コンサルタントの視点 「『知っている』 と 『やり抜いている』の違い」
コンサルティングの中で、品質の良い会社と芳しくない会社を見ると、現場レベルの行動において「知っている」と「やり抜いている」の差の大きさがある。
品質の良い会社は、さまざまな活動を「やり抜いている」。
芳しくない会社は、「知っている」レベルに留まっている。
品質に関わる活動に必要な情報は、「知っている」ことが多い。
しかし、「知っている」レベルでの活動は負の連鎖を引き起こす。ISO、標準化、QCサークル等、さまざまな活動に取り組んでいるが、一向に成果の出ていない会社があった。
その会社の品質担当役員によると、さまざまな方法論やツールを理解し、教育も行っている。しかし、現場を見ると、品質のツボをついていない標準作業票やQCサークルシートの掲示等々。
QCサークルでは、設備の条件設定ミスを取り上げていたが、その要因はヒューマン・エラー、対策は教育とダブルチェック。その程度の要因解析や対策で、品質が良くなった会社は見たことがない。「知っている」レベルでQCサークルを運用、指導すれば、現場はやらされ感の中で活動に取り組み、成果を得られないまま、負担のみ残る。
「やり抜いている」会社は、現場レベルで活動の目的や考え方の本質をほぼ一人ひとりが理解し、それらを徹底的に現場に叩き込む「監督職」が存在する。現場の担当者に考えさせ、「知っている」レベルの会社とは格段に違う要因解析を行う。「やり抜く」ことにより、考える現場を創るとともに、上層部が監督職を動かすためのしつこさと工夫を行っている。
小さくとも思われる差が結果的に大きな差を生み、品質レベル(クレーム・不良率)に繋がっている。この小さな差をいかに埋めるかは、トップや監督職のしつこさと工夫に掛かっている。
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コンサルタントプロフィール
チーフ・コンサルタント 石田 秀夫
大手自動車メーカーの生産技術部門の実務を経て、JMACに入社。ものづくり領域(開発・設計~生産技術~生産)のシームレスな改革・改善活動のコンサルティングに長年従事。生産技術リードでものづくりを変え、日本製造業の強みである「造り込み品質」や「ものづくり」の力を引き出し、企業を段違いな競争力にするコンサルティングを推進中である。近年は日本版インダストリー4.0/IoT化によるQCDダントツ化デザインや生産戦略/生産技術戦略、ものづくりグランドデザインを主要テーマにしている。
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