第12回 開発・技術マネジメント革新大会
- R&D・技術戦略
日時・場所
2008年6月11日 9:45~18:30
東京コンファレンスセンター品川 東京都港区港南1-9-36 アレア品川
革新大会 全体レポート
「第12回開発・技術マネジメント革新大会」は、6月11日(水)、東京コンファレンスセンター品川にて開催されました。
300名近いお客様にご参加いただき、今年も盛況のうちに終了いたしました。
9名のスピーカーからは、各テーマについての具体的な取り組み、活動内容を紹介いただきました。変化が激しく、混沌とした世の中の状況の中で、R&D部門を中心にどう革新能力を高めていくかという課題に対して、非常に参考になる活動事例内容でした。
基本テーマ
「潮流を読み、R&Dの革新能力を高める」
今回で12回目の開催となる開発・技術マネジメント革新大会は、
毎年300人以上の方々にご参加いただき、ご好評をいただいております。
今年の大会では、基本テーマを「潮流を読み、R&Dの革新能力を高める」とし、
開発・技術マネジメントの各分野での先行事例をもとに、
皆様とこれからの開発・技術マネジメントを研究・相互交流していきたいと考えております。
貴重講演
『ケータイビジネスの潮流と一歩先の挑戦』
株式会社NTTドコモ 取締役常務執行役員 ネットワーク本部
二木 治成 氏
基調講演では、二木様より「ケータイビジネスの潮流と一歩先の挑戦」というタイトルでご講演いただきました。
これまでの携帯電話の変遷と、それを実現するための技術、サービスの進化、研究開発への取り組み、将来ビジョンとそれに向けた取り組みについてご紹介いただきました。
最先端技術領域の1つである携帯電話業界における将来動向、ビジョンを皆様興味深くご聴講されておりました。
特別講演
『今後の日中R&D連携は新時代に』
青山学院大学経営学部 客員教授
中国清華大学継続教育学院 顧問
株式会社イノベーションズ 代表取締役社長 中田 研一郎 氏
青山学院大学経営学部客員教授の中田研一郎様より「今後の日中R&D連携は新時代に」という題にて講演をして頂きました。
人材の多様化が加速化する中、中国においては就業の需給ギャップ、大学生の増加、日本においては大学生の理系離れ、人口の減少という現状を受け、日本企業の人的資産の再構成、そして日中の人的資源の共同体形成の必要性について話されました。
中国は急成長しており、民間企業のR&D領域のビジネス化が今後求められていく中で、日中人材リソースの東アジア人材プラットフォームが必要であると提案されて、「日中人材循環圏の構築」また「東アジア人材リソース循環圏」など、日中間での連携構想を会場の皆様も耳を傾けて聞いておられました。
『自分ごとでつながる地域企業イノベーションネットワーク』
いしかわMOTシンジケート 幹事
株式会社朝日電機製作所 電子設計部 主幹技師
砂崎 友宏 氏
特別講演2では、株式会社朝日電機製作所の砂崎様より「自分ごとでつながる地域イノベーションネットワーク」というテーマで、北陸企業を元気にするための“いしかわMOTシンジケート”の活動と参加企業の各取り組み事例をご紹介して頂きました。
“やらされ君”から“やるぞ君”へ変えるための「自分ごと」での行動、課題解決のための「四画面思考法」、メンバー同士の取り組みを共有し刺激しあう場としての「改革の輪」という活動の3原則を通した地域企業ネットワーク作り(シンジケート現象)の取り組みについて現場感溢れるご講演を頂き、皆様興味深く聞き入られておりました。
Aセッション
R&D戦略・企業革新
『「守り」から「攻め」へ
~将来起点で研究開発を革新する~』
株式会社ジャパンエナジー 精製技術センター所長
松田 健一 氏
大変盛況となって立見のお客様も出たA-1セッションでは、戦略立案力向上と戦略実行力向上をうまく融合し、その両輪を回すことで研究所の生産性を高める「R3-21活動」についてお話いただきました。
「3つのR(Revolution、Reform、Renaissance)を、Rの3倍ではなくRの3乗として捉え、力強く改革を推し進めていく」という熱い想いを、事例紹介を通して伝えていただき、一連の活動のなかで研究所が「守り」から「攻め」へとマインドリセットされてきている様子が伺えました。
その想いの熱さに触発された会場では「研究所全体をどのように改革に巻き込んでいくか」など活発な質疑応答が行われました。
『研究テーマを見出すイメージングプロセス』
キヤノン株式会社 基盤技術開発本部
基盤技術開発推進課 担当課長 杉山 正幸 氏
「研究テーマを見出すイメージングプロセス」と題して、未来構想研究会の成果をご講演頂きました。
研究テーマに対する技術者と経営者の齟齬の解消、新しい利益の源泉を生み出す「Innovation」の実践の為のプロセスや手法(トレンド仮説作り、脚本(未来地図)作り等)を数多くご紹介頂きました。
未来を現在の延長線上で予測(Forecast)するのではなく、未来を洞察(Foresight)し、その輝く未来(shining star)を信じて、創造していく事の重要性を強く訴えられました。
