第7回 開発・技術マネジメント革新大会
- R&D・技術戦略
日時・場所
2003年6月11日(水)
東京コンファレンスセンター(東京・水道橋)
9:45-18:30
革新大会 全体レポート
第7回開発・技術マネジメント革新大会は、お陰さまで盛況のうちに終了いたしました。多数のご参加をいただきましてありがとうございました。大会の中では、企業での開発革新活動の紹介、ならびにJMACからの最新マネジメント手法の提案などが発表されました。
基本テーマ
新成長戦略とR&D革新
貴重講演
「挑戦的研究開発風土とシステム」
本田技研工業株式会社 社友 宍戸 俊雅 氏
■ 講演内容
1.挑戦的研究開発風土の基となる理念
2.人と風土をいかに育てるか
3.人を活かす組織と運営
4.人と風土をいかに活用してヒット商品を生み出すか
5.挑戦的研究開発の事例
講演の中では本田宗一郎氏のエピソードやCVCCエンジンの開発、シビックの開発、更にはアシモの開発など挑戦的研究、更にはアシモの開発など挑戦的研究開発事例を紹介して頂き、その中に宿る“ホンダイズム”を説明していただきました。
Aセッション
R&D戦略革新
「ダイナミック技術戦略による事業革新」
JMAC日本能率協会コンサルティング 佐藤 滋
戦略策定は、目的区分により3つに分けることができ、各々の狙いに応じたマネジメントを考察している。
短期技術戦略は商品戦略の中の対応技術の位置づけと考えるべきあり、ニーズ対応型の技術構築ともいえる。中期技術戦略は先行的にシーズを構築していくもので、将来の顧客価値の構想がキーであり、CF革新手法が有効である。
また、長期技術戦略は、事業インフラをいかに築くかというものであり、テクノロジープラットフォームとしての技術戦略策定が必要である。特にR&D革新と並行した将来の描きがポイントとなる。
それぞれをダイナミックな革新活動ととらえ、策定する戦略の中身に応じたリアルな仮説検証サイクルをまわしていくことが重要である。
Bセッション
開発設計革新
「技術者の”WILL”を軸とした育成手法」
JMAC日本能率協会コンサルティング 柏木 茂吉
■ 講演概要
・技術者育成が進まない理由
技術者の育成で悩んでいる色々な企業とお付き合いさせていただく中で、技術者が開発の喜びに触れられないような状況に置かれている、そして育成の場も無いといった状況が多いことに気付かされます。ここに技術者育成が進まない一つの理由があると考えられます。
・これからの技術者育成を考える
これからの育成を考える上では、ミドルマネージャーの役割を革新することが大きなポイントです。育成の場を日常の中で作り、技術者を創造へと駆り立てる、“WILL”に軸をおいた目標を設定する。これらはマネージャーの役割だと認識する必要があります。
■ 講演を終えて
講演後活発な質疑応答があり、マネージャーの役割、またトップの役割についてのご意見・ご感想などを、会場でご参加の皆さんから多くいただきました。引き続き本分野での研究・実践結果を、講演などでご紹介していきたいと思います。
科学するココロ ~「大人の科学」のねらい~
株式会社学習研究社 科学学習編集部 企画開発室 室長 湯本 博文 氏
■ 講演内容
大人から子供までの誰もが一度は触れたことがある、学研の「ふろく」にターゲットを絞り、その秘密に迫ります。「ふろく」ができるまでの主なプロセスとして、(1)プランづくり、(2)手作りの試作、(3)企画決定、(4)モデルづくり、(5)製作会議、(6)生産 がありますが、そのプロセスの中での重要なポイントについて、紹介していただきました。また、最近立ち上げた「大人の科学マガジン創刊」の経緯、コンセプト、苦労話についても具体的写真、サンプルを用いて説明いただきました。
Cセッション
製品・サービス革新
「製品革新を通じたモノ創り価値革新」
JMAC日本能率協会コンサルティング 鬼束 智昭
■ 講演内容
モノ創り価値革新の考え方と、それを実現する為の4つの製品革新手法ついて紹介。
1.ライフシーンプランニング手法による「価値創造革新」
2.先行コスト開発による「コスト革新」
3.この2つを実現する為のマスタープラン型技術開発による「技術革新」
4.魅力ある商品を開発するベースとなる「CHOUSENマネジメント」
「オムロンにおけるモノづくり価値革新」
オムロン株式会社 生体計測事業部 血圧計グループ 中西 浩也 氏
■ 講演内容
1.会社と商品の概要
2.取り組み活動
2-1.活動目標と成果
2-2.活動内容
2-3.活動ポイント
最後のまとめとして・・・
・商品の企画は、狙いの顧客・市場を自ら体感し、こだわりの部分と割り切りの部分を明確にすることが重要
・高いコスト革新目標を実現する為にはデザイン型のアプローチが重要
・メンバーのモチベーションを継続し、徹底した活動(3つくす)を行えば成果が出てくるということを実感
【講演内容の一部】
○モノづくり価値革新活動の体系
○商品企画と原価企画の活動内容
○活動ポイント
Dセッション
開発基盤革新
「ナレッジマネジメント革新の実践ポイント」
日本能率協会コンサルティング チーフ・コンサルタント 塚松 一也
■ 講演内容
ナレッジマネジメントは、IT導入問題ではなく、組織風土革新問題と認識して、こころしてかかるべきと考えます。Dセッションでは、JMACの塚松より、ナレッジマネジメント革新の進め方について、推進役、トップ、現場、それぞれの責任と留意点を中心に話をさせていただきました。
