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コンサルタントの視点 「品質KPI(key performance indicator)」

JQMQvol.5_20110926.pdf

コンサルティングにおいて、最近よく質問されることとして「品質KPIを何にするべきか、特に頑張りが評価されるような指標は無いのか」というものがある。品質KPIは通常、クレーム件数、失敗コストが主要なものとしてあげられる。これらは出来ていて当たり前、出来なければ怒られるといった指標である。顧客満足度、監査ランクなど前向きな評価指標が採用されていることもあるが、監査ランクはともかく、顧客満足度は品質向上結果のみが影響するものではないため歯切れの悪さが残る。

 そこで、コストダウン活動のようにスコアを確実に稼げるような前向きに活動できる指標について考えたい。KPIは、経営貢献に繋がる組織活動を牽引するための指標であるので、経営貢献という観点を中心に据えたい。サービスの向上により、事業貢献の度合いを測ることができる場合、サービス・アップ項目を指標として設定することも考えられる(顧客の問合せに対する回答時間など)が、最もわかりやすい指標はやはりコストに関係するものである。コストの見方として、一つ目は現状の品質コストを正確に捉え、失敗コストの比率を下げる(あるいは予防コストの比率を上げるなど)、一定の品質レベル(クレーム、不良など)を維持し、品質保証活動関連コスト(予防コスト、是正コストなど含む)を下げるといったことがあげられる。もう一つは現状発生しているコストではなく、品質保証のレベルアップを目的に、現場の状態などを含め、ここまで手をかければよいといった理想像を描き、そのための投資金額を評価する。
その上で、求める品質レベルを変えずに投資金額抑制のための工夫を凝らすというものである。品質リスクを把握、スコア化し、リスクスコアを低減するといった方法もあるが、その運用の手間を考えると、まずは理想の実現に必要な投資費用を如何に抑えるかといった見方、取組の方が着手しやすいのではないだろうか?

コンサルタントプロフィール

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シニア・コンサルタント 松田 将寿

早稲田大学大学院修士課程国際法専攻修了後、1994年にJMAC入社。
製造業を中心に24年の経験(生産領域コンサルティング12年、戦略領域コンサルティング12年)を持ち、国内外(外は現地企業・大学なども含む)、大企業~中小企業など幅広く支援を行っている。
品質カテゴリーに関しては、経営・事業戦略への組込み、経営体質作り(改善・改革の骨格)として捉えて支援している他、品質マネジメントシステム、品質保証・品質管理の側面から組織・機能連携、外注戦略、業務改革なども支援している。

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