Shining star をディテールに描いた脚本をつくり、その脚本に対して技術をピッチインしていくアプローチを、「Context Driven R&D」とまとめられて、受講者の皆様から多くの共感の声が寄せられていました。
Bセッション
開発・設計革新
『世界No.1商品を創造するTM-1活動』
TOPCON Advanced Biomedical Imaging Laboratory General Manager
福間 康文 氏
Zeiss社の独占状態にあったOCT市場の技術革新期に、産学連携により先端技術を導入し、自社生産で「世界初のFD-OCT」と銘打って参入した中での活動ポイントなどを詳しくご紹介いただきました。
機会を逃がさず成長市場(OCT)へ参入し、事業部の総力を上げて世界No.1・世界初を目指した3D-OCT事業化のポイントとして、①技術革新に乗じること、②産学連携で先端技術を導入すること、③事業部の総力を挙げること、④資産を活かす(既存ハードの流用)こと、⑤強みを生かす(眼底カメラ機能との合体)ことの5つをお話いただきました。
会場からは「産学連携を達成するポイント」について質問があがり、“その技術が世に出る前から準備する”、“人・知のネットワーク”というキーワードに注目が集まりました。
最後は、グローバル視点でのR&D人材の採用・活用について、日本の将来を見据えた活発な意見交換が行われました。
『「お客様起点」と「ムダ取り」が開発設計現場を変える』
富士通株式会社 モバイルフォン事業本部
ビジネス推進統括部長代理兼業務改革推進部長 岩渕 敦 氏
携帯電話端末サービスの競争が激化する中、厳しい事業環境を勝ち抜くために、「お客様起点」と「徹底したムダ取り」をコンセプトに行ってこられた開発設計改革活動についてご講演頂きました。
近年、TPS思想を導入し、経営トップ、ミドルマネージャー、現場のエンジニアが一体となって開発設計改革活動を推進されてきました。また、開発設計現場のプロセス、チーム、カルチャーを同時に変えることで、事業成果の創出と継続的な現場改革をリードする人材育成にも注力されてきました。
これらの活動を通じて、部品点数削減にともなう量産トラブルの大幅な削減や、大部屋開発による技術課題の短期解決など大きな成果をあげておられます。
現在では、今後のさらなる改革のため、開発プロセスの徹底した見える化の取り組みを始められているとのことです。
会場は100名を超える参加者で、講演後も活発な質疑応答が行われ、大盛況のうちに終わりました。
Cセッション
人・組織高度化
『仕事と人材の同時革新 ~2軸革新活動~』
株式会社デンソー IC技術2部 主任部員
荒砂 俊和 氏 矢野 美香 氏
前半は「やらされ感」の払拭、「T.N.A(チーム感、納得感、あたりまえ感)」醸成に向けて部内で行った検討内容や「2軸革新活動」導入に至る経緯、後半は、実際の取り組み内容と事務局としてのかかわりについてご講演をいただきました。
デンソーIC技術2部では、はじめに若手メンバーを中心に「目指すIC技2像」の議論を行い、その後課題を把握するため、意識調査や将来に向けた提言の検討などを進める中で、2軸革新活動の導入に至りました。
「業務の見える化」「SN層(課長層)のマネジメント力向上」が必要と考え、①計画を変える・ミーティングを変える・フィードバックの場設定、②SN、サブリーダー、メンバーの役割発揮を軸に活動を推進されています。
活動を部内へ全面展開する際の事務局の工夫や苦労などに、会場の皆さまは非常に熱心に聞き入っておられました。部内への横展開、指標の見える化、活動状況の聞き込み調査などについて、効果を天気マークで表すなど、分かりやすくご紹介いただきました。また、活動の様子を写真を交えて面白くご紹介いただき、実態感が伝わってくると共に、会場からは笑い声がもれる楽しいご講演でありました。
質疑応答では「根底にある危機感は何だったのか」「何が活動のトリガーになったのか」あるいは「事務局による聞き込み調査を行なう上での工夫点は」「活動自体がやらされ感にならなかったのか」といった、同じようなお立場の方などからの質問を多数いただき、活発な意見交換がなされました。
『中国における原価企画の推進』
オムロン株式会社 事業プロセス革新本部
原価企画・開発購買革新センタ 主査 東原 由晃 氏
中国における原価企画を推進する取組事例が紹介されました。特に、日本と中国の違いから生じる問題に対して、文化や習慣を考慮した、標準マニュアルの作成や人事制度との関連付けを行うアプローチが紹介されました。
また、今後の活動として、日本ではコア技術を強化し、中国ではそのコア技術やローコスト部材を活用することで、コスト競争力を強化することが挙げられました。
受講者の方々は、そのような取組事例について熱心に聞き入り、積極的な質疑応答が行われました。
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