業務改革を同時実現する『基幹システム再構築』推進
第2回 基幹システム再構築の目的
- 業務改革・システム化
木原 和馬
連載コラムの初回では、基幹システム再構築の背景やきっかけと目的は異なり、目的は別途設定する必要があると紹介した。
今回は、基幹システム再構築の目的について紹介する。
目的は、中長期計画・目標と照応して設定する
基幹システム再構築の目的は、基幹システム再構築によって目指す業務やシステムの姿(To-Be)を決める際の基本的な考え方になる。そのため、基幹システム再構築プロジェクトの成果を左右するといっても過言ではない。
その、基幹システム再構築の目的を設定する際に注意すべきことは、より上位の目的である経営戦略や中長期計画・目標と照応して設定する必要がある点である。
昨今の外部環境(競争激化、環境変化のスピード加速、DX、労働力減少、人的資本経営、SDGs…)を踏まえ、新規事業を素早く成長軌道に乗せることやデータドリブン経営の実現、デジタル技術を活用した省人化体制の構築などを中長期目標として掲げる企業は多い。
多額の投資を伴い、業務のやり方を大きく変える機会である基幹システム再構築の目的は、これらの中長期計画・目標の達成に貢献する意味付けを伴って設定されるべきものである。
なお、基幹システム再構築は、その対象範囲にもよるが企画構想からシステム導入まで2年以上の期間がかかることが多い。そのため、3年間の中期計画のみを立案している場合は、5年後・10年後といった長期の目標やありたい姿を設定する必要がある。
基幹システム再構築目的もまた各社各様
上図は、中長期計画・目標と照応した基幹システム再構築の目的の検討イメージを簡略化して示したものである。
中長期計画実現に向けた課題を業務面、システム面、人材面等の視点から整理し、その中から基幹システム再構築のタイミングで解決すべき課題をふまえて、基幹システム再構築の目的を設定する。
上図では、既存事業が拡大基調にあり新規事業も検討している企業の例だが、もちろん業種、ビジネス状況、戦略の方向性によって、中長期計画の内容も、抱える課題も各社変わってくるであろう。背景が各社各様であるのと同様、基幹システム再構築の目的もまた、各社各様である。
なお、基幹システム再構築プロジェクトの中で現状を実態把握した後に、基幹システム再構築の目的を踏まえ、以下のように具体的な目標に展開することが多い。
- 受注処理における手入力件数 50%減
- データ自動連携範囲拡充によるチェック業務工数 40%減
- 現場実績のデジタル化による実績帳票(紙)からの転記作業の廃止
- 予実管理、実績管理の集計工数 80%減
- システム外でのExcelデータ管理の廃止
- システム改修リードタイム 50%短縮
- 月次決算公表の2営業日早期化 等
以上、第2回のコラムでは、基幹システム再構築の目的はプロジェクトの成果を左右するものであり、中長期計画・目標と照応して目的設定すべきであることを紹介した。
次回は『プロジェクト結果の満足度とPJTの失敗事例・理由』に関するコラムを予定している。
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