ナレッジマネジメント(KM)は、本質的に多次元で時間軸の異なる『意義』を有するものです。律して、多様な解釈に努めるとともに、KM革新を勝手に『こじんまり』考えないことが重要です。
忙しい開発現場の実態をまのあたりにすると、KMの推進がうまくいかない悪循環に陥っているようにみえます。KMの推進にあたり重要なことは、この悪循環を善循環に変える糸口があるように、問題をとらえることです。一見、切り崩しどころがないように見える悪循環ですが、推進役を中心にとりあえず『がんばれる』ことはあります。最初から凄いことを狙わずに、がんばれるところからがんばることが重要です。
ナレッジマネジメント革新は、組織の状態・風土を変える変革プロセスです。個々人の意識と行動を変えるプロセスですので、時間がかかるものです。大事なことは、最初に「しくみ」を現場におしつけるのではなく、現場の自発的な革新を促し、最後には「しくみ」化して終わるようにすることです。
◆ 参考資料
ナレッジマネジメント成功への鍵(pdfファイル) ←ご自由にダウンロードして下さい
「開発現場におけるナレッジマネジメントの推進」
松下電器産業株式会社生産革新本部 生産IT革新センター 香川 登志雄 氏
■ 講演内容
1.松下電器産業株式会社の概要
2.開発プロセス革新プロジェクト(デジタルモノづくり)の概要
3.商品開発におけるナレッジマネジメント
4.モデル(事)取組事例の紹介
5.開発ナレッジ活用のプロセスと支援システム
6.ナレッジマネジメント革新活動の現状とまとめ
最後のまとめとして、
・ひとりひとりのナレッジワーカとしての、行動の変化を実感
・革新の体系だった取組みを、組織的にじっくり行うことが必要
・日々の変化は小さいが、2年あれば変わる
というお話がありました。
現場でじっくりと変革することの重要性を教えていただいたように思います。
【講演内容の一部】
(講演者の許可をいただき、掲載しています)
■モデル事業所での推進の考え方
・ 「人」「プロセス」「ITシステム」の3つの切り口で推進
・5つのチーム体制による運営
■モデル事業所での革新プロジェクトの進め方
・最初にプロジェクトメンバーの動機付けフェーズをおく
・継続のために、最後はナレッジスタッフを置くようにする
■KM各種ツールのねらい
Eセッション
事業戦略革新
「フューチャーマネジメントへの挑戦
~開発力ある企業づくり:Excellent Way~」
Future Management & Innovation Consulting Inc 岩崎 壽夫 氏
■ 講演概要
-未来は来るものではなく創るもの-
高い志を持ちながら新しい価値の創出へ向けて挑戦し、自ら未来を切り開いていくことができる「開発型企業」つくりが求められています。
Excellent Wayは、第4世代マネジメント思想(複合的な価値追求マネジメント)にもとづいて「開発型企業の実現」を目指した革新手法体系です。Excellent way では、ビジョン・戦略力、商品開発力、革新力・変化力の3つの視点から企業の開発力水準を診断し、開発型企業つくりを目指した総合的な革新戦略の策定と実行を支援しています。
「収益力ある成長(Profitable Growth)を目指すための未来思考力の強化」
Future Management & Innovation Consulting Inc Christoph Gozdzielewski 氏
■ 講演概要
弛まぬ成長、それは市場動向に対する先見性を持ち、変化を受け入れることを恐れない自己革新的組織でのみ実現できます。DAWAは、Business Scanning Opportunity(BOS)による市場動向への感受性革新と、Adaptive Organization Dynamics(AOD)による自己革新的組織作りにより、収益性の高い、健全な継続的成長を企業にもたらします。
Fセッション
次世代R&D研究
JMA2003年提言 「独創的な高付加価値経営への挑戦」
社団法人日本能率協会 経営革新研究所 肥本 英輔 氏
■ 講演内容
1.日本の研究開発の現状
2.JMA2003年提言
・提言1 「全社ベースの開発経営への転換~全社・全機能をあげての開発体制づくり」
・提言2 「開発経営は経営者が主導する~CEOとCTOの連携による総合的な推進」
・提言3 「顧客現場から市場創造をめざすトータル・カスタマー・マネジメント~『サプライチェーン』
発想から『消費チェーン』発想へ」
・提言4 「オープンネットワークの活用による戦略的な連携開発の推進~開発効率の向上と独創の
強化を同時実現する」
・提言5 「開発プロジェクトチームのマネジメントの革新~集団天才による共創で限界突破をめざす」
・提言6 「創造性を尊重する組織風土・価値観の定着~持続可能な開発体制づくりは、企業文化の
変革から」
独創的な高付加価値経営の重要性を教えていただいたように思います。
【講演内容の一部】
(講演者の許可をいただき、掲載しています)
「企業成長と人事革新」
JMAC日本能率協会コンサルティング 人材マネジメント事業部 高原 暢恭
■ 講演内容
企業の成長の起爆剤を求めて、産業界は、成果主義人事への大転換を遂げました。しかし、成果がなかなか出にくいのが実情です。ここでは、本当に企業を成長させる人事革新とは何かを、「現場」の視点から実態調査報告を交えて提言しました。
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