研究開発現場マネジメントの羅針盤 〜忘れがちな正論を語ってみる〜
第23回 目的にあった交流会運営をしているか?
- R&D・技術戦略
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塚松 一也
前々回、前回に続き今回も、研究開発部門で行われている技術交流会(発表会)を題材に取り上げる。
技術発表会・交流会の2つの狙いと運営の仕方
技術発表会や技術交流会の狙いはそれぞれでさまざまだが、大きく2つに分けられる。
1つ目は、組織の上の人(権限がある人)に技術の理解を深めてもらい、予算やリソース配分について適切な意思決定につなげることである。平たく言えば、予算獲得のための上の人へのプレゼンだ。
このタイプの交流会は、聴き手を特定の少数に絞って運営するのが効果的で、狙い通りの結果を得やすくなる。聴き手が多岐にわたると、話し手もいろいろなことを気にして話してしまい、意思決定者に内容がうまく伝わらないことも起こりがちである。イメージとしてはお得意様会(プライベートフェア)のようなイメージで、少人数の場をつくるのがよい。
2つ目は、他の研究者や他部署(営業の人など)との交流を通じて技術の可能性を知ってもらい、技術活用のアイデアなどにつなげることである。こちらはノミの市(フリーマーケット)のように、ワイワイとにぎやかな運営(演出)をするのがよいだろう。
2つの交流会は性質が異なるため、それぞれにあったカタチで企画・運営した方がよい。昔はポスターセッションが定番だったが、最近は小型プロジェクターや大画面モニターを使って簡易プレゼンテーションをするスタイルも増えてきている。
技術発表会・交流会は重要なR&D現場のイベント
3回にわたって技術発表会・交流会について書いてきたが、伝えたかった趣旨はR&D組織において、研究開発実務と同様に技術発表会・交流会の開催・運営も重要だということである。決して「たかが発表会でしょ」と軽視してはならない。魅力的な技術発表会は、上位マネジメントの適切な意思決定につながる。
魅力的な技術交流会はいろいろな創発につながり、毎年続けると、よき文化・伝統になっていくものである。
他人の研究に関心を持たないような人の集団にならないための一つの具体的な施策が、技術発表会・交流会の場を魅力的になるように工夫し継続していくことだと思う。
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