ビジネスインサイツ75
- ページ: 1
- Vol.
次世代が牽引する
改革と成長
TOP MESSAGE
「まさか、私が社長に!?」売上1兆円企業を率いるまで
プライム ライフ テクノロジーズ株式会社 代表取締役社長 北野 亮 氏
TOP OPINION
マツダが追求し続ける
「フレキシブル生産」
の先
マツダ株式会社 執行役員 生産技術・物流・カーボンニュートラル・コスト革新担当 弘中 武都 氏
CONSULTING CASE
ASKUL LOGIST 株式会社/株式会社タス/株式会社シーエックスカーゴ
75
- ▲TOP
- ページ: 2
- 「まさか、私が社長に!?」
売上1兆円企業を率いるまで
入社したら、弱小事業部への配属。その後、上場廃止、法人消滅……。
44 年の人生で経験した12回の転機は「 厄介で困難 」ばかりだった。
「 稀有な一発屋 」と自認する北野氏がたどった会社員人生とは。
Vol.75
2
- ▲TOP
- ページ: 3
- 非常時に担ぎ出される
飛び道具的な存在
年に 歳でプライ
私は
ム ライフ テクノロジーズの代表取
締役社長に就任するまで、実に 回
が芽生え、これがのちに大きな財産
プ、あるいは当事者意識というもの
私が企画した商品は、 人いれば
﹁商品をまず世に出すこと﹂
。
つまり、
か ﹂とよく聞かれましたが、答えは
の事業部と位置づけられ、 年後に
﹁ 発展的解消 ﹂を迎えます︵ちなみに
になったと思います。
と①∼⑤までが該当します。 代の
企画を担当しました。左の表でいう
次に本丸の電器事業に異動しま
す。ここから四半世紀、家電の商品
考え、絶対につぶされないようにし
は同志を募り、企画が通るやり方を
の企画はボツになるわけですが、私
人には反対されます。通常なら、そ
8
ての転機は厄介で困難だったと思い
だった私がひとりでその荷を担うこ
たり、私以外の全員が異動に。 歳
は本流の正統派商品というより、ど
ト商品を生み出しました。私の企画
さまざまな変革が求められる時代
ですが、本質は一緒です。全員賛成
これが﹁ 原理原則 ﹂だと知りました。
③ビューティヘルス事業部
役員から帝王学を叩き込まれる
④リビングライフ事業部
十数名を連れて九州松下の拠点
に乗り込む
小事業
MM(松下電工/松下電器)
コラボで事業再編の矢面に
⑦アクアデバイス事業部長
子会社化
⑧ハウジングシステム事業部長
リメイク
LED化の波に乗り遅れた事業を
⑨ライティング事業部長
⑩AVCネットワークス社 副社長
40
法人消滅
パナソニック
⑪エコソリューションズ社社長に
1兆∼2兆円規模の
会社(カンパニー)
トップ
門外漢がNo.2の立場でカンパ
ニーの形をつくり替える
(のちのライフソリューションズ社)
プライム ライフ テクノロジーズ
代表取締役社長
テクノロジーズ
プライム ライフ
⑫2020年
に変革、あるいはヒットのポ
イントがあるのです。そして、
それを進めるのは一糸乱れぬ
組織プレーではなく、アジャ
イル︵ 素早く、俊敏 ︶に進め
ていくこと。これがヒットを
生むコツであり、変革の本質
だと知りました。
%﹂
さて、その後は事業再編が
やってきます。当時、松下電
器産業は﹁ 普及率
の必需品を手掛けていまし
た。一方、松下電工は、ウェ
ル ネ ス 家 電 を 標 榜 し﹁ 必 欲
品 ﹂を商品化していました。
加えて、市場が黎明期であっ
1億円
(きたの まこと)
北野 亮 氏
従業員数
連結:約2万人(2022年9月時点)
事業内容
パナソニックとトヨタ自動車による
「未来志
向のまちづくりを目指す会社」として、まち
づくり事業、新築請 負事業、リフォーム事
業、不動産流通・管理事業、住宅内装事業、
建設工事請負事業、建設コンサルタント事
業などを行っている。
1978年、松下電工株式会社(のちのパナソニック
株式会社エコソリューションズ社 )入社。25年間、
家電商品を中心に商品企画に従事。その後、住
宅設備・建 材事業中心にキャリアを歩み、2012
年にエコソリューションズ社・専務、2017年に同
社・社長に就任。2020年1月より現職。
M E S S A G E
上場廃止
リーマンショックで大赤字∼立
て直し
3000億∼
4000億円規模の
る部分、ありそうでなかったところ
200億円規模の
もの。
﹁ヒットを生むコツは何です
⑥リビングライフ事業部長
松下電工
⑤ダイナミックライフ事業部
した。従業員に対するオーナーシッ
て商品を送り出しました。そして、
ます。本日は、それぞれの転機で私
と に な り ま し た。し か し こ の と き
でも全員反対でもない、意見が割れ
電気事業本丸(彦根)へ
ころから 代まで、さまざまなヒッ
が何を選択し、行ってきたかを紹介
ちらかというと﹁ 稀有な一発屋 ﹂で
を辿ります ︶
。
人、先輩 人と私の
部長と課長
計 人の部署でしたが事業縮小にあ
子会社となり、法人消滅という運命
松下電工もこの後、松下電器産業の
大事業
キワモノに近い商品をヒットさせる
の転機を乗り越えてきました。すべ
5
2
行動する ﹂ということを身につけま
2
﹁ 自分で考え、自分で決め、自分で
寄り合い所帯の「 箍」役に徹する
します。
②時計事業部が発展的解消
プライム ライフ テクノロジーズ株式会社
代表取締役社長
2020年(令和2年)1月7日
設立
11
10
1
0
0
資本金
6
ゼロからの新事業立上げ。元気高齢者ビジネス
MAKOTO
KITANO
[ プライム ライフ テクノロジーズ株式会社 ]
20
65
新卒で配属されたのは松下電工の
時計事業部でした。社内では最弱小
最弱小の時計事業部に配属
T O P
Business Insights Vol.75
3
①1978年松下電工入社
28
2
0
2
0
会社人生で11回の転機を経験。
65歳にして12回目の転機!
- ▲TOP
- ページ: 4
- 今も続けているマネジメント
た空気清浄機や電気暖房機、温水洗
の水事業の本拠地に乗り込みました。
なり、部下十数名を連れ、九州松下
年間、家電、水事業に在籍
私は
していましたが、ある日突然、売り
事業もマネジメントも
シンプル化に徹する
浄便座、
浄水器などは松下電器産業、
松下電工、松下精工、九州松下⋮⋮
と、社内競合を行っていたのです。
つまり、敵は他社ではなく、松下の
中にあったということです。
億 の、 ま っ た く 未 知
を回
が投入されたわけです。前ページの
うにしているやつ、ということで私
業と渡り合える人材。かつ今、暇そ
らの事業を熟知していて、複数の事
誰がクロージングをするのか。これ
の再編作業 ﹂が始まりました。では
あるいは赤字。会社にとって最大の
りましたが、住建事業は常に低収益
当時、松下電工は照明と住建とい
う、売り上げが巨大な 大事業があ
です。
松下電工のハウジング︵ 住建 ︶事業
の事業のトップを任命されました。
しかない、まったくの門外漢である
ない中で、なぜか小規模な事業経験
い別の人材を当てました。
若くて優秀、なおかつ生え抜きでな
注意して取り組んだ結果、 年間で
そこを注意しなさい ﹂と言われまし
し、構造改革に長けていないので、
に、前社長に﹁ 北野君は家電の企画
私にお鉢が回ってきたのです。
マネジメントの方法も実にシンプ
ルです。上の図にあるように、直近
約
が
加えてその子会社である製造会社も
業部、内装建材系で一つの事業部、
態。そこで私は、水回りで一つの事
会社と工場が紐づけられている状
ていました。さらに、それぞれに子
だけの業務に追われる状態で、それ
当時の状態は昨日までのツケを返す
通課題とします。ハウジング事業の
将来に向けて今仕込むべきことを共
と戦略を落とし込みました。
とくに、
課題 ﹂
。この 象限にすべての課題
﹁ 筋肉質化の課題 ﹂と﹁ 成長戦略の
再編されることになりました。市場
カンパニー制に移行し、照明事業が
の上場が廃止され、法人が解消し、
﹁ 水 ﹂と﹁ 油 ﹂
。このころ、松下電工
し た が、決 し て 混 ざ る こ と の な い
当時、
次はライティング事業です。
松下電工の 大事業は照明と住建で
は急激な
に 着 手 し ま し た。 ま た
を断ち切る必要がありました。
実は、
事業環境は一変していました。しか
化 が 進 ん で お り、
ま っ た く 回 っ て い な か っ た た め、
ハウジングのトップになったとき
2
L
E
D
2
工側が引き受けた水事業のトップに
億 の 利 益 改 善 が。 こ の マ
4
一つにまとめるという、シンプル化
2
0
0
きっちりと言語を統一して共通のマ
4
+ が にはならず、 のままとい
う結果に。非常に非効率な戦いをし
入ってみると、生い立ちの異なる
つの事業部︵キッチン、バス、洗
の目標を達成するための﹁ 筋肉質化
ネジメント手法は、現在の会社でも
プ、 通りのマネジメントが並列し
7
P
D
C
A
1
成長戦略課題・ハリ
7
た。結果的に、指摘されたところを
ていたということです。そして、電
面・トイレ、フローリング、内装建
取り入れています。
松下電工・入社
の課題 ﹂と﹁ 成長戦略の課題 ﹂
。そ
2
れから将来に向けて今仕込むべき
いました。ほとんどの統合事業は
表⑥⑦にあたる時期です。
プライム ライフ テクノロジーズ
ネ ジ メ ン ト を 行 い、
最後だけは
自分で線を加える
課題事業でした。エース級の人材を
パナソニック・LS 社(旧松下電工) 社長
屋として今まで面白いことをやって
成果・経験
きた。しかしマネジメントが下手だ
ただし……
新たな線を歩む過程では、
自ら線を引いて、進むべき
道を切り拓いてきた。
すという極めて当たり前のことも実
上げ
この間、
自分の意思で
線を加えたことは
一度もない
P
D
C
A
施。さらに、各事業のトップには、
スタートは自分の意思
次々と社長に据えても収益が上がら
人生はあみだくじみたいなもの
リビングライフ事業部の事業部長
のときは、半年かけて事業移管を行
その後、松下電工が松下電器産業
の子会社になったため、
﹁ 重複事業
30
4
0
0
0
具、雨どい、屋根・壁 ︶に 人のトッ
1
この4象限の中で、とくに「 将来に向けて、今何をす
るべきか」ということを共通課題として認識。
「 明日
のために今すること」がいちばんの本質。
7
1
筋肉質化課題・メリ
直近の目標を達成するための 将来に向けて今仕込むべき
4
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- ページ: 5
- T
経営者としてこれまで意識してきたこと
《 驕らず・媚びず・染まらず・浮かず 》
O
設用、店舗用、屋外用と分かれてお
し、機器系は依然として住宅用、施
任期は 年でしたが、これらの手立
の統廃合もできたのです。ここでの
を収めるかという発想でした。しか
ため幹部の数が 倍に。会社側はそ
いる状態。さらに、事業統合された
り、そこに各製造の子会社がついて
社の副社長を任命されました。パナ
いよいよ終盤です。ある日、社長
ネットワークス
に呼ばれて
しました。
です。ミッショ
れるころには収益がしっかりと回復
てを打つことで、照明事業は私が離
しをよりよく快適にするカンパニー
社会に広げていく、人を起点に暮ら
に最大注力。ベターライフを家、
町、
エ コ ソ リ ュ ー シ ョ ン ズ 社 で は、
ミッション・ビジョン、事業領域を
経営者の情熱と熱意を
部下は見ている
し、私は真逆のやり方をしました。
ソニック本流の
共感を与える能力
現場の心に
響く力のある言葉
左脳で
考える
A
V
C
を終えるというもの。当時、
れをパナソニックの取締役会で決議
No.
