第16回 開発・技術マネジメント革新大会
- R&D・技術戦略
日時・場所
2012年6月14日(木) 10:00~18:30
東京コンファレンスセンター品川 東京都港区港南1-9-36 アレア品川
革新大会 全体レポート
今年の開発・技術マネジメント革新大会は6月14日(木)に東京コンファレンスセンター(品川)にて、約200名のお客様をお迎えし、大盛況の内に幕を閉じることができました。
今年度の大会は、「技術が経営をドライブする~RD&E革新による事業成長、技術・組織基盤強化~」と題して、世界№1への挑戦、技術の用途探索、グローバル開発マネジメント、技術基盤・業務基盤の強化、組織活力革新等のRD&E分野での革新事例をもとに、ご参加の皆様とRD&E、マネジメントのあり方についてについて講演と事例発表をいたしました。
基本テーマ
技術が経営をドライブする ~RD&E革新による事業成長、技術・組織基盤強化~
今年で16回目の開催になります、開発・技術マネジメント革新大会では、今年も「『技術』が経営をドライブするを基本テーマとし、世界№1への挑戦、技術の用途探索、グローバル開発マネジメント、技術基盤・業務基盤の強化、組織活力革新等のRD&E分野での革新事例紹介をもとに、ご参加の皆様とRD&Eマネジメントのあり方について、相互に交流することを目的としました。
貴重講演
『スーパーコンピュータ「京」 ‐10ペタフロップスへの挑戦-』
富士通株式会社
次世代テクニカルコンピューティング開発本部 本部長
追永 勇次 氏
スーパーコンピュータ「京」の開発について、ご講演いただきました。
「京」を適用する可能性のある津波シミュレーション、心臓シミュレータをご紹介して頂き、「京」の社会を変える可能性が伝わってきました。
また、世界トップの計算能力を実現する為に、困難な開発を達成されたご講演は、聴講者の方達に勇気と元気を与えて頂く内容でした。
A-1セッション 商品・技術戦略革新セッション
『中性子吸収材 MAXUS の開発について 』
日軽金アクト株式会社
MAXUSビジネスユニットビジネスユニットリーダー
山崎 俊明 氏
中性子吸収剤「MAXUS」の開発から事業化事例を通じて、技術シーズを起点に生まれた新規事業テーマが実際に事業化に至るまでの具体的な経緯についてご紹介頂きました。
日本軽金属株式会社から分社化された日軽金アクト様の成り立ちやビジョンを起点に、業績のV字回復を実現、様々な価値を出し、世の中に貢献してきた事例をお話し頂き、その中での「MAXUS」の開発経緯、原子力をターゲットとした難易度の非常に高い事業の立ち上げをいかに経営陣に納得してもらってきたか、認知の拡大に向けた学会発表を顧客を巻き込んで行うなどの活動を通じ、どのようにメンバーが様々な表彰を受け、広くターゲット市場に認知されるようになってきたか、というストーリーは非常に具体性に富むもので、受講者の皆様も熱心に聞き入っていらっしゃいました。
A-2セッション 研究・開発・設計部門の基盤強化セッション
『未然防止型ものづくりと技術人財育成』
TOTO株式会社 もの創り技術グループ
中央技術センター兼もの創り人財育成センター 所長
関 昭義 氏
未然防止のものづくりへの変革の取り組みについて、具体的な事例を交えて、ご講演いただきました。
TOTO様は、1980年第以前は、TQC型のもの創りをされており、非常に高い品質でものづくりをされていました。しかし、1980年代後半以降、効率優先のものづくりの問題が顕在化し、2004年から、全社革新プロジェクトとして、未然防止型のものづくりへの変革をスタートさせました。
未然防止型のものづくりでは、プロダクト革新として、感性価値の顕在化事例や、
プロセス革新として、品質工学とCAEの活用事例をご紹介いただきました。
質疑応答では、「技術マネジメント力の向上」や「事業部の巻き込み」といった実践的な質疑が行われました。
B-1セッション グローバル開発・設計革新セッション
『中国における研究開発拠点の課題』
オムロン(上海)有限公司
副総経理 井上 忠 氏
中国への研究開発拠点移管が進む中、実際の中国開発拠点の実例をもとに、現地での研究開発拠点の課題、商品開発のあり方についてご講演いただきました。
中国開発における以下の重要な点を、実例を交えてご紹介いただきました。
・中国というロケーションを活かした設計付帯業務の24時間実施体制を構築による
製品評価プロセスのL/T大幅短縮
・中国発の商品企画の有効性
・中国における人材流動の実態と安定化に向けた取り組み
・日本と中国におけるR&D拠点の役割分担のあり方
・知財保護に向けた具体的取り組み
日本企業が中国に進出する上で避けることができない懸念点を、実例を交えて
ご紹介いただいたことで、大変参考になったとの声が聞こえるご講演でした。
B-2セッション 複雑化時代における開発革新セッションセッション
『空洞化を生き抜くためのIT活用術』
日本オラクル株式会社
プリケーション事業統括本部 ディレクター
PLMソリューションスペシャリスト 村上 恵一 氏
これまでの日本企業のように設計を国内で実施し、海外で製造するという方式が変化し、現地での生産拠点集約、設計部門の工場併設などの流れが進む中、グローバルで戦うためのITシステムの役割と意義をご講演いただきました。また、ITシステムの導入により企業が変化していく事例を2つご紹介いただきました。
①意識改革の事例
機能性化学メーカにおけるPLM導入による現場改善事例をご紹介いただきました。改革活動を進めるにつれて、社内の保守的な方々の考えが変化し、組織が変わっていくダイナミックな事例が印象的でした。
②グローバル経営に向けた海外展開事例
海外生産拠点とPLMを共有することによる課題解決事例をご紹介いただきました。PLMを中心としたグローバルでのリアルタイムな利益管理、コミュニケーション管理により業務がスムーズに展開し、開発効率が向上する事例をお話しいただきました。
C-1セッション 組織・人材革新セッション①
『自律成長型組織を目指して』
株式会社 PFU ニュービジネス推進統括部
Active-V推進室 室長 石黒 渉 氏
人と組織活性化活動について、見える化活動を中心にご講演いただきました。
人と組織活性化活動は、改革を自律的に実践する人財や、組織風土を作ることを目的とし、見える化活動を通じて実現していきます。ご講演では、ソフトウエアかんばん、けぷと、ニコカレ等の見える化ツールを、自社で改良して活用され、高い成果を上げられている様子を伺うことができました。
また、講演では「どういう職場(チーム)がいいですか?」というテーマでのミニワークを入れ、双方向のコミュニケーションを取りながら進められました。
質疑応答においては、「活動の定着化」「経営者の関わり方」「気づきの活性化」等、非常に実践的な議論がなされました。
C-2セッション 組織・人材革新セッション②
『分析会社の生産性向上を目指した組織力強化』
株式会社 日東分析センター
取締役 管理部長 山村 隆 氏
日東電工創立100年に合わせ、生産性の向上や新しい技術創出が求められる中、その実現に向けて、全社員が一体感と高いモチベーションを持ち、生き生きと働く組織を作るための取り組みについて、ご講演いただきました。
経営、現場での現状認識に関わるホンネの議論を通じて生まれた意識の変化、実現に向けた「やりたいこと」「やるべきこと」「できること」の3つの視点に基づく、全社課題の整理、課題解決に向けた種々のユニークな施策に至るまで、組織力の向上に始まり、経営ビジョンを実現していくまでの道のり全体について、具体的な事例をご紹介いただき、受講者の方々からも活発な質問、意見交換がありました。
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