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経営層が見ている品質 「今こそ打て!現場の品質レベル」

JQMQvol.5_20110926.pdf

最近、各社を訪問するなかで、品質レベルが昔に比べ、指標、行動のいずれにおいても落ちてきたとボヤく経営者が増えてきたように感じる。要求品質が高まるなか、現場の力が落ち、品質レベルの維持が難しくなっている状況が散見される。

●標準化の弊害?(弱くなる現場、考えさせない管理者)

品質の改善サイクルの行きつくところは、「歯止め」という名の標準化である。標準化は、同質的な行動や製造を行う際には必要である。

他方、「なぜ、その作業が標準化されているのか?」、「なぜ、その管理基準となっているのか?」といったお客様の要求レベルや背景(過去のトラブルなど)、良品をつくるためのメカニズムの理解を促す機会が不具合再発の現場においては不足傾向にある。

標準化により、考えない従業員が量産され、同時に、本質を理解させるための場づくり、モノの考え方や品質の捉え方等について十分に指導しない管理者が増えていると思われる。

●品質レベルが弱くなった背景には経営者の責任も?

品質問題を論じる際に良く出る話題として、若年層のレベル低下がある。確かにインタビューやQCサークル等を通して、そうした実態は感じられる。

しかし、その従業員を作り出したのは経営者であり管理者である。経営者・管理者には今も昔も顧客要求や従業員の質を含め、環境変化を踏まえた先手を打つことが求められる。

「考える従業員」の量産に向け、経営者・管理者による考える場づくり、日々の考え方の伝承を厳しくも温かい率先垂範で進めることが大切である。
最近は、この基本を忘れがちではないだろうか。

コンサルタントプロフィール

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チーフ・コンサルタント 石田 秀夫

大手自動車メーカーの生産技術部門の実務を経て、JMACに入社。ものづくり領域(開発・設計~生産技術~生産)のシームレスな改革・改善活動のコンサルティングに長年従事。生産技術リードでものづくりを変え、日本製造業の強みである「造り込み品質」や「ものづくり」の力を引き出し、企業を段違いな競争力にするコンサルティングを推進中である。近年は日本版インダストリー4.0/IoT化によるQCDダントツ化デザインや生産戦略/生産技術戦略、ものづくりグランドデザインを主要テーマにしている。

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