2
10
になるための再整備に取り組みまし
た。お客さまと直接向き合う﹁ 元請
け型の事業 ﹂を、
﹁ 暮らし創造事業 ﹂
ションズ社に変更しました。
ています。
的にミッション・ビジョンを完全に
と再定義し、社名もライフソリュー
人 生 は﹁ あ み だ く じ み た い な も
の ﹂だと考えます。松下電工に入社
たが つの事業部はすべて赤字。そ
る、いない、将来稼げそう、稼げそ
することは自分の意思で決めまし
私は、上の図にあるピラミッドの
層が経営者として必要な能力だと
体現するという刻み方で事業を進め
うにない ﹂の 象限に分けました。
た。それ以降は、自分の意思で線を
パニーを超えた事業の組み替えなど
あるものは精緻に吟味。また、カン
める。今稼いでいて将来も見込みが
ただけ。しかし、 回目の転機だけ
合って、逃げずにそれをこなしてき
えられた次の線に沿って都度向き
加えたことは一度もありません。与
のは、ベースとして必要だと思いま
中で、心折れずに希望を持ち続ける
い話が圧倒的に多いでしょう。その
考えています。経営者になると、悪
こで、 つの事業部を﹁ 今稼いでい
今も将来も稼がないものはすべてや
も行い、 年で %の利益を達成し
4
9
9
カンパニーは の事業部がありまし
A
V
C
ました。
は自分で線を引きました。
つが揃うと、
鬼に金棒です。さらに、
能力、人を生かす能力。これらの
す。そして変化の激しい時代、本質
何度転機が訪れても、意識していた
ミッションを達成し、 年で異動に。
建設エンジニアリング、松村組の建
E
2
2
0
2
1 0
プとしての情熱と熱意を持つことで
浮かず ﹂ということ。そして、トッ
まず稼ぐ力を強める。次に事業ポー
G
す。部下はそのパッションを必ず見
A
トフォリオを変革する、あるいは新
S
ていますから。
S
しいビジネスモデルをつくる。最終
設立した会社です。
フェーズ では、
おご
最後は松下電工の事業をもっとも色
のは﹁ 驕らず・媚びず・染まらず・
のです。
M
社で構成された
年に
初代が丹羽正治でしたから、私は
の社長です。松下電工を祖とすれば
設
4
濃く残したエコソリューションズ社
3
を見切る能力、そして共感を与える
ライフ テクノロジーズ
プライム
は パ ナ ソ ニ ッ ク ホ ー ム ズ、ト ヨ タ
12
ホーム、
ミサワホームの住宅 社と、
5
そしてパナソニックでの最後で
ネットワークス社では
す。
2
代目の社長に就任することになった
11
当事者意識
鈍感力
希望を持ち続ける能力
3
4
1
右脳で
感じて
本質を見切る能力
KEN
MIYAUCHI
A
V
C
2
の頭数を見て、どこの箱にどの事業
上に聞こえの
良い話
再定義して、時代への構えの明確化
まず戦略があり、箱に分ける。それ
ンは カ月で構造改革案を固め、そ
最後は人格
胆力 ・可愛げ
「トップのあり方を学びました」
(JMAC 代表取締役社長・小澤勇夫 )
3
を遂行できる最適任者をリーダーに
加点主義
据える。これにより、効率よく拠点
人を生かす能力
P
E
本稿は2023年3月8日(水)に開催した「JMACトップセミナー」における北野 亮氏の講演を再構成したものです。
Business Insights Vol.75
5
減点主義
- ▲TOP
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- P I N I O N
マツダが追求し続ける
「フレキシブル生産」
の先
業界のビッグプレーヤーを凌ぐ高い生産効率と投資効率を目指し、
開発設計、生産技術、生産が連携したものづくりの革新を推進。
カーボンニュートラルの視点も加えたマツダの未来とは。
Vol.75
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- [ マツダ株式会社 ]
1920年(大正9年)1月30日
設立
2,840億円
資本金
単体:23,266人
連結:48,750人
従業員数
(いずれも2022年3月期)
自動車の製造・販売
事業内容
マツダ株式会社 執行役員
生産技術・物流・カーボンニュートラル・コスト革新担当
弘中 武都 氏(ひろなか たけと)
1988 年入社。2014 年第 4 パワートレイン製造部長、2016 年マツダ
パワートレインマニュファクチャリング(タイランド)Co.,Ltd. 上級副
社 長、2018 年 同 社 社 長 兼 CEO、2020 年 技 術 本 部 副 本 部 長、
2021年技 術本部長、2022年執行役員 生産技 術・物流担当を経
て2022年 6月から現職。
T O P
O
TAKETO HIRONAKA
❶フレキシブル生産への取り組み
マツダのモノづくり革新の考え方
商品力を高める
多樣性
(FLEXIBILITY)
ブレイクスルーの着眼点
● 一括企画
● コモンアーキテクチャー
(CA)構想
● フレキシブルライン構想
変種・変量
BR
EA
多品種・少量
KT
HR
OU
GH
生産効率を高める
共通性
(COMMONALITY)
少品種・多量
1
0
0
スモールプレーヤーこその
革新的効率化
自動車業界を取り巻く環境は
年来の大変革期 ﹂に入って
﹁
います。カーボンニュートラルなど
への対応に代表される外部環境の変
化 は 非 常 に 加 速 し、激 動 の 時 代 に
なっているため、これらの対応の成
否が生き残りを決めていくことにな
るでしょう。
マツダの販売世界シェアは2%と
なっており、自動車業界においては
スモールプレーヤーです。2%とい
うと、たとえば学校のクラスにずば
抜けて絵がうまい生徒や、好きなこ
2
とに没頭して何かを極めてしまう子
が 人や 人いたでしょう。私たち
は、自動車業界においてそのような
存在でありたいと思っています。
ゆえに、多車種混流生産を極め、
ビッグプレーヤーを凌ぐ﹁ 高い生産
効率と投資効率 ﹂が不可欠です。こ
れを実現していくためには、
﹁ 保有
する資産を最大限使い切っていくこ
と ﹂が重要だと考えます。これまで
築き上げてきた技術資産を大切に
し、磨き上げていくことによって多
種多様の商品を柔軟に、そして効率
よく生産していくことができる﹁フ
Business Insights Vol.75
レキシブルな生産 ﹂を実現すること
が重要なのです。
❶は、マツダのモノづくり革新の
考え方を示したものになります。縦
7
1
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- T O P
︶構想 ﹂
﹁フレ
眼点が、
﹁ 一括企画 ﹂
﹁ コモンアー
指します。そのブレイクスルーの着
の生産に匹敵する高い生産効率を目
ルーでこれらを両立させ、単独車種
どものモノづくり革新はブレイクス
レードオフの関係にありますが、私
ナリティは相反する特性でありト
軸のフレキシビリティと横軸のコモ
す。こうした活動を、私どもは﹁ 生
積み重ねていくことも求められま
過去からの取り組みや活動を着実に
た、フレキシブル生産の実現には、
階から組み込まれているのです。ま
ティは、車両構造を企画設計する段
が可能になりました。フレキシビリ
フレキシブル性を同時に高めること
います。こうしてボリューム効率と
する相似形のような商品構造として
よう、工程側
に対応できる
フレキシブル
製品進化にも
義 を 見 直 し、
定と変動の定
このように固
テ ッ プ で す。
も、同様のス
域において
キテクチャー︵
少品種・多量のどちらでもない、
﹁変
これにより多品種・少量、あるいは
テップ ∼ がフェーズ 、ステッ
の ス テ ッ プ を 示 し た も の で す。ス
て推進しています。❷に示すのはそ
産ビルディングブロック構想 ﹂とし
ラインや設備
ることで生産
ジュール化す
をセル化、モ
キシブルライン構想 ﹂の 点です。
種変量の生産 ﹂が実現しました。
キシブルに生
の汎用化が促
産を可能にし
スを車種ごとにフルスケールで投入
バラバラ。お金や工数などのリソー
その結果、工程や設備も車種ごとに
種ごとに構造が異なっていました。
害しない条件の中で、固定要素とし
エンジンでも商品進化の自由度を阻
を始めて、それ以降、どの排気量の
アーキテクチャー構想への取り組み
エ ン ジ ン の一 括 企 画 に よ る コ モ ン
ローバルに展
は、 現 在 グ
のコンセプト
ています。こ
❷生産ビルディングブロック構想ビジョン
車種間で開発と生産のコンセプトを
めます。そして、これをベースに各
するとともに、生産効率を一段と高
画するもので、商品の多様化へ対応
設備のみで生産ラインを構成するこ
けで加工できる工法を追求し、汎用
います。ステップ では汎用設備だ
ジンでも、この同じ設備で対応して
ベースをつくり、最新の 気筒エン
があります。フェーズ2の目的は、
想には、フェーズ2︵ステップ
は設備本体を汎用化する一方で、
ワー
に柔軟に対応できる生産システムを
化へ即応するために、これまで以上
︶
フレキシブルラインをさらに進化
させる生産ビルディングブロック構
共通化するのがコモンアーキテク
カーボンニュートラルなど大きな変
では、車格や排気量の違いを超えて
クを把持する治具を極小化すること
︶構想です。
各ユニットの理想を追求した基本コ
画期的かつ短い期間で、量産準備を
量産準備の高速化
加工基準・搬送基準の固定
製品/工程の固定と変動要素の定義
汎用化ライン構想
汎用と専用設備の設定
治具・要具専用部の極小化
専用部の極小化
モデルベース開発、 CPS
DX化(デジタルツイン・AIoT)
4
に取り組んでいます。車体組立の領
チャー︵
とに取り組みました。ステップ で
カーボンニュートラル
構想
長年培ってきた
匠の技をDXで量産化
開中です。
し、開発、生産とも効率的ではあり
