業務改革を同時実現する『基幹システム再構築』推進
第6回 基幹システム再構築の推進フェーズ
- 業務改革・システム化
梅田 修二
第1回から第5回までのコラムでは業務改革として推進する背景・目的や必要性などについて述べた。第6回以降は、業務改革を同時実現する基幹システム再構築プロジェクトをどのように進めていくのかについて記す。
まず今回は、プロジェクト全体の推進フェーズについてお話しする。
プロジェクトの3つのフェーズ
以下の図は、業務改革を同時実現する基幹システム再構築プロジェクトの推進ステップである。
推進ステップは『①実態把握フェーズ』『②システム導入フェーズ』『③業務改革実行フェーズ』と大きく3つのフェーズに分けられる。
①実態把握フェーズ
最初のフェーズである『①実態把握フェーズ』では、業務面・システム面の両面から現状把握を行い、業務改革を実現するための解決すべき課題(=業務改革課題)を整理する。その際、現状ベースの顕在的な課題の整理だけでなく、会社の目指す中長期的な戦略の実現という視点を入れて、業務改革課題を整理する必要がある。
整理した業務改革課題については、取り組み優先度の設定に加え、「システム導入のタイミングで解決する課題」「システム導入に向けて事前に解決する課題」「システム以外で解決する課題」を区分けする。この課題の区分によって、次期フェーズが『②システム導入フェーズ』と『③業務改革実行フェーズ』に分岐する。
②システム導入フェーズ
『②システム導入フェーズ』では、まず業務改革課題を踏まえて、ありたい業務の姿(To-Be)とそれを実現するために必要なシステム機能を整理し、RFP(提案依頼書)をとりまとめ、システムベンダーへ提案を依頼する。そしてベンダーを選定した後は、要件定義・開発・テスト・教育・導入等を行っていく。
③業務改革実行フェーズ
『③業務改革実行フェーズ』は、業務課題を解決するための解決方向性を描き、実行するための計画(タスク・スケジュール)を立案したうえで、その計画に基づいて、改革実行していく。
業務改革実行フェーズの推進体制の確保
基幹システム再構築プロジェクトでは、「システム導入のタイミングで解決する課題」のみを対象にし、その他の課題についてはプロジェクト対象外とされることが多い。つまり『②システム導入フェーズ』だけ実行されて、『③業務改革実行フェーズ』は行われないことになり、それでは業務改革としては不十分である。
『③業務改革実行フェーズ』の必要性を認識していながらも、人的リソースがないなどの理由から、後回しにされるケースも多い。しかしながら、システム導入を伴わないで解決する課題であるため情報システム部門の人的リソースは基本的に不要であり、『②システム導入フェーズ』側の推進メンバーとは別のプロジェクトメンバーを各業務部門から招集した体制を組むことで推進が可能になる。
プロジェクトの推進体制についてはコラム3回目でも話をしたが、『①実態把握フェーズ』『②システム導入フェーズ』『③業務改革実行フェーズ』のどのフェーズにもおいても、各ユーザ部門(業務部門)の代表者のプロジェクト参画が重要である。
今回のコラムでは基幹システム再構築プロジェクトの推進フェーズの概要について説明した。次回以降は、プロジェクト推進時のよくある課題に関するコラムを各フェーズ単位に基本的に分けて、複数回の発信を予定している。
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