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業務改革を同時実現する『基幹システム再構築』推進

第7回 プロジェクト推進時のよくある課題 「Phase1実態把握」

  • 生産・ものづくり・品質

梅田 修二

前回(第6回)のコラムでは基幹システム再構築プロジェクトの推進フェーズの概要について説明した。今回からは、プロジェクト推進時の企業のよくある課題に関するコラムを各フェーズのステップ単位に分けて説明する。

第7回は【Phase1実態把握】について、「Step1 現状把握」「Step2業務改革課題整理&改革テーマ設定」のプロジェクト推進時のよくある課題についての話をする。

推進上の課題①:現状把握の方法が分からない

業務の全体像を把握している人がいないので、現場の業務実態を把握したいが、その現状把握方法やノウハウがないといった課題である。

なお、「業務の全体像を把握している人がいない」という声をよく聞くが、分業化が進んでいる現代では、業務を可視化したドキュメントがしっかり整備されていたり、意図的なローテーションが行われていない限り、そのような人材はいない方が通常である。だからこそ、現状把握を行う必要がある。

現状把握は、業務面・システム面の両面から把握する必要がある。

業務面として見える化すべき項目は、「業務項目」「業務分担」「業務量」「業務フロー」である。この4つが見える化されることで、現状の問題点・課題が洗い出される。

見える化する際、合わせて「業務パターン」についても抑えると良い。なぜなら、業務パターンが多いということはそれだけ業務が複雑であり、それをシステム対応しようと思うと膨大な費用がかかる。そのため、ToBe(目指す業務の姿)では、そのパターンをいかに減らすか、標準化(統合)を考えていく必要があるからである。

見える化の対象

見える化の対象

システム面は、現行システムが持っている「システム機能」「データ項目(マスタ、トランザクション)」「帳票」である。これは情報システム担当者なら把握していることも多いが、システムが持っている機能を業務軸で整理することで、業務面とセットで整理することがポイントである。

推進上の課題②:課題が現行の困りことレベル

現場に課題を確認しても、現状の困りごとレベルの課題しか出てこず、業務改革レベルの課題が出てこないという課題である。現在の課題だけを聞いているとこうなりやすい。もちろん現在の課題を把握することも必要だが、それだけでなく、会社が目指すビジネスの方向性、5年後・10年後を考えた時に、どのような課題があるかを確認する必要がある。そのためには、会社の中長期戦略、方針や経営者のプロジェクトへの期待を確認し、共有した上で、実態把握を進めていく必要がある。

3回のコラム(←リンク貼る)でも触れたが、プロジェクト失敗要因として「現行の業務手順・流れをそのまま踏襲したシステムの単なる置き換え」がある。置き換えにならないためには、何を解決するのか業務改革課題の設定が極めて重要である。そのため、業務改革課題を設定する『Phase1実態把握』は,プロジェクトの成果を左右する重要なPhaseと言って過言ではない。

次回は、『Phase2 RFP策定』におけるプロジェクト推進時のよくある課題についての発信を予定している。

 

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