同じ設 備で加工混 流 が可 能 となる
て加工、搬送の基準を定めました。
進され、フレ
ステップ ではスカイアクティブ
各ステップをエンジンのシリンダー
ブロックを例に簡単に説明します。
プ がフェーズ となっています。
3
1
理想構造と
理想工程の追求
1
年から 年先の全商品を同時に企
これまでは車種ごとに開発を行
い、個別の最適を追求した結果、車
4
ま せ ん で し た。
﹁ 一 括 企 画 ﹂と は、
3
●
段階的に積み上げた技術と資産を徹底的に活用していく
●
フレキシブル生産×スピードアップ×カーボンニュートラルでさらにモノづくりを進化させていく
を向上させていくことで問題の発生
きます。また、この事前検証の精度
をなくし、全体の期間を短縮してい
前検証 ﹂することで、このプロセス
ました。こうした検証を机上の﹁ 事
証してから量産型の製作に入ってい
試作型を製作し、機能や生産性を検
化させていくものです。これまでは
を﹁スピード﹂という軸でさらに進
高速化すること。フレキシブル生産
ステップ 1
2
2
ステップ 3
C
A
ンセプトを共通化し、構造を同質化
C
A
ステップ 2
1
6
10
C
A
ステップ 4
3
5
O P I N I O N
TAKETO
HIRONAKA
8
Vol.75
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- ページ: 9
- 生産準備での効果(専用設備の縮小)
のイネーブラー︵ 目
フェーズ
的達成を可能にする手段 ︶は、
﹁モ
うになりました。
量産型での検証期間を短縮できるよ
を未然に防ぎ、試作型をなくしても
長い年月をかけて技を習得した「 匠の動作データ」か
ら、筋肉の動きを逆計算、逆解析。データを見ながら
習得できる仕組みをつくり上げた。モーションキャプ
チャーやアイトラッカーなど、最新のIT 機器を活用して
技能を数値化して伝承している。
デルベース開発 ﹂
﹁デジタルトラン
スフォーメーション﹂﹁サイバーフィ
ジカルシステム﹂の つ。これらの
取り組みは生産準備の効率化はもち
ろんですが、お客さまへの提供価値
製品進化の容易性 Better
つ紹介します。まず、マ
事例を
ツダの商品の特色のひとつである
の向上にも応用しています。
多数工程対応
ハード対策無
設備対応追加
局所の専用
2
4
1
3
0
スクラップ
&ビルド
3-A
の三次元的な流れをゼブラ模様で可
実に再現するために、形状そのもの
ます。デザイナーの意図を製品に忠
り、デザイン意図とかけ離れていき
た数ミクロンの面形状の違いによ
です。
魂動デザインにおいては、
たっ
イン意図を量産で再現する取り組み
﹁ 魂動デザイン﹂と呼んでいるデザ
い ま す。 も う ひ と つ が、 私 ど も が
最後に、フレキシブル生産の進化
がもたらす、カーボンニュートラル
につなげています。
産準備をできるということで効率化
まり、専用設備だけを変更すれば量
用設備の活用が可能になります。つ
化させることで、車種を超えての汎
専用設備として準備するやり方に進
り方から、変動部のみを極小化し、
ラップ&ビルドで繰り返してきたや
こ どう
視 化 し、 デ ザ イ ン デ ー タ、 成 形
年に自社工場での
への貢献についてお話しします。マ
なったのです。たとえば、ミクロレ
込み、職人技を量産化できるように
上で﹁ 魂動デザイン﹂としてつくり
つまり、最高級の難易度をデジタル
とで、すべての使用エネルギーを削
地での準備活動期間を短縮させるこ
ギーを低減し、省エネを進めます。
工程を革新することで、加工エネル
することを表明しています。工法、
カーボンニュートラルの実現へ挑戦
ツダは
から実車まで同じ物差しで
ベルにこだわった
﹁ 金型 ﹂製造で
す。この金型こそ、従来は匠の職人
一気通貫につくり込んでいきます。
技が不可欠でした。この匠の技を、
減していきます。フレキシブル生産
タイムに数値化しながら、体の使い
︵❸︶
。技 能 カ ル テ を も と に リ ア ル
せていきます。
ルという視点を加え、さらに進化さ
をスピード軸にカーボンニュートラ
また量産準備プロセスも革新し、現
機器を活用して技能を数値化
方そのものを指導することで、短期
間に高い技能を持つ人材を育成する
ことが可能になりました。
ラーではなく、これまで培ってきた
従来の実機によるトライアンドエ
ものです。これまでの機械加工や車
易性 ﹂を縦軸にした 軸で評価した
容易性 ﹂を横軸に、
﹁ 台数対応の容
取り組みの効果を❹に示しまし
た。生産工程における﹁ 製品進化の
カーボンニュートラルの
実現へ挑戦していく
計測技術や塗膜設計の技術を活か
﹁ソウルレッド﹂
に代表されるボディ
し、各要素をモデル化することで工
体のサブラインでの大がかりなスク
カラーの〝 高意匠色 〟の実現です。
2
0
3
5
EG (エンジン)
法を決定し、量産準備を短縮化して
講演後、JMAC 代表取締役社長・小澤勇夫と
E
0-E
スクラップ
&ビルド
機械加工
D
C
A
E
I
T
ステップ 1
設備対応
追加
ステップ 2
C
0-D
3-B
多数工程
対応
車体サブ
車両組立サブ
2-B
台
数
対
応
の
容
易
性
プレス・車体メイン
塗装・車両組立メイン
ステップ 3
組立サブ
1-B
B
金型仕上げ作業の動作の分析
●
ステップ 4
PT 素材・PT 組立メイン
A
ハード対策無
TM 組立サブ
局所の専用
2
❹生産ビルディングブロック構想によるフレキシブル生産の進化
3
本稿は2023年3月3日(金)に開催した「第10回 ものづくり・現場力事例フェア」における弘中 武都氏の講演を再構成したものです。
Business Insights Vol.75
9
2
2
Better
❸フレキシブル生産の進化
「匠(Takumi)」育成技能伝承システムの構築
∼モーションキャプチャーによる技能解明/育成指導
技能のカン・コツを定量化して分解・評価
- ▲TOP
- ページ: 10
- ASKUL LOGIST 株 式会社
モチベーションアップだけでなく
事業拡大も目指す人事制度改革
長時間労働の制限やコロナ禍で当たり前になったリモートワークなど、さまざまな環境の変化に応じた人事
制度改革は多くの企業が頭を悩ませるところだろう。手つかずだった人事制度改革に着手し、運用しなが
らさらなる改善を重ね、進化するアスクルロジストの事例を紹介する。
事務用品の通信販売を行うアスクルの 100%出資会社。物流・配送サービス
を提供する。東京、大阪はじめ仙台、横浜、名古屋、福岡など全国 13 の物
流センター拠点を構える
アスクルロジストの課題
等級制度
給与・賞与制度
人事制度
教育制度
Vol.75
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- ▲TOP
- ページ: 11
- AS K U L LOGIST
C O N S U LT I N G C A S E 1
き彫りになりました。会社設立から
できていないと感じている部分が浮
業員が重要だと考えているが実現は
配置を行ってほしいなど、多くの従
で改善してほしい、適正に管理職の
したところ、給与の納得性が低いの
革を早く進めたい。
えていたが、一方で、できる限り改
は自分たちでつくる必要があると考
さんも、会社の根幹となる人事制度
沼英雄さんは当時を振り返る。中村
ていました ﹂と代表取締役社長・天
で人事制度改革をやるべきだと考え
﹁ 係長 ﹂
また副センター長の下は、
だったり﹁ 統括リーダー﹂だったり
こっていた。
異なる業務を行うといったことが起
は、転勤先でそれまでとはまったく
ンターに転勤となった副センター長
う。人事異動でAセンターからBセ
同じでも役割の大きさがまったく違
年が経った当時、人事総務部とし
ていかなければならないと思ってい
走してくれそうな
に支援
﹁ 外部に丸投げせずに私たちが主
体的に改革を進めることができ、並
た。組織図上の位置づけは同じなの
と拠点によって名称が異なってい
てもそろそろ時代に合った形に変え
たところでした ﹂︵ 人事総務部部長・
ただその改革には、アスクルロジ
ストならではの物流部門と配送部門
中村力さん ︶
レベルでも効果が出そうなプレゼ
め手は専門的知見を持っていて実務
していただくことに決めました。決
給与・賞与にバラツキがでていた。
に名称が異なることで、人事評価や
のコンサルタントの
と言ってもいいほど事業体が異なる
センターと配送営業所では別の会社
難い状況であった。全国にある物流
でさえ一枚岩になれているとは言い
独立しており、役員・本部長クラス
つの部門は別会社のようにそれぞれ
村さん ︶
を持ってできると感じました ﹂
︵中
分たちだけで進めるよりスピード感
イメージがしやすかったんです。自
だったので新しい人事制度導入後の
具体的なケースの説明を交えながら
中村文生さんの提案は、理路整然と
ン。
のだ。たとえば、配送の面から考え
人事制度改革にあたって、まず問
題となったのが組織体制だ。物流セ
年 月に実施
始まりは
した﹁ 組織文化調査 ﹂だった。良い
る大きな壁を取り払い、一体となって
アスクルロジストの人事制度改革
には、物流部門と配送部門の間にあ
るとまとめて作業する方がいい。
代理としての副センター長を1人設
たとえばAセンターはセンター長の
ンターにはそれぞれセンター長の下
つまりAセンターとBセンターで
は、
﹁ 副センター長 ﹂という役職は
図参照 ︶
。
ンター長が 人設置されている︵ 下
当の副センター長と事務担当の副セ
に副センター長が置かれているが、
点、改 善 点 な ど ア ン ケ ー ト 調 査 を
くの従業員が﹁ 評価制度 ﹂と﹁ 育成
制度 ﹂の改善を望んでいることがわ
かった。
顧客と﹁ 並走する ﹂
