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第1回 サステナビリティ経営を実現するSDGs5つのアクション

  • SX/サステブル経営推進

山田 朗

山田 朗(シニア・コンサルタント)

SDGsの追求:サステナビリティ経営

JMACではサステナビリティ経営支援の一環として、とりわけ昨今ではSDGs推進コンサルティングを行っている。本コラムではJMACのサステナビリティ研究会のメンバーがリレー方式で、SDGsに関連した企業経営に役立つ情報をお伝えする。

変革の必要性

今まさにコロナ禍において仕事の仕方、社会の仕組み、消費者心理、市場構造が変化し社会・経済に重大な影響を与えている。今後もこうしたパンデミックや気候変動がもたらす洪水・熱波などによる健康被害の増大、高齢化・労働人口の減少など、物理的または社会的制約やニーズの変化が企業経営にさらに大きな影響を及ぼすと考えられている。そうした大きな変化に対して、企業は自らを素早く変革・トランスフォームできるかが今、問われている。

その変化の方向は、これまでの「経済的価値の創造」から、環境と社会も考慮した「経済的価値と社会的価値の同時創造」である。この2つの価値を同時に創造できない企業は、この先生き残れない。まさにサステナブル、持続可能な経営への変革が求められている。

変革の必要性

目指すサステナビリティとは、現代世代の誰もが環境・社会・経済的な繁栄と幸せを享受でき、それが将来世代にも確実に引き継がれる世の中をつくることだ。

サステナビリティ経営とは、その考え方をベースに社会的価値と経済的価値を同時に創造する組織の変革を促進し、ステークホルダーから常に支持され、応援される企業に変革することである。

昨今このサステナビリティの分野ではSDGsの動きが活発化している。SDGsはご存じのとおり国連が定めた「持続可能な開発目標」のことで、2030年までに解決すべき世界の課題を17の目標に整理している。それらはサステナビリティでいう環境・社会・経済というトリプルボトムラインを具体的に表現したものとみることができる。したがって、われわれはSDGsを追求することが、サステナビリティ経営を具現化する活動であると位置づけている。

SDGsを活用した一気通貫の3つの変革

SDGsは環境・社会・経済価値を同時実現するサステナビリティ経営を行うためのツール、すなわち組織を変革するためのツールであるといえる。SDGsをツールとして活用することで、以下の3つの変革が考えられる。

1 自社の考え方を変革する

1つ目が、自社の考え方を変革すること、つまり環境、社会、自社の成長についてのありたい姿を統合したビジョン・戦略をつくり出す変革である。

社会の問題を認識して自社のミッションに立ち返り、将来のありたい姿を描く。そのうえで環境・社会・経済の重要課題、つまりマテリアリティを特定し、将来の不確実性の中からもバックキャストした取り組み事項を中長期マスタープランに落し込む。

2 バリューチェーンを変革する

2つ目が、バリューチェーンの変革、つまり開発、調達、製造、販売、また人事総務などの各機能の価値・競争力を高める変革である。

ここでは、自社の利益や顧客への提供価値だけではなく、バリューチェーンに対して何ができるかを考える。そのときにOutside-In(アウトサイド・イン)という、現在の企業の位置から考えるのでなく、冒頭に述べたように大きく変わりゆく社会・環境の影響やニーズからの思考で考える。

3 自社の仕組みを変革する

3つ目の変革が、自社の仕組みの変革である。

事業活動の評価時には、これまでの経済的価値での評価だけではなく、社会的価値も合わせた評価が必要となる。さらに管理指標として、サステナビリティ情報をもとにしたSDGs管理指標を設定する。また、自社内での継続的な活動に向けては、確かな新技術やイノベーションの創出と、確実に成果を出すためのPDCAサイクルによる仕組み化も重要である。

一気通貫の3つの変革

SDGs推進に向けてやるべきこと

これまででSDGsを推進するときの課題が見えてきたのではないだろうか。
そこで、実際にSDGsを推進するにあたり、自社として取り組むべき5つのアクションを提示したい。

①ビジョン・戦略策定

まずは、ビジョン・戦略づくりである。自社を振り返り、強みや弱みを明らかにしたうえで、将来の動向を調査し、自社のバリューチェーン与える影響を分析し、機会や脅威を明確化する。そしてSDGsビジョンの策定、もっとも重要な課題(マテリアリティ)を特定する。その後は中期経営計画とリンクした形でSDGs活動プランを策定するという流れだ。

②事業・機能の強化

2つ目は、SDGs活動プランを実現するための事業・機能の強化である。SDGsで掲げる社会貢献目標と自社の経営成果の両面を同時に実現するために各事業・機能の強化に必要な技術を高度化する必要がある。自社の機能、たとえば戦略、開発、調達、製造、物流、販売、人事総務などすべての機能においてSDGsの推進でどのような価値向上が行えるのか、客観的に判断しつつ実践へと歩を進める必要がある。

③運用・仕組みの構築

3つ目は、SDGs活動プランをPDCAサイクルに乗せ運用する仕組みづくりである。SDGs活動プランの各プロセスや機能に目標を展開し、KGI/KPIという管理指標を設定し、それをモニタリングしアクションする仕組みを構築する。

④組織人材・文化の構築

4つ目として、SDGsを推進する一人ひとりの意識啓蒙や企業文化の構築も忘れてはならない。組織人材・文化構築のためにはサステナビリティ研修やSDGs研修などを通した啓蒙や全社的な組織風土の改革も非常に有効である。

⑤認知・ファンづくり

最後に、そうした活動状況を投資家を含めたステークホルダーにしっかり伝えることが重要である。SDGsを通した自社の認知・ファンづくりを社内外に向けて広報し、ESG/SDGsに関連した事業価値の創造をわかりやすいストーリーにして、ステークホルダーへ開示していく必要がある。また、こうした情報開示は、社員のエンゲージメント向上にも大いに役立つ。

今後約20回にわたり、SDGsを追求し、環境・社会・経済価値を同時実現するサステナビリティ経営に関する情報を公開していく。

JMACのSDGs推進コンサルティング

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