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第17回 ISO14001:2015の活かし方:箇条ごとのポイント その3

山田 朗

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第16回の続きです。

箇条9 9.1監視、測定、分析及び評価

 従来からある要求事項ですが、何を監視・測定の対象とするかが重要です。一般的には取り組むべきリスク及び機会から展開された環境目標項目、維持管理項目などがまず頭に浮かびますね。
 対象を決めるうえで認識しておくべきものは、環境報告書など作成ガイドラインです。環境省の環境報告書ガイドラインや世界で広く活用されているGRIガイドラインなどです。ここには世の中で求められる公開すべき情報項目が記載されているので、自社で監視・測定項目を決めるときのチェックリストとして活用できます。
 前述「7.4 コミュニケーション」に記したように、情報開示の必要性はますます高まっています。それぞれの項目を確実に監視、測定、分析、評価を行う仕組み化をいかにシンプルに組み立てるかがポイントですね。

箇条9 9.1.2 順守評価

 法規制を順守する仕組みを構築することは従来どおりですが、2015年版では「順守状況に関する知識及び理解を維持する」という要求が加わりました。
 法規制の順守を評価するにはかなりの専門知識を要求されます。ISO14001関連のコンサルティングを行う中で、法規制についての知識が不足していると感じた企業が多くあります。ましてISOの担当者が変わったりすると法規制のことは棚上げ状態になってしまうこともあります。
 法規規制の改正もよく発生します。たとえば2017年10月1日から廃棄物処理法が改正され、蛍光灯など水銀含有の廃棄物への対応が求められます。このような法規制の改正情報をつかみ、要求事項を明確にして順守評価表を改訂し、即座に対応できる人材の育成と維持をかなり意識して行う必要があります。外部委託することも一つの方法ですが、基本的には教育的な対応を強化することです。いずれにせよ、コンプライアンスは環境経営の基盤ですので、ISO14001を活用して確実に押さえておきたいですね。

箇条9 9.3 マネジメントレビュー

 2015年版の改訂の最大の変更点は、トップが環境を戦略的に活用するように事業との一体化を推進することと言っていいでしょう。そのためには本コラムの第11〜14回に書いたような世の中の動きなどもトップに十分に認識してもらったうえで、気候変動リスクと事業の関連、各事業とSDG'sとの関連によるビジネスチャンスなどを具体的に提案していくことが重要です。
 こうした動きの正式な場がマネジメントレビューです。これに向けて事務局がどのような準備をして、有益な提案ができるかが今後の活動を左右します。トップをISO14001に巻き込む良いツールがマネジメントレビューですので有効に活用しましょう。
 私もときどきマネジメントレビューの場に立会いを求められますが、この場を有効に活用するとトップと事務局の方向性が一致し、活動に拍車がかかります。

 以上3回にわたり、私がISO14001:2015改訂のコンサルティングを通じて、EMSを有効に活用するポイントを述べてみました。

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