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人手不足時代の工場マネジメント ~製造業の人手不足実態調査より~

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負のサイクル脱却にはエンゲージメント向上がカギ!

JMACが、2024年6月18日(火)~7月31日(水)の期間実施した「製造業の人手不足実態調査」の結果から、製造業において人手不足を感じている人は9割を超え、逼迫した課題になっていることがあらためて浮き彫りになりました。

その中で、人手不足の影響は従業員への負荷の増加という形から始まり、従業員満足度の低下、離職率増加、応募者数減少という負のサイクルに陥っている傾向が見て取れました。今後、さらに人手不足が深刻化すると、現状の製品の品質が維持できなくなり、売上や利益の財務的な影響が発生すると推察されます。

また、反対に人手不足に陥っていないと感じている層を見て見ると、「残業が他企業と比較して少ない」、「賃金が他企業と比較して高い」が最も多い回答となり、働く環境や賃金をふくめたエンゲージメントに与える影響が好サイクルに回っていることが見て取れました。

調査概要

調査名 製造業の人手不足実態調査
目的 生産年齢人口の減少が進む中、人手不足の実態と、人手不足に対する取り組みや活動の現状を把握する事
実施時期 2024年6月18日(火)~7月31日(水)
アンケート
対象
一般社団法人日本能率協会(JMA)及び株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)のデータベースより選定
アンケート
回答方法
 Web回答
回答数  103件(回答企業数:102社)

回答者属性

回答サマリー

人手不足の実態

  • 9割以上の企業が人手不足を感じている。

人手不足の影響

  • 人手不足を感じている企業の内、半数程度が「従業員満足度低下」「残業・業務負荷増加」 「離職率増加」の問題が発生している結果となった。また、「製品の品質」「売上減少」「利益減少」が生じている企業は2割前後という結果になった。
  • 人手不足の影響は従業員への負荷の増加という形から始まり、満足度の低下、離職率増加、応募者数減少という負のサイクルに陥ることが推察される。さらに人手不足が深刻化すると、現状の製品の品質が維持できなくなる+売上減少や利益減少といった財務的な影響が発生すると推察される。

人手不足への対策の実態

  • 人手不足を感じている企業の内7割以上は何かしらの対策を講じている。
  • ほとんどの対策で、「推進する余力がない」「推進できる人材がいない」が実施上の課題と認識している企業が多い結果となった。

人手不足に陥っていない要因

  • 人手不足に陥っていない要因は「残業が他企業と比較して少ない」、「賃金が他企業と比較して高い」が最も多い回答となった。
  • 人手不足と営業利益率には相関があることが推察される。

補助金活用

  • 半数以上の企業で補助金は活用されていない結果となった。

人手不足を感じる企業の割合

  • 日本国内の製造業を営む企業に対して「人手不足を感じている」企業の割合を調査した。
  • その結果90.3%の企業が人手不足を感じている結果となった(n=103)

人手不足による影響調査結果

  • 人手不足を感じている企業の内、半数以上が「従業員満足度低下」「残業・業務負荷増加」 「離職率増加」の問題が発生している結果となった。
  • 財務的な影響である「売上減少」「利益減少」が生じている企業も2割前後、存在している。

人手不足への対策と実施状況

  • 対策の内、実施した企業の割合が多いものは「採用活動強化」、「賃金・福利厚生の見直し」、「働き方改革」である。
  • また実施したいが出来ていない対策は「設備化・自動化における省人化」、「エンゲージメント向上」となった

人手不足に陥っていない要因

人手不足に陥っていない企業がその要因として考えているものは、「残業が他企業と比較して少ない」、「賃金が他企業と比較して高い」が最も多い回答となった(n=10)。

考察と提言

  • 今は人手不足による業績悪化の影響が出ていない企業も、今後さらに人手不足が進行すると業績悪化につながる可能性が高い。
  • 早急に人手不足を解消する取り組みをスタートさせることが肝要であり、取り組み内容としては今いる人を辞めさせない「人材定着化」と現状より少ない工数で生産を可能にする「生産性向上活動」が必要だと考える。
  • 上記活動による労働環境改善を行い、企業イメージの向上につなげ、人が集まる企業への変革を遂げる事が、将来的に人口減少が加速していく中での生き残りをかけた重点課題である。

人手不足時代の工場マネジメント

労働人口の減少はこの先数十年、歯止めがかかる見通しがないのが現実であり、とある時点の人手不足を解消しても、数年先にはまた人手不足に陥ってしまう。そのため、「生産性向上」「人材の定着化」「採用強化」のサイクルを回し続け、利益の創出と機能強化のための投資を行っていく必要がある。



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