JMACと改革を推進
置、一方でBセンターには倉庫内担
方で物流センターの運営効率を考え
ると小口配送の方が運びやすい。一
という大きな部門の壁があった。
そこで、人事制度改革の方向性を
次の 点に絞った。
J
M
A
C
最適な形を目指すことが必要だった。
重要だと考えているが
実現できていない課題
2
﹁ 会社の成り立ちや独特の背景が
ある。だから外部の力を借りず社内
「副センター長」という役職は同じでも役割の大きさがまっ
A センターとB センターでは、
たく違う。また、組織図上の位置づけは同じでも
「係長」
「統括リーダー」と名称が異な
ることもあった
10
行った結果、アスクルロジストの多
「組織文化調査」の定性コメントを構造化して問題点をはっきりさせた
﹁ 集まった人事制度に対するコメ
ントをカテゴリーごとに分けて整理
Business Insights Vol.75
11
副センター長
(庫内担当)
係長
統括リーダー
フロアリーダー
副センター長
(事務担当)
組織図上の位置づけ
は同じでも、拠 点に
よって名称が異なる
副センター長
(センター長の代理)
Bセンター
Aセンター
センター長
同じ役職名でも、
役割が大きく異なる
センター長
7
4
改革前の組織体制
J
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A
C
2
2
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1
9
- ▲TOP
- ページ: 12
- 確化・見える化
① 一人ひとりが担うべき役割の明
②﹁ 職責︵ =役割の価値 ︶と貢献に
対して適切に報いる公正な処遇
の実現
③ 納得感のある人事評価の運用の
確立
を担えるようになるための教育
④ 社員一人ひとりが一段高い役割
機会の提供
方向性は明確になったが、大きな
はそれなりの時間と話し合いが必要
員が新しい人事制度を受け入れるに
変化は現場を混乱させる。従業員全
はなく現場の意見も吸い上げ、より
中村は﹁ 役員、本部長クラスだけで
なかなか前に進まない話し合いを
一歩進めるため、コンサルタントの
らうのはたいへんでした ﹂
︵ 泉さん ︶
現在、アスクルロジストでは、この
ワーキングチームの声をもとに﹁ 役
︵ 泉さん ︶
感を持って進んだように思います ﹂
ワーキングチームの考え方を導入し
年
たことで、人事制度改革はスピード
だった。
多面的に話し合いをしてみてはどう
割定義書 ﹂が作成され、
月より、役割を基軸とした新人事
制度の評価や昇格等の運用がスター
ワーキングチームをつくり、より現
ダーなど役割に応じて期待される成
長、拠点長、副拠点長、物流部門リー
年、
果や行動が明確に記載され、全社員
みにしたいか腹を割って話す機会は
持っているか、今後どういった仕組
年実施した。
ただ、役員と本部長が人事制度に
ついてそれぞれどのような考えを
の納得感が増し、
合意形成が進んだ。
す、と伝えることで、役員・本部長
こう言っています、こう考えていま
クラスは重要視しています。現場は
﹁ 実際、制度を運用する現場の従
業員がどう感じるかを役員や本部長
た。
を求められているのか、さらにはひ
か見られるわけです。自分が今、何
きちんと役割を担っているのかどう
が変わってきました。上司も部下に
﹁それぞれの役割が明確に定義づ
けられたことで、評価する人の意識
に公開されている。
員と全本部長が参加する会議を約
これまでなかった。初めての取り組
みに、
﹁ 手探り状態だった ﹂
と人事総務部人事企画課
課長の泉真也さんは言う。
﹁ 各物流センターそれぞ
れが つの会社のように
機能して、それぞれの運営
最適化を図ってきたわけ
です。それを全社統一しま
す、合わせてくださいとい
きなり言われたら混乱し
て当然ですよね。
物流部門、
配送部門の垣根なく、目線
を合わせて腹落ちしても
1
1
会議を実施した。続く
場に近いところで現行の人事制度に
よび一般社員で構成する
ビューを実施。拠点長・副拠点長お
門の ∼ 代の代表者 人にインタ
か ﹂とアドバイスした。そこで各部
合意形成に重要だった
現場の声の吸い上げ
人事制度改革に向けて論点を整理
し始めたのが
年のことだ。
2
0
2
2
トしている。役割定義書には、本部
5
種類の
20
ついてどう思うか情報収集を進め
回の検討
40
人事制度改革プロジェクトが正式に
役員と人事総務部で全
20
スタート。月 回のペースで、全役
2
2
0
2
0
2 8
0
2
1
1
「人事評価制度と教育の一体改革が必要」と語る代表取締役社長・天沼英雄さん
写真上から、人事総務部部長・中村力さん、
人事総務部人事企画課課長・泉真也さん、
人事総務部人材開発課課長・坂井博基さん
12
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- ▲TOP
- ページ: 13
- AS K U L LOGIST
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東京、大阪はじめ仙台、横浜、名古屋、福岡など全国 13 の物流センター拠点を構える。多品種アイテムをシステム的に在庫管理し、配送する体制を整えている
る目標設定もやりやすくなっていま
ようになっています。自己申告によ
役割を担うべきかがはっきりわかる
とつ上の等級にいくにはどういった
イクルを回していく。
留学の形式も取り入れ、経験学習サ
ていく予定だ。他拠点へ短期・交換
職種別の専門教育プログラムも行っ
す﹂
︵ 中村さん ︶
お客さまのよろこびにつながる。今
満足度を高めていけば、ゆくゆくは
が、やりがいもあります。従業員の
つ解決していくのはたいへんです
後も従業員の声を聴いて進化させま
す﹂
︵ 泉さん ︶
天沼社長が教育の重要性を強く感
年、 全 国 行 脚 し
じたのは
主 体 的 に 学 ん だ り、社 員 同 士 が 職
ラ ム の 整 備 で は な く、社 員 自 ら が
む。目 指 す の は 単 な る 研 修 プ ロ グ
化した教育だ ﹂と天沼社長は意気込
﹁ 人事評価制度のベースができた
今、次に必要なのは人事制度と一体
る教育が必要だと感じました ﹂
︵天
るための専門知識や経験を手にでき
トで、現実と理想のギャップを埋め
な会社全体で横串を刺す制度とセッ
は、できる限り公平感が保てるよう
モチベーション高く働いてもらうに
ではいつか疲弊してしまう。つねに
﹁ 拠点ごとに運営がうまくいって
いるからといって、現場に任せきり
アスクルロジストの人事制度改革
は従業員のモチベーションを上げた
とです ﹂
︵ 天沼さん ︶
化によって豊富な人材を創出するこ
につながる。目指すのは、育てる文
境づくりがアスクルロジストの進化
る気のある人材がより成長できる環
えていくものだと考えています。や
﹁ 人事制度に正解はありません。
外部環境や会社の戦略に合わせて変
場の好事例などを共有したりでき
だけでなく、事業の幅を広げる可能
従業員の声を聞いたときだった。
る﹁ 大学 ﹂のような場。人事総務部
沼さん ︶
性をも秘めている。
新しい価値を創造する
﹁ LOGIST大学 ﹂構想
人材開発課課長の坂井博基さんは、
制度はつくっただけでは機能しな
い。導入後、どのように運用されて
面談を行っているかを確認し、でき
﹁ 定期的な座談会を通じて、しっ
かり運用されているか、規定どおり
今回のプロジェクトの最大の特徴は、人事部門のメンバー
と経営層
(社長・役員・本部長)が一体となって検討を進め
た点。人事制度改革は、多くの関係者を巻き込み、議論を
まとめるのにも多大な時間とパワーを要します。アスクルロ
ジストのみなさんは、プロジェクトの推進方法として〝茨の
道″を選びました。経営層や人事部門のメンバーが、人事
制度の「先」を見据えていたからです。人事制度改革の本
質は制度そのものの検討だけでなく
「会社のめざす姿」も検
討すること――同社のみなさんから私自身も多くのことを学
びました。
大学の構想を次のよ
うに話す。
とがその定着に大きく影響する。
メージです。あるセンターの事例を
ていないところがあればフォローす
中村文生(なかむら ふみお)
チーフ・コンサルタント
いるか検証し、アップデートするこ
﹁ 講座を開講し知識を埋め込むの
ではなく、事例を﹃ 共有 ﹄し、互い
共有し議論して新たな価値が生まれ
るようにしています。会社と従業員
に﹃ 共創 ﹄し、
﹃ 共に学ぶ ﹄というイ
を
る仕掛けをつくりたい。全国各地に
がともに成長するための環境づくり
拠点がある当社だからこそ、
〝
にする︵ = つの拠点の好事例を
が私たち人事総務部の仕事ですか
沼社長も続ける。
他拠点に展開する ︶
〟を実践してい
﹁ 教育制度の不満も人事評価制度
の納得いかない点も、従業員のリア
ら ﹂と泉さんは言う。中村さん、天
さん ︶
ルな声や悩みを吸い上げ、一つひと
く場になることが理想です ﹂
︵ 坂井
大 学 で は、 等 級 別
の教育プログラムを実施する一方で
※社名・役職名などは取材当時(2023 年 3 月)のものです。
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本社、配送、物流といった事業ごと、
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- 株 式会社タス
次の20年の成長を構想する
「ビジョン策定 」の手法
創業から20年を迎えたタス。不動産業界のIT化を開拓者精神で進めた創業期から
時が経ち、この節目に次の20年のビジョンを策定した。中心となったのは20年後の企
業経営を担う次世代社員だ。
建物・マンション評価や路線価マップなど各種不動産評価や不動産マーケッ
