JMAC品質経営研究所だより Vol.2
品質保証をする上で、最も重要な要素は「自信」である
- 生産・ものづくり・品質
宗 裕二
品質保証をする上で、最も重要な要素は「自信」である
今回は、前回の自己紹介に引き続き、私の大学時代から品質を専門分野とするコンサルタントへとなっていった過程について、簡単にお話したいと思います。
私は中央大学理工学部で管理工学を専攻しました。
当学部は、工場の経営に関わる科学をいろいろな側面から学べる学科であり、中でも私は品質管理を専門に研究している教授に師事することになったのです。その教授の計らいで、大学に随分長い時間留まり、多くの勉強をさせていただきました。
「実際に役に立たなければ工学ではない。」とよく言われていたその教授は、当時、製造業界で盛んに推進されていたTQC活動(全社的品質管理活動)の一つの成果である「デミング賞」の審査委員を務められていました。
企業からの悩み事相談があると、「実務の勉強をしてこい」とばかりに、私を派遣し、数々の改善を支援する役目を仰せつかいました。「机上で勉強させてもらった多くの知識を実践で生かしてみろ!」と言うわけです。
20代の若造が企業にお邪魔して、専門は異なりますが、多くの経験と実績を持つ大先輩たちが行き詰まった悩みごとを、知恵を絞って解決に導かなければならないのです。たった1日企業へお邪魔して2つ3つのテーマの解決方向を導き出し、良い成果を出さなければならないのですから、緊張もしましたし、本当に大変でした。
うまく行かなければ、「実際に役立たなければ工学ではない、お前は何を勉強してきたのか!」と、教授に言われそうで、大げさかもしれないですが、帰れる場所がなくなってしまう覚悟で取り組んでいました。
勿論、今考えれば企業の先輩たちも大いに私を育ててくれる気持ちで接してくださっていたと思いますし、実際、大変勉強となりました。
今までの人生で、最も勉強をした時期であったといっても過言ではありません。今振り返れば、とにかく「負けたく無い!」という強い想いがあったことを良く覚えています。
しかし、「さて、何に負けたくなかったのだろうかと?」と、改めて考えてみると「品質改善に対してリーダーシップを取らなければならない」と、考えていたので、「相対する相手の品質改善に関する知識よりも、より多くの知識がなければならない」と考えていたのだと思うのです。
一流企業の技術者が相手だったので、相当深い知識がなければだめなわけです。お陰様で実務に通用するであろう品質改善技術の多くを実践として確認できましたし、それなりの確信も得ることができました。
当時、品質改善に関して誰にも負けない知識量を保有することで、どのような場面に出ても、ある程度の成果に結びつけることができるという自信となり、より大きな難問へと取り組むことで益々自信がついていったと思います。
結局、企業をご支援する仕事を本業とすることとなり、それから40年近く、品質を専門分野とするコンサルタントとして生計を立てています。
現在でも、クライアントが自信を持って品質保証できる人・組織となることを目指してご支援させていただいています。
近年、品質保証をする上で、最も重要な要素は「自信である」と思うようになりました。
特に、品質コンプライアンス事案が多く取沙汰されている昨今、自信をもって説明責任を果たすことの重要性を感じています。
そのような自信を持つためにも、何より基礎力が大切ではないでしょうか。
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