています。
-
JMAC TV
JMACが提供する動画配信ストリーミングサービスです。産業界とあらゆる関係組織の経営革新活動の一助として人と組織の成長を支援し、広く社会に貢献することを目的としています。
-
経営のヒント
日本を代表する企業の経営トップの方から、経営革新や価値創造の実例、経営のヒントとなる視点や考え方を伺いました。
-
用語集
JMACコンサルタントがわかりやすく解説するオリジナルの用語集です。基本用語から重要用語までを厳選しています。
-
書籍
JMACコンサルタントが執筆・監修した書籍、技術資料、その他出版物を紹介します。