ト分析サービスを提供。土地の評価を「人の手」でやるのが当たり前だった時
代に業界に先駆けてネットでのサービス提供を開始した
Vol.75
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- ▲TOP
- ページ: 15
- TA S
C O N S U LT I N G C A S E 2
❶ビジョン策定のステップ
推進体制・
会議体
②外部環境分析
全社戦略
④内部環境分析
ミクロ環境分析
機能・プロセス
分析
将来事業単位の
実現方向性
ベンチマーク企業
分析
経営資源分析
変革に向けた
行動規範
明 さ ん は い う。
年の創業
から 年の節目、タスは次の 年の
成長を描くビジョン策定プロジェク
場 に あ る。そ の 状 況 を 打 破 し よ う
で、タ ス マ ッ プ の 売 り 上 げ は 踊 り
今や不動産テック業界は乱立状態
はなくあえて若手社員に託した意図
担った社長の絹川さんは、経営層で
ダーとして方向づけや意思決定を
なってしまう。メンバーには今回の
﹁ 当社は従業員数 人規模の会社
です。経営層がビジョンを策定し押
を次のように話す。
動産マーケット指標を分析するサー
員の中心となって活躍する人材に
年に投入した、空室率、
︵アナリスタ︶
﹂
ビス﹁ ANALYSTAS
の拡大も課題となっている。
育ってほしいと考えました。ビジョ
と
の コ ン サ ル タ ン ト・ 戸
張敬介はプロジェクトの提案段階
ンを策定する過程で、現在の事業構
し付けたら従業員全員が受け身に
社それ
いいだろうと考え、コンサル
顧客向け展開 ﹂や﹁ 不動産以外の価
率化提案 ﹂
﹁ 賃貸オーナーなど成長
ザーの活動プロセスに対する業務効
ヤーの動向についてリサーチ。﹁ユー
ついて知り、今のタスに何が足りな
分析、競合先の分析など外部環境に
成について、マクロ・ミクロ環境の
プロジェクトを通して、将来、従業
ぞれから 提 案 書 を 提 出して
ティン グファーム
も ら い ま し た。 そ の 中 か ら
格評価への展開 ﹂といった、これか
かるだけで結果が出るかどう
25
の提案を選ぶのに時
間はかかりませんでしたね ﹂
について具体的に投げかけた。
らのビジネスチャンス探索の視点ま
ー
︵タ
﹁ 早く、安く、誰にでも ﹂を
略策定の考え方のレクチャーとワー
年のビジョン策定ス
テップ︵ ❶ ︶はまず、ビジョンや戦
ビジョンは経営層が与える
ものではなく次世代の
思いからつむぎ出す
コンセプトに、この不動産情
クショップ形式での検討会を通じ
きた。
成長していく ∼ 代の若手・中堅
は、これからの 年、会社とともに
た﹁ 思いの共有 ﹂から始まった。プ
ロジェクトを推進する基本メンバー
年ごろから
だが
様相が変わってくる。ビッグ
社員 人を選抜。プロジェクトリー
など
を
データや
使った競合先が現れ始めた。
年間、
報の提供サービスを拡大して
スマップ ︶
﹂など不動産情報
価する﹁
土地・建物やマンションを評
現状の主力サービスは全国の
5
の提供だ。これまで
でも盛り込み、新たな成長の方向性
社の中から
に
決めた理由は冒頭のとおり。
5
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20
(将来の事業構成)
マクロ環境分析
賃料、募集日数、利回りなど各種不
で、こういった不動産テック業界で
年当時を次のように振り返る。
かもあやしい。だったら、コ
生じている環境変化や注目プレイ
トを始動した。絹川さんは
専 門 家にお願いしたほ う が
ストが増えることになっても
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0
2
0
ビジネスチャンス探索を起点
としたビジョン策定ステップ
長期規模目標
(将来の企業ドメイン)
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﹁ 柔軟な対応力を感じさせる
当 社 の 視 点 に 立 っ た 提 案 を 見 て、
経営計画等への
展開方針
収益性評価
キックオフ・レクチャー
代表取締役社長で経営管理部長も務める
絹川善明さん
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0
0
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4
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に決めました ﹂とタスの代
2040年の
ありたい姿
すが、素人だけで進めても時間がか
中長期の
主要戦略課題
﹁ 最初、社内リソースのみでやっ
てみるのはどうだろうと考えたので
事業目的の
再認識
表取締役社長︵プロジェクト推進時
市場性評価
は取締役兼経営管理部長 ︶
・絹川善
現事業構成
の整理
︵ビジョン・戦略策定の考え方、思いの共有︶
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30
⑥構想展開
シナリオ策定
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0
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⑤企業としての
将来構想
競争力評価
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4
③事業性評価
J
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A
C
①事業単位の設定
- ▲TOP
- ページ: 16
- いか、自分ができることは何か学べ
メンバーの気持ちや意思を引き出し
といったような質問を重ね、戸張が
ていった。
るのではないかと思いました。
また、身近でプロのコンサルタン
トの働き方を見る機会にもなる。顧
最初はギクシャクしていた場が、
回、 回とディスカッションを重
あったのです ﹂
り、どんどん無口になっていきまし
4
エンジニアの山本晋平さんはプロ
メンバーの一人、データソリュー
ション部チームリーダーでシステム
メンバー全員に″当事者意識 〟が芽
ビジョン策定ステップが進むうちに
はなかったように思います。
それが、
らこうしたほうがいい、という視点
話程度。現在の会社の状況を考えた
﹁プロジェクトに参加する前の私
は、部外の同僚たちと話すのは世間
は、今何に着手する必要があるのか
アップする環境に持っていくために
をつくってリリースし、ブラッシュ
した。新商品を搭載するための基盤
ルに向かう道筋を描くようになりま
形からいつまでに何をするか、ゴー
し合いは弾まなかった。
生えてきたんです。印象に残ってい
⋮⋮といった考え方ができるように
ビジョン策定プロジェクトメン
バーを経験したことで、山本さん自
るようになりました ﹂
のか、自分なりの答えを探り発言す
で、タスにとってこの先何が必要な
たことで、あらためて誰のために仕
ら動き、
考え、
発言できるようになっ
ありました。それが直近は弱まって
を開発、提供しているという自負が
入社したころは、お客さまのため
に使いやすい、さまざまなシステム
なりました。
身の働き方にも変化があらわれた。
テム開発の取り組みが必要だという
労話を聞いたとき。共感できたこと
﹁ 計画を立てることはワクワクす
ることなんですよね。目の前の仕事
意識が明確になりました ﹂
事をするのか、新たな成長にはシス
いたように感じます。周りを見なが
でいっぱいいっぱいの毎日でそんな
山本さんの直属の上司にあたる
2
0
0
0
気持ちを忘れていたように思いま
年創業当時の苦
返して次のように話す。
ちんとした文章ではなく、断片的で
もいいから思いやアイデアをホワイ
トボードに書き出してみる。ビジョ
ン策定の論点︵ ❷ ︶に沿って、
﹁何
のための会社なのか?﹂
﹁ 何を目的
に入社したのか?﹂
﹁ 顧客が望んで
いること、あったらよいと思うサー
年間で既存の概念を大きく覆す
ビスはどういったものか?﹂
﹁ 今後
タスはどこに向かえばいいのか?﹂
る の は、
・戸張の﹁ 誘導が
ただ、
上手だった ﹂と絹川さんはいう。き
ばいいのかもわからない手探り状
としてみても、最初は何を発言すれ
考えていることについて議論しよう
態。スタート時点では、議論するこ
ジェクトが立ち上がった当時を思い
す。今では、将来的に実現させたい
上・データソリューション部チームリーダーの山本晋平さん、
下・副部長の安藤太一さん
とに慣れていないメンバーたちの話
入社当時のワクワク思い出し
働き方にあきらかな変化
ジョン策定までの経過を振り返る。
た ﹂と、絹川さんはうれしそうにビ
﹁最終的にはプロジェクトリーダー
であるはずの私が発言する機会は減
ていった。
ねるに従って、メンバー全員″自分
客視点で相手のニーズを引き出し、
年のビジョ
それを取り込んでコンサルティング
け て ほ し い。
たちの考え 〟を発言することが増え
3
する、そのやり方に触れて影響を受
2
とはいえ、若手・中堅メンバー
人は﹁ 年後の企業としての将来 ﹂
の た め の 研 修 カ リ キ ュ ラ ム 〟で も
ン策定プロジェクトは″次世代育成
2
0
4
0
など考えたことがない。それぞれが
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サ ー ビ ス が 登 場 す る と し て、
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❷ビジョン策定の論点
● 経営・事業の本来の目的の再認識
● 顧客起点の事業モデルへの転換
