経営層が見ている品質 「中期計画の質を上げる」
最近、品質の定義は製品やサービスだけでなく、業務そのものについても拡がっている。経営者が率先し、かつ牽引するべき品質向上の対象として中期計画がある。中期計画の立案支援にあたり、いつも感じる課題が3つある。
①市場、顧客、競合の将来動向分析不足
中期計画立案を機会にSWOT分析等を行うが、定常的に市場、顧客、競合の将来動向を分析するべきである。特にグローバル進出を考える際は重要である。
BtoBビジネス中心の企業ほど、将来動向が顧客依存となっており、こうした取り組みが不足傾向にある。経営者は体制作りと、このような取り組みのできる人材育成を確実に行いたい。
②右上がりの売上計画
中期計画の数字目標を見ると、大抵は右上がりの売上目標になっている。市場動向や従来の自社の取り組みをふまえると、右上がりになるとは限らない。 しかし、経営者の右上がりになっていないとの指摘があると、担当者は中期的ではなく、短期的な施策のみに陥ってしまう。中期計画の意義を根本的に考え直したい。
③中期計画の展開不足
現場への中期計画の理解浸透、現場の業務とのつながり、中期施策の体制構築については経営者として最低限、関与したい。毎年見直しまたは構築される中期計画の質向上は、経営の質に直結する。質の良い中期計画を立案、展開、実行するための方策を、この機会にもう一度考えてみたい。
コンサルタントプロフィール
シニア・コンサルタント 野元 伸一郎
東京理科大学大学院修士課程経営工学専攻修了後、1993年にJMAC入社。一貫して研究・開発分野のコンサルティングを実施。設計品質向上をベースにした開発プロセス革新/コンカレントエンジニアリング、プロジェクトマネジメント、技術ロードマップ構築等を数多く推進している。2012/3に北陸先端科学技術大学院博士後期課程で知識科学博士号を取得。2016/3までJMAホールディングス ASEAN推進センター長を兼任し、AEC(ASEAN経済共同体)以降を見据えたASEANビジネスのあり方、各地域別に求められる製品品質・サービス品質について、研究、事業化を行っている。
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