経営層が見ている品質 「品質保証レベル向上は本質・実質・体質の3つの「質」が重要」
品質実態調査の結果からは、「品質保証組織が十分に機能しているか」については、多くの企業において不満感があることが明確になった。しかし、品質保証レベルの向上に取組んでいる企業では、3つの「質」、本質・実質・体質を上げることを意図した取組みが行なわれていた。
●良品条件の「本質」追求
品質保証レベルを向上させるには、源流でのつくり込み品質をいかに上げるかが重要だということはよく知られているが、大切なのはその中身である。ある企業では、加工の基本要素(例えば切削・溶接など)について、良品を製造する条件の徹底解明を品質保証部門のリードで行っていた。良品条件の徹底解明は、良品・不良品発生のメカニズムを掴むことであり、技術・管理面で貴重なノウハウの蓄積となる。この活動は、品質保証の「本質」追求といえるのではないだろうか。
●あらゆる現場(開発~製造・サービス)の「実質」を変えていく
品質維持・向上の活動において、標準・基準類をつくること自体を目的化している場合が散見される。しかし、品質維持・向上の意味合い・目的を理解させ、実施事項のレベルを達成していくことこそ大切なことである。ある企業では、品質保証部門主導で標準類を使用し、各業務・作業が意図通り実施されているかという「行動の確認」を行っていた。製品やプロセスにおける品質は、現場での行動という「実質」によって決まるのである。
●しつこい活動で「体質」化
上記の「本質」「実質」を求める2例は、トップ・品質保証部門の主導のもと、組織の「体質」となるまで、いずれもしつこい活動を続けていた。このことがさらに重要なことと考える。
コンサルタントプロフィール
チーフ・コンサルタント 石田 秀夫
大手自動車メーカーの生産技術部門の実務を経て、JMACに入社。ものづくり領域(開発・設計~生産技術~生産)のシームレスな改革・改善活動のコンサルティングに長年従事。生産技術リードでものづくりを変え、日本製造業の強みである「造り込み品質」や「ものづくり」の力を引き出し、企業を段違いな競争力にするコンサルティングを推進中である。近年は日本版インダストリー4.0/IoT化によるQCDダントツ化デザインや生産戦略/生産技術戦略、ものづくりグランドデザインを主要テーマにしている。
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