● パラダイムシフトを想定した方向性検討
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C O N S U LT I N G C A S E 2
❸将来の事業ビジョン
物件管理等における収益性向上支援サービス 地方創生などに関連する企画支援サービス
インフラ整備計画の支援
(ハザード情報など)
年ビジョ
データソリューション部副部長の安
んは、
﹁おそれず提案し失敗しても
りに入るのが人の常だ。ただ絹川さ
さんの言葉だ。
藤 太 一 さ ん は、
﹁ 今、次世代版のタスマップを開
発中なのですが、開発に携わる社員
ての発言が理想ではなく、より現実
したことで、新たな商品開発につい
ている。そういった外部環境を把握
課題にこそビジネスチャンスが隠れ
ない領域もあります。その山積みの
とも多くIT化がまだまだ進んでい
不動産テッ
﹁直近 年ほどの間に、
ク業界には数百社が参入している一
ている。
なった。
﹃ 見えない﹁ 価値 ﹂を見え
ンだけでなくミッションも言葉と
立ち戻って考えていく中で、ビジョ
て形となった︵ ❸ ︶
。創業の精神に
いう言葉とともに五角形のロゴとし
新しくもっとスタイリッシュに ﹂と
ディスカッションを重ね、ビジョ
ンは﹁ 人と空間のつながりをもっと
できる場があります ﹂
﹁ 課題がたくさんあって自由に
チャレンジできる今、タスには活躍
うに言う。
に呼応するように山本さんは次のよ
のちのち役に立つ ﹂と考える。それ
いい。私の経験上、失敗した蓄積が
を切った。
来ビジョンに向け、タスはスタート
若手と中堅が中心となって描いた将
同じ目線で同じ判断ができる組織。
ない、従業員一人ひとりが経営者と
た。目標は、上司による評価がいら
制度改革も
年に向けたビジョン策
定が終わり、次に着手した人事評価
となり始めた気がしています ﹂
ビジョンやミッションはただの言
葉ではなく従業員一人ひとりの指針
た声が聞こえるようになりました。
スタイリッシュにしたいね 〟といっ
から〝インターフェースをなるべく
方で、不動産の契約関係は複雑なこ
います ﹂
げが伸び悩む今は、タスにとってい
コロナ禍の影響もあり、主力であ
る不動産情報提供サービスの売り上
い ﹂を提供していく
﹁ なくて困った ﹂
﹁ あったらうれし
これからも常に顧客の立場で考え
て提供したことがタスの始まりだ。
︱
当時の精神
本プロジェクトは、新製品・新事業開発の手法を基に、創業
創 業の 精 神 を 語 る
ミッションを全社員の指針に
ちばんきついときだ。絹川さんは今
今、新しいビジョンは自社のウェ
ブサイトや名刺にロゴとして入って
20 年のベンチャー企業が、次の20 年の成長を構想する意義
な市場の価値を誰もが見える形にし
の状況を次のように語る。
を振り返り、そのエッセンスをミッ
えたあとは明るい。きつい状況だか
いる。ミッションは、オフィスビル
ションに込めた。
らこそ、共に乗り越える仲間、同僚
のエレベーターを降りるとすぐ目に
﹁きつい時期を経験したからこそ、
次のステージに進めるのだと考えて
と団結できると信じています ﹂
ずのうちに目にしているビジョンと
います。そう考えると、今を乗り越
うまくいっているときは、その状
態を維持する力が働く。その場合、
ミッション。その効果が徐々に出て
つく場所に掲げている。知らず知ら
新たな挑戦をして失敗するより現状
深いものでした。人と情報をつないで時代の「さきがけ」とな
る事業を生み出す経営の醍醐味と、まだまだ古い慣習が残
る不動産の世界を「もっとスタイリッシュに」
(魅力的に)し
たいと望む次世代の思いが混ざり合い、タス社ならではの
2040 年ビジョンがまとまりました。この事業成長の「将来像」
を日々の原動力に変え、新たな「出会い」を自らつくり、次
なる一歩を着実に踏み出す企業であり続けることを願って
います。
年度に完了し
に沿ったものになったように感じて
るカタチに。
﹄
。不動産という不透明
ン策定での実践効果を次のように見
2
0
4
0
きているのを感じたのが、次の安藤
戸張敬介(とばり けいすけ)
チーフ・コンサルタント
2
0
2
1
2
0
4
0
C O N S U LTA N T
さまざまなビジネスの重なりの中で、事
業を大きく安定的に発展させていくイメ
ージを表現
海外投資ファンド向けカスタマイズサービス
公共団体
投資家
もっと新しく
もっとスタイリッシュに
金融業務の効率化、付加価値向上の支援
不動産取引業務の効率化、
付加価値向上の支援 フェアな不動産取引のための情報提供
10
を維持するため失敗しないように守
※社名・役職名などは取材当時(2 0 2 3年2月)のものです。
Business Insights Vol.75
17
Public Entity
Inveator
人と空間のつながりを
金融業
個人向け
不動産業
リスク管理の支援などのカスタマイズ提供
ライフプラン検討支援システムなどの提供
不動産評価システムのカスタマイズ提供
Financial
Consumer
Realtor
- ▲TOP
- ページ: 18
- 株 式会社シーエックスカーゴ
トライ&エラーのマインドで
人・モノ・心を整理した物流改革
コープ商品の物流を担う会社として1991年に設立されたシーエックスカーゴ。物流のエキスパートが新業務
受託によって社内の「 人・モノ・心」に大きな混乱が生じた。打破するためにどのような改革が進められ、
結果を得たのか。現場のスタッフに当時の様子を伺った。
当初は日本生協連の物流業務を担っていたが、次第に全国生協の店舗や宅
配の物流業務へと広がり、現在は取扱商品も常温、冷蔵、冷凍、すべての
温度帯での生協物流を担っている。従業員は 4709人
(2022 年 3 月現在)
シーエックスカーゴの課題
BtoC 物流の対応
適 正 人 数の把握
少 量多種の在庫棚
付帯作業の削減
Vol.75
18
- ▲TOP
- ページ: 19
- それまでの食品関連の物流から通
販の物流も加わっただけ⋮⋮その認
でもないことになる。当然、作業は
す。送り状 つ貼り間違えてもとん
商品 個 個が荷役の対象になりま
識が、混乱を招いたと、事業戦略本
慎重で細かくなります ﹂
混とんとする通販業務
着手したのは定量把握
想定外のことばかりで、それがス
タッフの大きな負担となり、生産ス
ピードを出すことができなかった。
※
認識の違いが混乱を生んだ
と
の物流
部 非食物流管理室 室長・宍戸健史
さんは振り返る。
長く物流業務を担っていたシー
エックスカーゴに大きな転機が訪れ
﹁これまで弊社が 年間やってきた
対して、新しく受託した通販業態は
事業の パーセントは
です。
年 の こ と。 全 国 生
たのは
協は事業拡大で﹁ 桶川第 流通セン
ター﹂を開設し、通信販売業務を開
な の で す。 実 は こ れ が 大 き
な違いでした ﹂
始。アパレル商品や軽寝具商品など
を取り扱うようになる。この通販事
﹁ 振り返ると、私たちが一番できて
を付けたのは〝 人 〟だった。
年の
月。 最 初 に 手
に物流改革を相談した
のは
種類もあ
これまでの生協物流で扱っていた
。
は、
食品の場合は
多くはなかったという。
﹁ウーロン茶だけで
いなかったのは定量把握でした ﹂
どこに誰が何人、何の作業をして
いるのか、倉庫全体の状態を把握で
の通販業務は商材がア
りませんので種類は少ない。
対して、
パレルや軽寝具。サイズの種類にカ
増え、新規スタッフをいくら投入し
きていなかったのだ。そのため残業も
管場所ではないエリアにはモノが溢
﹁たとえば、ここに投入している人
人なの
人とは把握し
て い ま す が、 厳 密 に
員がざっくり
か、
人なのかっていうこと
要因のひとつとなった。
ケ ー ス、 緑 茶
すら、
現場の管理者でもわからない。
定量把握できていないのです ﹂
ム︵ 約1万
mもあ
坪 ︶より広く、
廊下は長いところで
る。これだけ広いと、定量把握を常
スタッフを含
に更新するのは簡単ではない。サン
プリングは
めた 人以上で行い、広い倉庫を手
そこで着手したのがワークサン
プリング だった。倉庫を巡ってス
﹁ 今の時間、誰がどこで何をしてい
分 け し て 観 察。交 代 で 1 日 中 歩 き
ケースという単位で荷役
タッフの今の動きを記録する一見単
るかを工程ごとに断面に切っていく
し ま す の で、な か な か
回ってデータを採った。
ケースと
ように調べます。今、棚からモノを
ウーロン茶を
協 の 支 所 な ど が 主 で、 た と え ば
で は、 送 り 先 が 会 社 や 生
﹁ さ ら に 出 荷 作 業 の 問 題 で す。
が 激 増 し た こ と が、混 乱 の
ても足りないような状況が続き、保
万
気がつけば庫内の在庫は
を 超 え た。 こ れ ま で 同 社
万
れているような有様が常態化した。
乗算式に増えていきます ﹂
ラ ー の 種 類 を 掛 け る と、
は
この
11
坪。 東 京 ド ー
倉庫は1万
※ 1:Stock Keeping Unit(ストック・キーピング・ユニット)の略で、受発注・在庫管理を行うときの最小の管理単位のこと。
※ 2:人の稼働を把握する「稼働分析」の一種。対象となる作業を瞬間的に何度も観測し、それを集計して作業時間比率を算出する。
1
純そうに見える作業だが、調査する
で は、
桶川第 2 流通センター 業務 2 課課長・玉野晧大さん
(写真左)と同課の篠崎正裕さん
B
to
C
業を受託したのがシーエックスカー
ゴだった。
「社員みんなのレベルが上がった」と目を細める、事業戦略本部
非食物流管理室 室長・宍戸健史さん
を保管した
5
セ ン タ ー は な く、取 り 扱 う 商 品 の
の倉庫で
5
ケースを間違えたりするこ
B
to
C
は
4
