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【開催レポート】R&Dサミット第2回 「これまでのR&D人材像、これからのR&D人材像」@Zoom

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2024年9月2日、第2回R&Dサミットが開催されました。今回は悪天候の影響でオンライン開催となりましたが、R&D人材の現状と未来像について活発な議論が行われました。

第2回のテーマは「これまでのR&D人材像、これからのR&D人材像」。医療、精密機器、食品などさまざまな業界からの参加者が、R&D人材の役割や求められるスキルの変化について意見を交わし、それぞれの会社での取り組み事例も紹介されました。

参加者の声(抜粋)

  • 研究開発者が事業視点を身に着けることがこれまでより重要になってきた
  • 一言に「外部との連携」「オープンイノベーション」といっても簡単にいかない壁がある
  • 失敗体験や学びの場をいかに提供するかが重要ではないか
  • 社会課題の解決や日本の製造業の活性化につながる人材育成が望まれている

ディスカッション:「これまでのR&D人材像」と「これからのR&D人材像」

組織階層(経営層〜一般社員)、エンジニアリングプロセス(テーマ企画〜量産)で視点を分類し、それぞれこれまでの人材像とこれからの人材像との間にどのようなギャップがあるか議論しました。

これまでのR&D人材像

これまでのR&D人材は、生産性や効率性に対する管理がそれほど厳しくなく、事業の種となる技術を中長期的に腰を据えて開発できていました。人材の要件としては研究開発領域における専門性を狭く深く追求することが求められていました。

これからのR&D人材像

一方で、近年の社会変化や技術革新により、これからのR&D人材に求められる人材像として、主に以下の論点で議論がなされました。

研究開発における効率化要求の高まり

業界のコスト構造の変化や働き方改革などにより、研究開発にもより効率性が重視されるようになりました。依然として高い専門性は求められつつも、テーマ評価の仕組み導入による取捨選択など、これまでよりも効率が求められるようになってきました。一方で効率を求められるが故に、水面下で進めるテーマに取り組めない、特定のテーマに没頭しきれないという弊害も見えてきています。

高い専門性に立脚しつつも、外部と連携できる人材

AIやIoTなど多分野にまたがる知識の必要性が高まり、これらの技術と自社の専門分野をつなげる力が求められています。外部企業や研究機関との連携も重要視されていることは、ディスカッションメンバーが肌感覚としてお持ちでしたが、「オープンイノベーションとは言うが、実際に取り組もうとすると非常に難しい」という声も挙がりました。オープンイノベーションを活用するためには、組織のマネージャークラス以上の方々の経験や人脈をもって、新たな繋がりを少しずつ拡げていくことが必要になりそうです。

事業視点を持つ技術者の育成

これからのR&D人材は、技術面だけでなく事業開発の視点を持ち、これまでより一層市場ニーズや顧客課題を理解しながら開発を進める能力が期待されるようになってきています。一方で「若手に事業企画的な視点を身に着けさせることが本当に必要なのか?」「まずは自身の専門性を高めてもらうことが必要なのではないか?」という声も挙がりました。これまでよりもR&D若手技術者に求められる能力やマインドセットの範囲が拡大しているのかもしれません。また、マネージャー層には事業化のためのテーママネジメント力が一層求められるようになってきたこともポイントとして挙げられました。

失敗経験ができる環境をいかに作るか

R&D人材が成長するためには、失敗から学ぶ経験が欠かせません。マネージャー層は「手痛い失敗にならないレベルのなかでいかに失敗できる環境を作るか」が重要という点で認識が一致しました。若手技術者に対しては「失敗を必要以上に恐れている印象を受けるし、上から降りてきたテーマをこなしている感もある。本当は好奇心ドリブンでわくわくした姿勢を見せてほしい」との声が挙がりました。

次回(第3回)に向けて

  • 次回は今回「これからのR&D人材像」で挙がった課題のなかで、特に掘り下げるべき課題(テーマの効率性)にフォーカスして、深堀り議論する予定です
  • 議論を重ねて練り上げた提案やビジョン、シナリオについては12/2(月)にJMACが主催する「R&Dイノベーションフォーラム」での紹介を予定しています。皆様のご参加をお待ちしております。

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