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第15回 社内で新しいことをやろうとするなら、かわいがられる存在になろう

2021年12月22日

 前回にひきつづき、新商品・新事業のアイデアを社内提案して先に進める人が意識したほうがいいと思うことを書きます。

新しいことは、いつだって最初は"問題児"

 画期的な発想の新商品・新事業は、今時点で明確な市場が形成されているわけでなく、今時点で競合の存在がはっきりみえているわけでもないものです。画期的な商品・事業は、いわゆるPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)のマトリックス上に仮にプロットしてみると、"問題児"ゾーンの丸(というか、極小の"点")で表現されることになるはずです。なにしろ、いまだ市場に投入していないわけですから、マーケットシェアはゼロ。その市場が成長すると信じて参入しようとしているわけなので、成長率は大。よって、定義的には"問題児"ゾーンに位置づくわけです。

 この"問題児(Problem Child)"というネーミングは、PPM手法を生み出したボストン・コンサルティング・グループが1970年代に命名したものですが、見事に本質を言い当てているとつくづく感服します。イノベーションの導入期というか市場の萌芽期にある"新しいタネ"を育てようとしているテーマに対して、"問題児"というメタファー(喩え)をしていることは、われわれに大切なことを示唆してくれているように思えてなりません。

 "問題児"は"子ども"なのですから、そもそも自立できず、周囲からの支援や投資をもらえてこそ成長できる(可能性がある)"か弱い(fragile)存在"です。経営トップが潰そうと思えばいつでも潰される"か弱い子ども"であることは間違いありません。推進する人間がどんなに強気であったとしても、"大人"の事業が生み出す利益や既存組織機能からの支援がないことには大きくなれない"子ども"(というか"幼児")という存在なのです。

 "問題児"はそれをうまく推進できれば、市場成長の追い風に乗って成長することができます。そのテーマを推進したいと強く思っている当事者は成長すると信じているのですが、周りの人はなかなかそれを理解・協力してもらえないということが悩みの定番です。この"問題児"のテーマに誰がいつ手を差し伸べてくれるかは"神のみぞ知る"です。パトロンが誰なのかは、はじめのうちはわかりません。

社内でかわいがられる存在になるには

 それゆえ、興味を持ってくれそうな人には、広くこちらから近づいて、かわいがってもらうことが重要になります。社内(あるいは社外)のいろいろな人に、愛想よく相談に行きましょう。たとえば(社内でカニバリゼーションを起こしそうで)嫌われそうな(怒られそうな)人も、避けたり遠ざけたりせずに、時々は叱られに行きましょう。

 そして、一度相談に行った人には定期的に連絡をとりましょう。相談しっぱなしで放置しないことです。2ヵ月に1度ぐらいは連絡をこちらからとりましょう。相手も人間です。何度も相談にくる人はかわいく思ってくれて協力してくれるようになるものです。

 新商品・新事業のアイデアがいかに魅力的なものであったとしても、偉そうな態度、ぞんざいな態度をとったのでは、周りの人からかわいがられません。「こんなこともわからないの? まったくもう勉強不足なんだから〜」「このテーマのよさがわからないなんて、ほんと見る目がないよな〜」なんて文句を言っていたら、ますます相手は離れていきます。もっと、謙虚になりましょう。"か弱い子ども"は、かわいく振る舞うことで、守ってもらえます。けっして、周りの大人に無意味に嫌われたり避けられたりしてはいけないと思います。「死の谷」を越えるまでは、社内に無意味に敵をたくさんつくらないように立ち振る舞いましょう。

 ただし、このことは、上の人に迎合しろとか八方美人になれという意味ではありません。社内政治力というか影響力という"力"を意識しようということです。次回はそれについて書くようにします。

コンサルタントプロフィール

塚松 一也

塚松 一也

R&D組織革新センター シニア・コンサルタント

R&Dの現場で研究者・技術者集団を対象に、ナレッジマネジメントやプロジェクトマネジメントなどの改善を支援。変えることに本気なクライアントのセコンドとして、魅力的なありたい姿を真摯に構想し、現場の組織能力を信じて働きかけ、じっくりと変革を促すコンサルティングスタイルがモットー。ていねいな説明、わかりやすい資料づくりをこころがけている。
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