0
0
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0
10
3
0
0
1
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0
と は 少 な い。 対 し て
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1
B
to
B
2
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2
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0
0
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S
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2 C
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2
※
CX- CA R G O
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- ページ: 20
- KEY WORD 1
取っている人が 人、歩いている人
いましたから。段階的
幅な赤字を毎月出して
は 人、指示を出している人が 人
人減らしま
ここから 人、ここか
人減らし、その内訳は
に
調査すること一週間。すると混乱
を解決する糸口が見えてきた。
とか。 分ごとに調査しました ﹂
﹁ 驚いたのは 正味作業︵ 価値を生ん
ら 人というような感
わかってきました ﹂
人を増やすことがスループットを上
数もわからなかったのと、とにかく
ドバイスをもらいまし
人を減らすと同時に正味作業と付
帯作業を見極め、正味作業の割合を
速 い 方 の 手 順 を 参 考 に し て、そ れ
を基に教育する方がよいのではと、
からアドバイスしてもら
いました。
それを受けて手順書をつくって
人ずつ個人教育をしていくのです
た。今このエリアには作業者が 人
たモニターを各フロアに設置しまし
生産性が上がる達成感とともに、
玉野さんはスタッフの心︵ 意識 ︶の
まで非常に苦労しました ﹂
らう。この取り組み方を浸透させる
ありました。説明して、納得しても
その現場の管理者を巻き込む必要が
が、これは私ひとりではできない。
1
しょうとか、来月は
でいる作業 ︶の割合が恐ろしく低い
からア
たとえば管理者が近くにおらず、
管理者に質問をするために広い倉庫
げることとイコールなんだという錯
じで
で探し歩いている人、カートや台車
ことです。併せて付帯作業の実態も
を使った後に片づけに行くのに時間
覚に陥っていたと思います ﹂
増やしていった。たとえば長い廊下
た。この当時は適正人
がかかる人、単純に指示を待って何
る人は、なかなか朝礼の指示だけで
﹁ 派遣スタッフを雇っても初めて来
には、それまで 人だった管理者を
もしていない人もいた。
時間効率良く仕事はできない。サ
者に行けばよいので歩く距離︵ 付帯
人にした。部下がどちらかの管理
さ 〟が実感できましたね。この状態
作業 ︶が半分になる。また、管理者
ンプリングのおかげで、より〝やば
人ぐらい削って
から離れた場所には無線機を置き、
な ら、こ こ か ら
も 何 も 変 わ ら な い よ ね っ て。こ の
いつでも管理者の指示を仰ぐことが
できるようになった。こうした改善
を積み重ね、人が減ってもかえって
連携がよくなったという。
﹁ 指示が行き届くようになりまし
た。何もわからずに手を止めている
人はほとんどいません。今は全員に
いて、このエリアには 人と、誰も
人
の残棚数も一緒に確認できるように
が見られます。集品︵ピッキング︶
し合っている様子を見かけると、と
意識か高まり、良くなるために相談
﹁みんなが数字を気にかけるぐらい
変化にも喜びを感じていた。
の棚は
る化され、それを基に館内放送用の
れる梱包作業では、作業の手順がそ
課で玉野さんの部下、
同じく業務
で管理業務を行う篠崎正裕さんは、
がすごく良くなりましたね ﹂
ても嬉しくなります。社内の雰囲気
なっていて、作業終了時刻の見積も
で き ま す。た と え ば
でやると 時に終わる、 人でやれ
ば 時で終わる、という情報が見え
無線で、
指示を出すこともできます﹂
意識の高い社員が増えて
社内の雰囲気に変化の兆し
出荷業務に携わる、桶川第2流通
センター・業務2課課長の玉野晧大
さんにも当時の様子を伺った。
﹁ 私の場合は生産性を上げるという
点で、すごく苦労した印象が強いで
す。たとえば商品を 個 個袋に入
れぞれ、自分が速いと思うやり方で
や っ て い ま し た。そ れ よ り 作 業 の
改革、そして意識改革を体験した。
より現場スタッフに近い立場で物流
2
KEY WORD 2
無線を持たせています。無線から管
J
M
A
C
スタッフの配置を
常に見える化
10
内放送に繋げる機能も、その機会に
つけました。
200 mもある長い廊下。端と端に管理者
を 2 人置くことで、スタッフが指示を聞き
に歩く距離を半分にした
3
2
また、作業者の現状を見える化し
長い廊下の
作業員連携を改善
3
KEY WORD 3
1
4
4
1
1
0
0
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A
C
3
2
5
30
時期は人件費をつぎ込みすぎて大
倉庫の空きスペースに設置された段ボー
ル製の棚。その数 1万。少数ピースの在
庫の保管に大きく役立った
A
1
3
4
10
2
15
8
段ボールで
1万棚を増設
各フロアに設置した作業者の現状を見え
る化したモニター。広い倉庫で誰が何して
いるか一目瞭然でわかる
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Vol.75
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- ページ: 21
- CX- CA R G O
C O N S U LT I N G C A S E 3
部署に応援に行けるレベルは身に着
保管がすごく効率的になりました ﹂
しまった。ワークサンプリングは顕
点。うまくやろうとして遅くなって
﹁ 以前から手が余っている人がいる
︵ 宍戸さん ︶
著な例です。データを採ったからと
いたと思います。コンサルティング
という認識はありました。ただ、当
は良い機会でした。あのまま普通に
いって、実はその 日には個々に今
時はそういう人を他の作業に割り振
改革を開始して半年で
大幅なコスト削減を実現
だけに特化しただけでしょうから ﹂
作業していたら、自分の部署のこと
の︵ 他部署との ︶連携がなく、他部
このほか改革は〝モノ︵マテハン・
保管機器 ︶
〟にも着手した。その一
る場所がなかったんです。縦とか横
署への人員調整という考えもなかっ
例 が 棚 の 増 設 だ。 倉 庫 の
が
た。しかも応援を送っても習熟度が
激増したことを受けて、新たな棚を
一 方 で、
もっと細かいデータがほしくなる。
は、 デ ー タ を す
な言い訳があるはず。 そうなると
人、モノ、そしてスタッフの〝 心 〟
を整理整頓しながら進めた物流改
月は約
ぐ分析して、いったん方向性を仮定
して、物事を進めて検証する。その
年
万円の赤字だったところ、
速さが私には不足していた。間違え
改革を始めた
革。損益の推移︵ 左図 ︶を見ると
日は体調が悪かったとか、さまざま
1
J
M
A
C
万円の赤
11
低いと戦力にならない。効率的な人
員管理ができていませんでした。
に対応した棚の数が足りな
設けることにした。
﹁
を見極めるようになり、玉野課長の
送ってもある程度作業ができるなど
多品種の商品が多々あったので、段
も取ります。しかも通販業態は少量
簡単に増やせないし、大きくて場所
かった。従来のパレットラックは、
﹁ 私に厳密なデータを取ってから
宍戸さん自身の意識にも改革が
あったと語る。
を実現した。
意識改革は浸透した。社員たちは明
改革が進んだ現在でも、赤字解消
や人員整理など課題は残るものの、
改革を始めた 2021年 11月から徐々に状況が好転。荷役単体の
損益は赤字のままだが、その幅は確実に小さくなっている
&
から学
J
M
A
C
最初に通販センターを見せていただいたときは在庫がトラッ
クバースにまで溢れており「これは難易度高いぞ」と覚悟し
ました。当初は短期策を中心に検討しましたが、やはり現
場実態の定量把握が必要と考え稼働分析を行い、そこか
ら改善が回るようになりました。分析が進んで改善案が具
体的に出始めると、初めは懐疑的だったメンバーのみなさ
んも徐々に主体的に関わるようになり、最終的に今回の成
果につながったと思います。JMAC はヒントを出しただけ
で、ここまでの改革が実現できたのは現場のみなさんの努
力あってのことです。
ラーのマインドを
広瀬卓也(ひろせ たくや)
シニア・コンサルタント
びました ﹂
C O N S U LTA N T
エ
話にもあったように手順書を準備し
ボールを買ってきて簡易的な小さい
じゃないと正しい手が打てないとい
日を見つめて日々励んでいる。
5月度
4月度
3月度
2 月度
1月度
12 月度
荷役損益
労務費
荷役収益
た ら や り 直 せ ば い い。ト ラ イ
て、応援先でもある程度のレベルで
在庫棚を大量につくってみました。
う思い込みがあったのが大きな反省
損益の推移
荷役収益と労務費のみで比較
字。わずか半年で大幅なコスト削減
作業ができるようにはなりました。
都合 万棚増設したことで、集品や
写真上:整理整頓された現在の倉庫。
