経営層が見ている品質 「イノベーションの質を上げる」
先日、タイの品質管理国際学会/ANQ Congress 2013 Bangkokに参加した際に、とても興味深い講演に出会った。
講演者は、タイ・ローカルにおける食品関連No.1企業CP(Charoen Phokphan)グループのコア企業であるCPram社Vice PresidentのRampaiparn Porntresat氏
テーマは、"CPram's Journey for Quality Management".
CP グループは、コングロマリットな企業であり、その事業は食品、農業、工業、流通等、多岐に渡る。CPram社は、全社的な品質改善活動に取り組む中で、さまざまな経営手法(KPI管理等)を効果的に取り込み、継続的改善に繋げている。
経営手法や改革手法の導入は経営側にとってのメリットは大きいが、現場側は混乱し、上手く機能しないといった状況がしばしば見受けられる。CPram社においては、
・ASEAN/中国へも展開を開始した現場側による品質/安全を基軸とした仕組みの遵守
・マネジャー・クラスにおけるリーダーシップモデルの取り込み、自律化
・経営側によるバランスド・スコアカードの活用、戦略の具現化、展開
さらに、こうした取組みの中で、ナレッジマネジメントの名の下、全部門にイノベーションを促している。
例えば、開発はIdea Tankの蓄積、営業は新しい顧客セグメントの開拓、製造は小ロット化への対応、商品企画は戦略的パートナー作り、カスタマセンターはミステリーショッパー、品質管理は品質保証・品質管理マインドの醸成等もイノベーションとして挙げている。
講演では、そのための努力の重要性とともに、挑戦し続けること自体がイノベーションであると強調していた。毎年、目標レベルを上げながら、その実現のために工夫し続けることがイノベーションの質を高める活動であると考えさせられた。
イノベーションの質を上げることは、今後の経営者の考える品質の重要なファクターとなり得るのではないか。
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2013年10月バンコクで開催したANQ Congress 2013 (タイの品質管理学会国際シンポジウム)で、野元伸一郎が発表した資料を贈呈させていただきます。ご希望の方は編集部までご連絡ください。
『AEC/ASEAN経済共同体以降の変化を見据えた日本メーカーの製品開発と品質コストに関する考察』
-現状の品質に関する日本/タイ考え方の違い事例をふまえ-
JMAC シニア・コンサルタント 野元 伸一郎
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コンサルタントプロフィール
シニア・コンサルタント 野元 伸一郎
東京理科大学大学院修士課程経営工学専攻修了後、1993年にJMAC入社。一貫して研究・開発分野のコンサルティングを実施。設計品質向上をベースにした開発プロセス革新/コンカレントエンジニアリング、プロジェクトマネジメント、技術ロードマップ構築等を数多く推進している。2012/3に北陸先端科学技術大学院博士後期課程で知識科学博士号を取得。2016/3までJMAホールディングス ASEAN推進センター長を兼任し、AEC(ASEAN経済共同体)以降を見据えたASEANビジネスのあり方、各地域別に求められる製品品質・サービス品質について、研究、事業化を行っている。
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