写真下:かつて 50 人以上が作業していた現場。
現在は作業員数ゼロ
個人的な結果で言うと、私自身の
作業知識が増えましたね。各方面の
翌年5月には約
9
0
0
0
S
K
U
サンプリング後は、他の作業場を
よ く 見 に 行 っ て、こ こ な ら 応 援 を
2
0
2
1
2
5
0
0
11月度
※社名・役職名などは取材当時(2023 年 2 月)のものです。
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B
to
C
1
- ▲TOP
- ページ: 22
- えばよいのか。それを実践するため
あえてこの提唱は﹁ 日本企業が謙虚
J
M
に社会のためになるように向かって
いくべき ﹂方向性を訴え、のちに書
響圏の人々、一般社会の人々﹂を指
1
9
9
0
には、まず﹁ 市民主義経営 ﹂につい
し、未来に向けた﹁ 日本らしいサス
て考えなければならない。
信した。当時は、世界時価総額ラン
年後も通用する企業で
いられるか否か
キング上位の大半を日本企業が占め
A
籍化もされた。市民とは﹁ 顧客、従
ように取り組んでいくか︱︱多くの
テナビリティ経営ビジョン﹂を提唱
業 員、 協 力 者、 株 主、 融 資 者、 影
企業で新しい模索が始まっている。
ていた時代。国内外の企業買収を繰
したものである。
年、日本能率協会︵
︶は﹁ 市民主義経営の提唱 ﹂を発
再構成、再配置など、どのように経
り返すなど、強い日本企業に対し、
サステナブルな経営に向けて、今
までとは異なる価値観を持ってどの
営のトランスフォーメーションを行
10
JMAC
INFORMATION
日本企業の未来を握る
「シン・市民主義経営」
4つのキーワード
サステナビリティ経営がマストとなった現在。JMAC はSX(サステナ
ビリティトランスフォーメーション)事業本部を立ち上げ、2022年に
『サステナビリティ経営課題実態調査 』を実 施。そこから見えてき
た今後の課題、そして企業がこれから取り組むべきポイントを、SX
事業本部の茂木、増田に話を聞いた。
❶サステナビリティ経営実現アプローチ
10
社会から求められる
情報の開示
自社らしさの追求
07
経営層の当事者意識と
思いの浸透
09
01
企業理念・パーパス・ビジョンの再構築
による「自社らしさ」の表出と追求
02
グループ企業を巻き込んだ
ビジョン・戦略策定
外部の目、モニタリングを
意識したガバナンス強化
03
社員の参画機会の創出と
当事者意識の醸成
事業の将来の機会とリスク検討の
ための未来予測情報収集
ビジョン・戦略実現への具体的な体制づくりと取り組み
現場実態に根差した
一挙両立 テーマの設定
04-1
サステナビリティ関連事業への
積極投資
04-2
多様なパートナーとのオープンな
イノベーションへの取り組み
06
具体的な指標設定・管理と
費用対効果の試算
05
サステナビリティ人材確保と
関連事業への社員参画
08
自社への誇りと明確な将来展望に
共感する社員
外部との積極的
な連携と人材育
成を可能にする
企業文化づくり
Vol.75
22
- ▲TOP
- ページ: 23
- たものである。
わかった。図❶はその特徴を分類し
日本らしいサステナビリティ経営に
が根づいています。今の日本企業は
して、社会に関わろう ﹄という考え
事業本部は社会・環境価値と経
ダーから支持され応援される企業へ
済価値を一挙両立し、ステークホル
事業開発 ﹂や﹁サステナビリティ経
営診断・脱炭素経営診断﹂
、﹁サーキュ
ラ ー エ コ ノ ミ ー﹂
、
﹁ 製品
❷シン・市民主義経営の全体像
市民主義経営
変革
﹁サステナビリティ経営を実現す
るための市民主義経営には つの側
﹁これは、 の特徴をサステナビ
リティ経営実現のフローに落とし込
取り組むべきベースになるもので、
の変革を支援していきます ﹂
︵ 増田 ︶
-と
が﹃ 現場実態に根差した
″一挙両立 〟
テーマの設定 ﹄となり、右の
ていきます ﹂
︵ 茂木 ︶
新しい価値の創造
市民から歓迎される
市民から支持される
文化の発信者
面 が 必 要 で す。 ま ず、 経 営 で も っ
んだものです。上段の3つが最初に
よって、世界をリードすべきとき。
とも重視すべきは﹃ 新しい価値の創
コンセプトは﹃ 社員の参画機会の創
社
﹂
﹁リスキリング型人材育
成 ﹂など。
﹁ 経済価値と社会・環境価値の″
一挙両立 〟をキーワードに、さまざ
な角度からコンサルティングを行
の課題をクリアし、サステナブル経
営が実現するのです ﹂
︵ 茂木 ︶
社。 サ ス テ ナ
ン・市民主義経営への変革 ﹂に不可
これからのサステナビリティ経
の
営 を 実 現 す る た め に、
コンサルティングにご注目を。
Environment
Society
造 ﹄であること。 つめは、企業は
世界中のあらゆる″市民 〟から歓迎
出と当事者意識の醸成 ﹄です。次に
事業本部では多彩
そ こ で、
なサステナビリティ経営支援プログ
段目。ここは﹃ 自社らしさの追求 ﹄
を示しています。ここまで実現でき
されること。 つめは、企業は市民
によって支持されること。 つめは、
企業は文化の発信者であること。こ
れらは 年近く経った今でも通じる
に進みます。まず左側の
る よ う に な れ ば、よ う や く
ラムを用意。たとえば﹁ 社会課題型
ものがありますが、現在の社会環境
段目
や社会課題を踏まえると、さらなる
グループ
ホールディングス
変革が必要であると考えます。そこ
で、 昨 年
-
材育成を可能にする企業文化づく
と が﹃ 外部との積極的な連携と人
調査 ﹄を行いました ﹂
︵ 茂木 ︶
り ﹄となります。そして、最後に
で﹃サステナビリティ経営課題実態
社に
国内の主要企業約
ア ン ケ ー ト を 実 施。
対 し、
い ま す。 ま た、 各 種 調 査・ 研 修 も
ビリティ経営のヒントとなる、興味
つのコンセ
今回、明らかにした
プトこそが、今の時代に即した﹁シ
%でし
社で実施し
深い結果が示された。
欠なものだと定義した︵ 図❷ ︶
。
ると回答した企業は ・
企業の先にある
より良い社会のために
をコアメッセージとしてコンサル
増田 さやか(ますだ さやか)
た。これらの企業は﹃ 懸念がある/
ティング業務を行ってきた。戦後の
グループ
﹁ 主要事業が 年後も通用すると
思うか、という設問に対し、通用す
有効回答数は
・
L
C
A
SX事業本部
サステナビリティ経営推進センター
チーフ・コンサルタント
転換が必要﹄
と回答した企業と比べ、
いことがわかりました。クロス分析
ものづくりに始まり、日本の製造現
3
J
M
A
C
(写真左)
はこれまで、﹁ 現場主義 ﹂
などを踏まえると、これらの企業は
年度の時価総額平均が高
長期的視点で経営を行っており、﹃サ
場を見続けてきた
には﹁ 日
ステナビリティ経営の先進企業であ
がある。
には元々﹃ 良き市民と
茂木 龍哉(もぎ たつや)
現場実態に根差した
一挙両立 テーマの設定
S
X
(写真右)
外部との積極的な連携と
人材育成を可能にする
企業文化づくり
現状
08
本らしさで、日本の発展を目指す ﹂
という企業
﹁
Business Insights Vol.75
23
る ﹄と結論づけました ﹂
︵ 増田 ︶
そして、これら先進企業の経営を
分析すると、 の特徴があることが
サステナビリティ経営推進センター
センター長 シニア・コンサルタント
Economy
Economy
S
X
J
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A
H
D
S
X
SX事業本部 本部長 兼
3
4
J
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A
C
J
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A
C D
N
A
Environment
Society
05
J
M
A
C
21
日本らしい
サステナビリティ経営ビジョン
シン・市民主義経営への変革に必要な要素
2
10
4
4
3
0
0
0
M
F
C
A
06
2
3
2
0
2
10
10
社員の参画機会の創出と
社員の参画機会の創出と
当事者意識の醸成
当事者意識の醸成
自社らしさの追求
3
04
1 3
04
2
30
J
M
A
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D
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1
- ▲TOP
- ページ: 24
- 現場から、会社と社会を変えよう。
Business Insights Vol.75
2023年6月発行
発行人:小澤勇夫
編集人:豊島涼子
編集:柴田憲文 杉山明日美
ディレクション:中山真理子
(集英社アーツ&デジタル)
編集・ライティング:島田ゆかり 内山賢一 中原美絵子
デザイン:井上宏樹 村松哉
(DynamiteBrothersSyndicate)
撮影:山田英博 内山賢一 中原美絵子
整理:本橋健 木村舞子
(Natty Works)
校閲:寺薗かおる
表紙イラスト:平田利之
株式会社日本能率協会コンサルティング
〒105−0011 東京都港区芝公園3−1−22
日本能率協会ビル7F
www.jmac.co.jp
© 2023 JMA Consultants Inc.
本誌の送付先情報の変更、
ご意見・ご感想は、
こちらで受け付けています
https://dlabo.jmac.co.jp/bi
本誌の無断転載・複写を禁じます
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